短編?読み切り?むしろネタ+毛? | ナノ


たぶん高速道路ぶっとばしてる車どころじゃないよね、移動スピード。



2.攻略は攻略でもRPGではないコトを祈る



ママンの噴火状態により噴き出すナニかは微妙だったけどそれ以外はギリ物理的に可能な域だったんじゃね?

自宅を飛び出した時点での私は悪あがきだろうが何だろうがそう思い込むコトでまだ自世界の可能性を諦める気は実はなかったのですけれども、流石に今はもう無理かなと思ってる。

そもそも、よく考えてみるべきだった。

ママンは顔立ちはそのままなのに目が血走るは血走るでも瞳が緋色に血走ってたし、パパンはあの暗殺一家の家長の実の父から電話が来るだけの容姿を持っている(因みに私はそのままだったので父には全く似ない事になる)。
そんな二人の容姿に極めつきがあの電話。あ、重さじゃなくて。いや重さも十分異常だったけど。

……そう、今生での私のおじいちゃんらしき人物。父の「親父」発言からして多分もクソもない、父だけでも恐れ多すぎるってのに…あああ…。
しかし来てしまった、設定されてしまったモノは避けようがないのは経験上嫌と言う程知ってもいる。余談になるが、彼が息子だと言うのなら血の繋がりのある人物は全員私の血縁者というコトになる。やべえおとんそのまま私を隠しきってくれ。

だけど冒頭でも言った通り物理的に説明出来なくもない、もしかしたら私も訊いた通り母はカラコンで父は整形、そして電話の向こうは手の込んだイタズラな可能性もあると、この結果を見なければ言えたかもしれなかったのに。
まあ、やっぱり母は物理的にはアウトくさいなんかヤバげなモン背負ってたけど。いや現在進行形で背負ってるけど。
吸血鬼だったり悪魔だったりする敏感肌な私にはフツーの人間より刺激が強いです。我が母ながら抉られるみたいに痛い。たぶん、今回の母そして父は種族的な意味合いの私とは違ってケタ違いな意味で人外設定だ違いない。

……空間移動術使えば良かった……。


「全く、いきなり扉を突き抜けておん出てこうとするんだもんな」

「駄目よ名前。いつの間にか瞬発力や腕力は鍛えたみたいだけど、私達に比べたらまだまだひよこでしょう」


いえ、ひよこというよりチキンです。コケ。


「でも、どうしてもって言うんなら……そうねえ、せめてハンター試験に受かるくらい強くなってから独り立ちなさい」

「俺が許さないけどな」


とか言っちゃうくらい実のところ確かに昔からお父さんは私に過保護なトコがあった。むしろ、溺愛のケありと言い換えてもよし。
そんなんだからかお父さんこんな容姿なのに殺気はまるで感じず、むしろ叱る時はきちんと叱ってきたお母さんからそんな修羅場を幾つも潜ってきた人間にしか出せないような気配がだだ漏れしてる。
正直防御術でも結界でも何でもいいから全身に纏わりつかせん事には当然のようにケロッとしてるお父さんと違ってこの場にいる事すらキツいため、私は色々諦めの境地にお父さんの肩の上いわゆる俵担ぎで捕獲された状態でぐったりしながら、お父さんの脇に立つお母さんに訴えようと顔を上げた。うへへ、頬くすぐってえ。生っすよ奥さんゆるふわ銀髪だあえへえへ。

現実逃避しなきゃやってられんってか姿が姿なため発狂レベルですらあるワケですが、それは頑張って置いといて(鼻血ブーしたら赤毛になると思う)、私は自世界を諦め、異世界を認める白旗をついに(この世界人歴数十分ですが)お母さんに掲げた。


「おかーさーん。私もう逃げないからその……『オーラ』、引っ込めて下さいお願いシマス…」


オーラとか。
……誤魔化しようがない。やっぱりここ、ハンターでした…。
やっべ私生き残れっかな。蟻編とか特に。


「あら、つい漏れてたわ。ごめんね名前。さ、戻るわよ」


まァ、見事に瞬殺でしたよ。

この二人、今の私とは短い付き合いとなる訳ですが、見てきた限り中身、つまり性格はどうやらお母さんは世界に合わせて多少過激になってる感が否めないもののそれを除けばそこまで変わらないみたいなんだけれども、片やあのゾルディック、私の日々(年単位)頼りなくなっていく記憶が正しければ……主人公の親友の実父と同じ顔をしており、片やそれの妻。

いくら私が人外だろーがあっという間に二人に追いつかれ、私は苗字家、いやゾルディック家(派生)?に連れ戻されたのだった。

ついってちょ、と思ったが、お母さんの殺気すなわちオーラから身を守るために全身に張った防御術、要するに元となる魔力を微々たる量でしかないってのに動かしたのを何だっけ、『凝』?かなんかで見破りでもしたのか、お父さんの今や細い瞳孔となった瞳がチラとこちらを見てきたのが何とも怖すぎた。あ、いや顔じゃなくて。いや怖いけど。というより怖カッコイイんだけど。
…じゃなくて、なんかバレてそうで。そして私は自重しろ。

