短編?読み切り?むしろネタ+毛? | ナノ


中世ヨーロッパ風とかだと更に危なくて、お花あるいはお菓子全開とかならまだ安全だったのでしょうか。



5.たぶん着物コーナーも危ない



初っぱなからカベにぶち当たった。


「言葉が通じただけマシってか?…まァ、確か音と文字の並びは一緒だったもんな…」


私の世界だと開くハンターの世界だとめくるな電脳ページ。
ああ確かに漫画は好きだったさ愛読書だったさ。だけどもハンター文字を興味本位で覚えてみようと好きな気持ちだけではやや補いきれない私の記憶力で(は)無謀でしかない挑戦をしたのなんざ太古並の大昔。

つまり、幸いここの世界でもどうやら過去の私は既にパパンかママンに私専用のパソコンを買って貰っていたらしいので夕飯の後早速電脳ページをめくってみても、マジで一文字も読めなかった。
…ていうか、そもそもそこにすら到達出来なかった。調べる時点でお手上げだった。
何ともはや、キーボードの文字の配置どころか文字自体意味不明すぎてもはやどれが何の文字なのかすらわからず打ちようがなかったのだ。この世界の作者が日本人だからかデザイン的にそうわっかりにくい位置に電源があった訳でもなかったから辛うじて立ち上げる事は出来たんだけども。

因みに本棚にあった地図帳も勝手は違えどほぼ同様。中を見る前にどれが地図帳なのか背表紙の時点でもう判断がつかず、一冊一冊取り出して確認する気すらどっかに飛んでったとかいうやはりの前フリで挫折した。
だって運よく見つけたところで島とか大陸の形はわかっても何て言うのかは読めませんからァ!

…よって、現在の私では独力で現在地を知る事すら不可能に近いのであった…。


「……こうなったら、スキを見てやるしかない、よなあ…」


両親はハンターであって今日はたまたま朝も夜も家族揃っての食事だったけど、家に居ない事も多い訳だ。お父さん私の修行見るとか言ってたけどたまにってだけでまさか毎日ってこたああるまい。
その合間を縫って何が何でもハンター文字をマスターするってのが当面の目標になりそうだ。でなきゃ病院送りにされるコト間違いなし。どっかに頭でも打ったんじゃね?って検査的な意味で。

もうこうなったら現在地は明日にでも手っ取り早くそこらの通行人さんにでも訊いてみよう。
文字はわかんなくとも言葉は通じるのだ、これを使わない手はない。


「これか?よっと…お、ビンゴ」


そして早速辞書のようなモノを本棚から探し出し(これは分厚いため地図帳よりは大分わかりやすかった)やらないよりはマシだろうと書き取りでもしてみるかと机に散乱していたシャーペンその1を持ち上げたところで、


「フォ、フォークは普通だったのに!?…何でじゃい!」


ぶん投げた。

あいや、何となく。そしたら「ゴイィン!」とかありえない音を立て壁に激突したシャーペン(?)。
…フッ、周の使えない私で助かったな、壁。他の応用技みたいにさっさと習得してたら今頃ぶっ刺さっていたに違いない。

推定二、三人家族用の米。恐らく5キロはくだらないソレ。
たぶんフォークは万が一取り落としたら食卓が大惨事になるから私には持たせなかったのだろう、しかしパンピーな私を少しでも鍛えようと企んだ結果がコレなのか何なのか。そしてこれでもシャーペンにしちゃあ十分重い方だろうがあの人外達(両親)にしてみれば大分譲歩したに違いないとかそんなんなんだろそうなんだろ?そんなに娘ボディービルダーにしたいかコンチクショー。
シャーペンは5キロもあんだから轟音立てるのはわかるとして、壁が凹んでいないのが謎だけど。


「…そういえば」


私ここ来た時何してたっけとはたと思い返してみた。
全て確認してみたが、私という名の巨人に踏み潰された小人なペン達が一本も死んでなかった時点で、


「手遅れだったってワケね…」


終わってたと、そういうコトですね。

あと余談だが、その後「修行なら地下でやりなさい!」とオカンにこってり絞られたのは、言うまでもない。
因みに物理的に。手加減はしてくれてたと信じたい。

しかも一応仲裁に入ってくれたパパンは何故か地下に引っ張られ、いつの間にか二人でバトっていた。コトの発端はまさかの放置プレイである。
とりあえず理解した。

我が家で最強なのは、母だと。


***


「…じゃあ伝説の某暗殺一家が住むお山があったりってのはないってコトですよね」

「それってゾルディック家の事かい?流石にどこに住んでるかまでは知らないねえ。まあ知ってたら知ってたで行くのはおよしって止めてるところだけど…悪いね、役に立てなくて」

「あ、いえそんな、十分です!ありがとうございました!」


結構物知りだったらしいおばちゃんにお礼を言い、そのまま大通りに向けて歩を進める。

「外出時はくれぐれも黒のカラーコンタクトを入れ忘れない事」を条件に、普通に外出は許されてたらしい一昨日までの私。
次の日、幻術も忍術もある私は自分のであって自分のではない瞳に当たる部分の周りが黒く塗られたようなそれはちょくで目に入れるモンだしなあ、って事で何となく入れる気にならずそのままにしておき、日光が天敵な私はとりあえず日傘だけは完備で(曇りだったけど)街に繰り出した。
あ、あと諭吉とか。ジェニー呼びだけど、その実日本のお金と見た目も価値もあんま変わらないから助かった。ついでに言っとくとお父さんが甘いからか何なのか、私のお財布は絶賛ダイエットとは程遠いデブチンである。
てかそうじゃなきゃ行こうとは思わないし、行ける訳もない。

そうして予定通りそこらへんの気の良さそうなおばちゃんを掴まえて国名とか市名とかを聞いてみて最後に念押しとばかりに訊いた一言に、一先ずはこの辺がごく普通の土地っぽい事が飲み込めた。
確かあそこ観光地化してたもんね、地元もしくはその近隣なら住民は知らないハズはない。
おばちゃんの物知り判定はその法則から行くとアジトを知る筈もないのにも拘わらず家名は知っていた事による独断と偏見という訳だ。

ま、私を隠してるってお父さん言ってたしな。まさか近くに住んではおるまいとは思ってたけれども。でも名を隠さない辺り、万が一も考えてなかったワケじゃない。ドストライク同じ町内とはいかずとも、隣の隣のそのまた隣の町とか。…え、遠い?
ただ私と特にお母さんはこの目玉的に隠れ住むべきではないのかなあとは思ったのだけれども、その割には特別辺鄙な場所って訳でもないみたいだった。
只今いわゆる都会に向かっているのだけれども、こうしてちょっと行くと大通りに出られる辺り。日本で言うと東京の郊外らへんに住むとこんな気分だろうか。

おばちゃんと別れ歩く事数分。バスやら電車やらを乗り継いで目的地付近に着いてからは人に訊いたり早速円を駆使したりしてゴテゴテした形状を確かめつつやって来たのは、自宅からでも1時間かかるか否かという割と来やすい都心の、そういやそんなん装備してる人居たしこの世界でもアリなんですね…なんて思わず白目になりかけた、とある聖地(?)。


(1/2)
[back] [top]
- 16 -
×