ユアがまだ人間だったころの、未来世界時のユアとカナタのお話。 もういっそ泡になって消えてしまえればいいのに。そう、いうなれば童話の人魚姫のように。 ここで人魚姫なんて思い浮かべてしまう自分の女々しさに、我ながらひいた。 こんなおかしなことを考えてしまうのも、一人で海に来て、一人で海辺に座って、そうして時間を使ってぼんやりしていたからだろう。 今日も曇り空。 書物で読んだだけで、実物など未だに一度も見たことのない太陽は顔を出していない。 靴を脱いで素足を晒して、海に少しだけ足をつけてみる。 水は思っていたものよりもずっと冷たかった。 カナタのことが好きだった。 だけど、それも今日限りでやめてしまうことにしよう。つまりは、諦めるということだ。 悩んで悩んで悩んで。悩みつくして、もう、忘れてしまうことにした。 カナタへの恋心なんて。 初恋は実らないと聞くし、世の中がこんな風潮だから人生は諦めが肝心だろ、なんて前向きに考えようとしても、やっぱり辛くて。 所詮は片思いだし、カナタはポケモンで、私は人間で。カナタは私の困っている時にいつでも助けてくれるのに、私は彼に何も返すことができなくて。 こんな私のことを見捨てずに、今だに一緒に行動しているのだって、一重に彼の優しさである他ない。 私がどれだけ想ってもそれは何の形にもならないし、彼の重りになるだけで、そしてきっと叶わない。 もういっそ泡になって消えてしまえればよかったのに。 人魚姫なんて乙女のようなことを考えてしまう私はどれだけ女々しいのだ。 ああ、私も消えてしまいたい。何も残さずに、手間をかけさせずに、消えてしまいたい。 それはきっと悲しいことなのだろうけど、カナタを好きなまま消えてしまえるのなら、私は間違いなく幸せだ。 「……どうして、こんなに好きになっちゃうかなあ」 ぽつりと呟かれた言葉は無音の世界には思いのほか響いて、でも誰に聞かれるはずもなく、静かに消えていった。 硬い砂の上にごろりと体を横たえると、視界に広がったのはなんの変哲もない曇り空。 いつもと変わらない世界なのに、なんだか今の私の心の内を表しているようで、もやもやして、辛くて、哀しくて。 私の頬を濡らしたなにかなんて、知らない。 そんなもの、認めてやらない。 泡になって消えてしまえたら この苦しみから解放されるなら、それもいいかもね ――――――……‥ 桜灯さん、相互ありがとうございます! カナタとユアでシリアスめ。といった感じでしたが、これ肝心なカナタ出てきてませんね……。 どういうことなのorz こんなんでもいいならもらっていただければ幸いです。 桜灯さんに限り二十四時間いつでも書き直しを受け付けます! これからもどうぞ夢見鳥をよろしくお願いいたします。 下はコピペ用。桜灯さま以外のお持ち帰りはご遠慮ください。 |