泳ぐモノ
ふと、地面に影が射した。
見上げれば頭上に、悠然と魚が泳いでいる。影はコイツのモノらしい。
鯉に似た黒い魚は、一つ瞬きすると此方を見た。
「魚のクセに、と思うかい?」
泡(あぶく)を吐き吐き、魚は笑った。
「私からすれば、人間のクセに、だな」
言いつつ、魚は器用にウィンクしてみせた。
魚は笑い声を響かせて飛び上がると、波紋を残して虚空に消えた。
僕の影から泡が浮かび、弾けた。
なんだか似たような話があった気がする。
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