短編?読み切り?むしろネタ+毛? | ナノ


自家製バランス氷菓。



4.そういうコトでもない。



さて修行と言ってもなんか私ほぼ一般人だったみたいだからちょっと(でもかつての私からすれば明らかに脱一般人)腕力や脚力が上がったように両親の目には映ってもまずどの程度なのか見なきゃならんのだろうし魔術体術ならまだしも念に関しては無論来たばっかで使えるわきゃないしそれに両親は知ってんだろうけど水見式まだだから私は私の系統がわからないし。

そもそも我が家の室内で出来るコトなんて限られてる。ただの民家にどこぞのお山のような広大な庭があるワケあるか。

因みにとっくに平穏は諦めた。だって今のお父さんに逆らえる気がしない。チキンは恐怖に弱く面食いはイケメンに弱い法則からすると私には1ミリの分もない。名前さんに反抗期は恐らく一生来ないよ。やったねお父さん!
まあでも多分お母さんのが厳しそうだから大丈夫なのかもしれないけど、うっかり念じゃないモノで抵抗したら終わるので。

だからお父さんが闘ると言ったら闘るし、殺ると言ったら殺るしかない。

しかし闘るにしても殺るにしても一体どこで?とお父さんに訊いたら下を指差されたのが数時間前の事。


「…てっきり名前も緋の眼時で系統が変わると思ったんだが、名前は普段も緋の眼時も同じ系統だったんだよな」

「でもやっぱり私の子よね。お父さんみたいに変化系の可能性も考えてたけれど、妙ちくりんな反応見せるんですもの。私のも名前のも自分で言うのも何だけど、めっずらしいわよねえ」

「ああ、特質系の人間はごく稀に見るが、二人と同じ反応を見せたやつは一度も見た事がない」

「私もよ。まあ私のは面白いの一言に尽きるけど、名前のは見慣れない人間にはキッツイかもしれないわね。…ま、他人にほいほい見せるもんでもなければハンターになるような人の中に卒倒するような人間なんて一人もいやしないでしょうけど」


同日、一家揃っての夕飯時。
ハンターの基本活動といえば密猟者や指名手配犯等をしょっぴいたり、何より自身の求めるモノに向かって突き進んでいく事だろうか。
恐ろしいコトに返り血を浴びるまでもないどころか血を出さずして心臓を盗んじゃうなんて芸当をも容易くやらかせるお母さんは(お父さんに教えてもらったんだって)、今日は大した事はなかったのだろう確かに血臭なんて利き手らへんすらからもニオわなかったワケだが、私は私で自分の片足と利き手の人差し指からプンプンするもんだからヨダレを抑えるのに必死だった。目の前に折角お母さんが作ってくれたご飯があるってのに。ごめん母。


「で、何で名前はさっきから絶状態なの。折角家族揃っての夕飯なのに存在感ゼロにしてどうするのよ」


「ていうかアナタいつの間に絶出来るようになったの」と疑問系ならまだしも語尾からハテナを取っぱらって、不思議そう通り越して完全に訝しがってるお母さんには「お父さんにきちんと教わった何で習得がちょっぱやってそりゃお父さんが天下のゾルディック、というより天下のお父さんだもん」をゴリ押ししとく。何たって今の私にしてみれば本日習ったばかりなのだから習いたてのホヤホヤもいいとこ。それなのにも拘わらず一日どころか漫画で知識のみではあるがフライングかましてたとはいえまさかの一発でクリア出来てしまったのにはそれなりの理由がある。詳細は後程。
そしてお父さん超嬉しそう。…ごめん昨日までの私メッチャ反抗期で。でもこれからはそんな日はきっと来ないから安心してね。

いくら影を薄めても指摘してきたお母さんは真横にいるためあまり意味をなさないコトになるが、別に隠れたいワケではない。
大したケガではなかった。ちょっと足の裏に刺し傷こさえただけ。お父さんもいくらゾルディック育ちだからって初っぱなから飛ばしてくる筈もないし、てゆか中身は昔のお父さんのままだし。
ケガの理由はお父さんにあらず。修行場にあった。

しかし私の回復力は異常。つまりもう跡形もないのである。だから回復力を図ってるように見せかけるため、絶してた。それだけ。
四大行も応用技もお父さんから私は既に聞いてたらしいから使ってたって、おかしくはない。まあお母さんの様子からしてやる気は更々なかったかまたはダメダメだったみたいだけど。でもお父さんの教え方が上手いのは本当だ。
そして漫画も細かいとこは大分記憶の彼方であってフライングはフライングでもフライング気味レベルでしかないのは言うまでもないので、勿論水見式と同じくもう一度詳しく教えてもらったけども。

お父さんの指し示した先。普通に考えれば我が家の床下という事になるのだが、本当にその通りだった。なんとゆか、盲点だった。
お父さんは本日丸一日私に付き合ってくれた事になるのだけれども、当初の問題は文字通り我が家の下、いわゆる地下で、暴れさせら…色々やらせられる、見せるハメ…事になった。
…うん、逆らえんとは言ったけど、言ってしまえばゾルディックを相手にしてるようなもんなのでね、いつどこで私のこの世界にそぐわないおかしさを看破されるか気が気じゃなくてだね。しかしそうは言ってもなるべくそういう舞台に立ちたくないというか、てかそもそもいつだって私は自分の辞書から弱肉強食等強さに関する言葉は除外してついでに永遠に引かなくて済むようにしたいというか。

