「こいびとごっこしよー」 「なんやそれ」 「こいびとがすることを するんだー」 「は?いややわ」 「やあだー!ひかるくんとしたいのー」 「………」 「ひかるくんが、いっ……ひっく」 「……しゃあないわ」 「! いいのー?」 「ちょっとだけやで」 幼稚園の頃、恋人に憧れてた時に一度だけした恋人ごっこ。その時仲良かった光くんが、相手だった。最初は嫌がってた光くんだけど、最終的には相手をしてくれた。 それは、今思うと夢じゃないかってぐらいすごいことに気付いた。テニス部2年レギュラーの財前光。もはやアイドル的存在だ。 そんな財前くんが、私は好き。そう気付いた時には遅かった。いつの間にか話さなくなっていって、きっと財前くんは私のことを覚えていないだろう。だから、驚いた。 「約束、覚えとるか」 今まで全然話してなかったのに、急に話しかけてきたこと。私のことを、覚えていたこと。でも、約束がなんなのか私には分からなかった。 私が黙っていると、それを察したのかため息を一つついた。 「まあ俺の一方的な約束やけど」 「へ?」 「拒否権はあらへん」 「な、何が?」 「俺と、ほんまの恋人になること」 「!?」 「拒否権はない」 「え、いや…」 「なんや」 頭が混乱してる。財前くんが、光くんがこんなことを言うなんて考えてなかった。でも、嬉しい。泣きそうになるぐらい嬉しい。私は、この気持ちを伝えようと光くんに抱き着いた。 抱き着いた光くんの鼓動はとっても速くて、なんだかそれに安心した。チラッと見えた光くんの耳が赤くなっているのを見て、また安心して、嬉しくなって、抱きしめる腕の力を強くした。 「こいびとごっこやなくて、こいびとでええやん」 「んー、なんかいった?」 「やくそくせえよ」 「? なにが?」 「ええから」 「? うん」 「(いつかおれの ほんまのこいびとになること)」 恋人ごっこ ((俺はずっと))((お前のこと好きやったんやで)) →企画サイトさま提出 |