アルファとフェイ2 | ナノ


アルファとフェイ・ルーン2 


(9歳くらい) (微暴力表現)


家のすぐ近くの公園でフェイと二人で遊んでいた。
フェイが転んで擦りむいたから、家に絆創膏を取りに残した。
たった数分いない間に、フェイの身には怪我の比で無い災難が降りかかった。

「いつもアルファにべったりでさぁ、自分じゃ何もできねぇんだろ!」
「泣き虫ー」
「何このボッロいぬいぐるみ。まだお前こんなん持ってんの?赤ん坊かよ」
クラスのいじめっ子、3人。
偶然通りかかったのか、すぐ傍に自転車が置いてあった。
フェイを囲んで憎まれ口を叩く。それどころか、彼が大事に抱えていたワンダバを取り上げた。
「っ!・・・返せよっ!!」
「取り返してみるか、助けを呼んでみろよ、ほら!!」
その高々とワンダバを掲げたその手を――思い切り横に蹴り飛ばす。
「いっ・・・・!!」
取りこぼした青いくまを片手で受け止める。普通のぬいぐるみより少し重いそれは、特別だ。

「何をしている・・・・失せろ」
腹の底から響くような声が出た。睨みつければ、3人は慌てて、しかし忌々しそうに自転車にまたがって去っていった。

「大丈夫か、フェイ」
「・・・あるふぁあ・・・」
涙声のフェイにワンダバを手渡すとありがとう、と返ってくる。
礼なんか言われる筋合いが無い。
お前は私と居ることでいじめられたのだから、原因は私なのに。
緑の目からぽたぽた涙がこぼれた。
フェイが泣く原因は自分だと思うと、こちらまでなんだか泣きたくなってくる。
でも私が泣いたらフェイはもっと泣くと思い、こらえる。

「怪我したところを出せ。手当てする」
絆創膏のシールを剥ぎ、もう血の固まったそこに貼った。
「アルファ、家帰ろう」
「ああ」
もう外では遊べないし、遊ぶ意欲も失せた。
帰りの短い時間、フェイが一言だけ「守ってくれてありがとう」と言った。
守れてなどいないのに。お前は泣いているのに。
それだというのに否定の言葉が上手く思い浮かばなかった。
結局、小さく「ああ」と言ったきりだった。





フェイはいつもアルファとべったりでそれを原因にいじめられるんだけど、守ってくれるのもアルファでそのことをすごくありがとうと思ってる。でもアルファは責任を感じている。 





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