恐らく今生の母はクルタ族の生き残りとかゆーポジションなんだろう。朝食での姿を見る限り私との年齢差による然るべき年相応の外見より遙かに若く見えるのと日焼けして逞しくなってたくらいで顔立ち自体は元の母と変わらないというのに感情が高ぶるとその両目はたちまち真っ赤(つか真っ緋)、通称緋の眼持ちのご様子。ある意味目を疑うしかない。
そしてこっちはだいぶヤバイと思う。何故なら今生の父は今まで私にかかっていた設定が流れ弾状態。それも最悪な事に…あー、まあ例えば旅団とかじゃないだけ最悪ではないのかもしれないがしかし主要人物の血筋、それもかの暗殺一家の家長と同じ顔。こちらはマジで目を疑うしかない。

そんなのに囲まれてるのだ、おかんのクルタ族設定しかもなんか強そうってのも大概アレだけど、相手はっつかお父さんっていうこれから中身昔のままの調子で行く限りそして私の逃亡が叶わない内は一緒に過ごす家族がゾルディック産なんだ。これがどういう事を意味するか。同じ顔、親父発言してんだし兄弟は確実な訳でていうかぶっちゃけ一卵性?兄か弟かはまだわからんが、ハイスペックなのはきっと当たり前。

『念』で説明のつかん仕様は、下手に披露しないように。


***


どっちかってーとショタな私だけども、イケてるメンズにだって頗る弱い私(イケてる面だと思ってた幼少時の私に乾杯)。今も危ないってのにお子さんのハンパないクオリティを見てもわかる通り、若い頃に会っちゃってたらコロッとイっちゃってたに違いない今のパパン。逃げないって言ったのにきちんと家に入るまで担がれたままとか爆発するかと思った。変化系か。てか来たからには水見式やってみたい。だってハンターといえば念っしょ!…その分危険度も星で表すならMAXぶっちぎりな訳ですけども。
かつて私の使う持ち技は世界に似て非なるモノ判定を受けたりした訳だけど、何系に属するかくらいはわかる、筈。系統圏外とかだったら泣いちゃうよ私。

そうしてパパンの上で悶絶しながら家に入る時に全容を見る事になった我が家だが、世界どころか設定が大変なコトになってしまった割にごくごく普通の民家だった。
いやね、内装じゃ気づかなかったんだけど、中がそのままなら外もそのままだろと思い込む事なかれ、流石に日本式じゃ浮くからなのか屋根だとか外壁だとか外側のデザインが純和風ならぬ純洋風とヨーロピアン一色にされてたんだよね。いやこうも飛ばされてばかりだと自宅があるだけ儲け物住めれば何だっていいや状態だから気にする理由はないんだけどさ、一応ね。
ま、いずれにしてもあの城かってなゾルディック邸から見ればただの小屋レベルでしかないがな。これならゾルディックの直系が住んでるとは誰も思うまい。

玄関で下ろされるかと思いきやそうは問屋が卸さなかった。裸足で飛び出していったため足の裏は大変悲惨な事になっている。近所もチラと見たけど、やっぱり西洋風だった。がしかし、一旦家内に入っちゃったら日本式だから靴は履かない。
当然洗面所まで運ばれそこで漸く下ろされた。目を回すかと思った(物理的な意味ではない)。

おかげで足洗って居間に戻る頃には大分ぐったりだった。


「ハァ…」

「そう落ち込むな、名前。何も母さんも俺も外出を禁じてる訳じゃない」


いや、元凶さんちゃいますって。いやそれもあるけど。


「というか、お前どちらかと言うと引きこもりがちだったじゃないか」


流石だぜ私!そういや学年調べるために漁った時見かけたんだが、部屋にこっちの(地球)とは勿論違うがなんかプレステサイズの本体あったな。アレでヒッキーしてたに違いない。


「…ただ、母さんも名前も…まあ名前はハーフだが、それでもクルタ族の特質を受け継いでるんだ、黒のカラーコンタクトを入れてから出なさいといつも言ってるだろう?朝食の途中だったんだろう、まだ入れてなかったんじゃないのか」

「え、っと…ウン、マア…」


ふむ、外ではカラコン常備だったのか。覚えとこう。
万が一忘れても私には幻術も忍術もあるからあんま問題ないっちゃないんだが。


「お父さんは甘いのよ」


見た目も相まってその優しさが逆に怖いです。
そして対するママンはどんどん厳しくなってくようでこれまた怖いです。


「百歩譲って近所はまだ良いとしても、いっぱしの念使いになってから遠出はすべき。クルタ族ってバレて人体収集が趣味とかの変態にでも追い回されたらどうするの。そいつがただの変態ならまだしも強力な念使いの変態だったらどうするの」


変態と聞いて某ピエロさんを想像してしまいましたごめんなさい。そしてオカン変態に何かイヤな思い出でもあるんですか。なして連呼なさるんすか。因みに後者の変態さんはエンカウントした時点ですげなくトランプで磔の刑だと思ってる。
青い果実どころか腐り気味のカビ生え気味ですから。美味しい部分なんてないよ。


「全く、名前アナタどちらかと言うと一般人よりなんだから。…ああ、いっそ天空競技場とかにぶち込むのもテよね…」


怖ェー!実はこれ食卓での会話なんだけど、お母さんマグカップ握りながらだから中身が恐ろしいコトになりそうでとりあえずお母さんの系統はまだわからんが万が一中身溢れる系(反応や系統は何となく覚えてたがどれがどの系統に結びつくのかまでは忘れました)だった場合に備えて食卓の端の方に置いてある布巾にそろそろ手を伸ばしながら震え上がるしかなかった。確か発はグラス+水+葉っぱの組み合わせ以外でも有効なんでしょーが!


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