● Symbol of freedom
『ヴァン』
『ヴァン』
『両手を出してごらん』
ヴァンは言われた通り両手を差し出した。
自分の手より少しだけ大きな柔らかい手で白い小鳥を渡された。
幼いヴァンは可愛らしく綺麗な動物に歓喜した。
喜ぶヴァンを見てにこりと微笑むと彼はそっと述べる。
『鳥はね“自由の象徴”なんだよ』
へぇ〜、と生返事をしヴァンは渡された白い小鳥に夢中のままだった。
そんな様子さえ優しくずっと見守り続ける。
『ヴァン、鳥が何で自由の象徴かわかる?』
『それはね―――』
そんな遠い記憶の欠片。
ヴァンは空の開ける砂漠の前で立ち止まる。
そこに鳥を見付けたから。
その鳥を見て何故か幼い頃の兄との日々を思い出した。
それはきっと旅に出て、自分自身を見詰め直そうと意識しているからだ。
手の届かぬ空を飛ぶ鳥を見据える。
「兄さん…。」
「何で、鳥は自由の象徴なんだよ…。」
ヴァンは妙に胸が苦しくなり手を握り締める。
―――――分からない。
―――――俺には分からないよ…兄さん。
―――――兄さんの………
* END *