【白金主要メンバーと灰】



日差しが強いわけでも弱いわけでもない。そんな適度な光を振りまく太陽の下。
集まったら明らかに平和とは無縁そうな七人が仲良く円を作り、弁当を囲んでいた。


「それじゃあ、今日私と宵藍とで作ったお弁当よ。心配は無いと思うけど、残さないでね」


にこり、と口元に品のよい笑みを浮かばせ手際よく何段もある重箱とも言えなくも無い弁当を並べていく女性、紫苑。


「えー、宵藍のも入ってんのかよ! 俺一気に食欲失せた!」

「生意気言ってないで食べなさい。宵藍は後でじわじわと苛めてくるタイプだからねー 何をされることやら」


宵藍、という名が出たことで顔を歪ませて口に含もうとしていた美味しそうなサンドイッチを遠ざけている少年、煉焔。

そしてそんな少年を諌めながらも楽しそうな表情で、これまた美味しそうなおかずに手を伸ばしている青年、梓萌。


「全く、あなた方は俺のことを何だと思っているのか。是非教えていただきたいですね。
……あ、蒼。それは最後に食べるやつですので、もう少し耐えてください」

「なんじゃその顔は。何の変哲も無いデザートじゃろ?
おい、その笑顔やめい。何が入っているのか大方予想がついて嫌で嫌で仕方ないのう…」


綺麗過ぎるとも取れる笑顔を浮かべながら、敬語で煉焔と梓萌を窘めている青年、宵藍。

その隣でもぎゅもぎゅと擬音がつきそうなほど実に美味しそうに料理を食べている男性の様にも見える女性、蒼。


「僕もなんとなく予想つくよ。宵藍君のことだし、ロシアンルーレットとか?」


楽しそうに笑いながらもお弁当の中から自分が食べるだけの量をちゃっかり小皿に入れて確保している青年、翔。


軽口を叩きながら食事をし、人間のように笑いあっている彼ら。言わずもがな、人間ではなくそれぞれポケモンである。

共通点は、同じ人物がマスターである。という事位しかないのではないか、と思ってしまう位にそれぞれキャラが強い。

そして、最後に。六人を纏めているのが、


「んー やっぱり、紫苑のご飯って美味しいね。流石は俺の嫁」


どこぞの不思議の国に出てきそうな猫宛らの笑みをその表情に乗せ、さらりと軽口を叩いている灰色の長い髪を風になびかせている女性にも見える男性。
この人がきっと誰よりもキャラの濃いであろうマスター。名は、灰である。


「灰の嫁は幾ら身があっても足りないと思うので丁重にお断りさせていただきます」

「ワア。シオンチャンテキビシー」

「灰よ、口調と表情。つりあってないぞ」

「あはー。蒼ってば、つれないね」


気の抜けるような声で笑い、蒼に呆れたような溜息を疲れているが、これでも一応彼らのマスターだ。
威厳は、普段ほぼゼロに近いことは…… きっと言う必要は無いだろう。


「んじゃ、俺はちょっくら喧嘩して… ごめん冗談だから。紫苑に翔、宵藍。俺をそんな目で見るなよ」

「貴方は冗談が過ぎます。少しは抑えてください」


にたにた笑いは相変わらず崩れない。そんな主に紫苑たちも諦めたのか溜息を零す。
進化しても、強くなっても、振り回されるのは何時までたっても彼らの方である。


「なんじゃ? 喧嘩基、バトルか? ならば儂も付き合うぞ」

「あ! 俺も俺も!」

「おー。見事に喧嘩っ早いのが揃ったな」

「煉焔! 蒼!」

「ごめんなさい。嘘です。俺は行きません」

「……相変わらずびっくりするくらい煉焔くんは紫苑ちゃんに弱いよね」

「刷り込みなんじゃないかな? やはり、煉焔は紫苑に育てられたようなものだもんねー」

「翔と梓萌うるせえ!」

「はは、うるせえぞ煉焔。しめあげるよ」

「ごめんなさい!」


笑いながら灰に言われた言葉に今にも土下座せん勢いで謝罪する煉焔。なんだかんだで仲が良いのか悪いのか。

今にも泣き出しそうな煉焔と心底楽しそうな灰の二人のやり取りを面白そうに眺める宵藍たち。


そんな、彼らの日常。





神流の花束を携えて



花言葉は、永遠。
 
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