だからぶっちゃけ水見式だけで終わらせたかったってのが本音だった。でもま、ほんとにそれだけで終わったなら私的になんという良いとこ取り状態だがまあムリだったよねうんだよね。
まあでも最初だから水見式とどの程度の力があんのかとか動けんのかだけを見て終わったけど。ただ色々測る機器とか置いてあったんだけど流石なのか何なのか、どれもこれも上限の数値がおかしかった。
何で握力計測器1トンまであんの。

そんなワケで、要するに我が家の地下も外装と同じく苗字家であって苗字家ではなかったのである。

さっき言った通りお母さんはハンター。お父さんもハンター。つまりお金には困らない。よって糸目ってモノが存在しないに等しい両親が自由に修行出来るようにって設計したんだろう(けっしていつかの私のためとは思いたくない)。
…まじなまじゾル家の感覚ヤベェ。誰が民家の下に地下世界が広がってると思うよ。…と思ったんだが、お父さん曰く「母さんに俺んちを見せるんじゃなかった…」らしいので実はお母さん主導の…つか原因のアイディアだったそうな。そしてお母さんは昔ゾル家を訪れた事があるらしい。しかも家の人間に気づかれず。…ヤバくね?絶の達人か?

記憶も大概朧気だが、思い出す限りなんか地下だけゾル家切り取ってきたとしか思えない何人囚人詰め込むつもりだよって勢いで幾つも部屋を張り巡らされた地下牢みたいな造りしてたんだよねええそれで前いたトコがあまりに平和だったからブランク空きまくりの名前さんは単純に罠だらけの部屋で足の裏ヤっちゃったんだよねえええ!いてーよチクショウ!何でカギかけといてくんないんだよパパンうっかり入っちまったじゃねーかよ!(…あれ?厳密にはお父さんのせいじゃね?コレ)。一歩で飛びずさんなきゃ床からの尖ったナニか(怖くて確認してない)で串刺しの刑だったんだぞ!私に焼き鳥になれってか!

…と、言いつつもコレだけで済んだのはこの殺人未遂事件の後必死こいてどの部屋を通過したらゲームオーバーは免れないのかを嗅ぎつけまくったから。偏にお父さんからの念指導、そして私がさっき絶について言ったようにクリア出来たからだ。アレだ、円とか。しかも一発。理由は簡単。
生前の私じゃ多分何ヶ月かけたところで形にすらならなかったに決まってる。過去の私がそうだった。魔術一つ使いこなすのに5年かかった事すらあった。現にお父さんにせがんで見せてもらった暗殺術、いざって時のために教えてもくれるそうだが見た感じ年単位かかるのは必至と見た。てか習得出来る気がしない。
けれども何年も魔術の元、つまり魔力を身体中からしぼり取る勢いで練ってきた私にとって、念での戦い程やり易いモノはなかった訳だ。今までの世界で似て非なる判定を受けた事があるだけはある。
魔力とオーラの感覚も、非常に近かったのである。

そして、『周』以外はみな一度で突破した。

……と、言えばかなり聞こえがいいかもしれないが、ただやってみたら出来たってだけで吸血鬼の命の源、血が万年不足気味の私がいくら頑張ったところで所詮ハンターの中じゃ最底辺だろう。まあハンターになる気は更々ないがな。てかなれるとも思ってないがな。

それより真面目な話、周はホントにお粗末だった。
まず手にした物体にオーラが行かない。拳止まり。同じく纏と練の応用技である円のように周りにオーラを広げ留めるのは――ヒトの魂がご馳走の悪魔の性、円程便利なスキルって訳でもないから物や地形の把握はどうしようもなかったけれども、ヒト延いては頑張れば実のところ生き物の魂をも探り当てる事も一応不可能ではなかったし、何より日々余計なエンカウントを避けるためにいやまァうっかり感知モード解けてるコトもしょっちゅ…いやほんのちょっぴりあったがしかし地上生活歴全体的にみれば四六時中に近いくらいには――魂の波動をキャッチしてきたせいか探るという点に於て酷似していた事もあり、すんなり感覚が掴めたってのに。
でも…まあ、理由は何となく想像がつく。何でかって今まで自分の手足ばっかで得物を用いて戦う事が年月の割に極端に少なかったからだろう。大分前に剣を使ってた事があったが、ピー年はやってたハズなのに多分剣豪さんからしたらその辺でチャンバラごっこしてるがきんちょ…は悲しくなってくるので流石にないと思いたいが、どこにでもいるようなザコやモブのがよっぽど見込みがあるように見えてた事だろう。

ところで水見式なんだが、確かに免疫のない人間にはアレすぎる結果にて終わった。マジ終わってた。

両親の会話が答え。一応、魔術とか投げつけるし色々属性も使えなきゃ即死だよなってんで死にかけながらむしろ死にながらチミチミ増やして来たんだから放出系か変化系辺りだと思っとったんだが、見事に予想は外れていた。


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