あてもなく彷徨う私の影よ
「まぁ、今度はどこに行ってきたの?」
久しぶりに帰ってきた私に、私は尋ねた。
私はただしかめっ面で俯いている。大方、私から離れてもっと私らしいところへ行こうと思ったのに、結局ここに戻ってきてしまったコトが悔しくて情けなくて仕方ないのだ。
私には、そんな私の様子が手にとるように分かった。
だってそれは私なのだから。
「あら、もう行くの?」
いじけていた私は、ふいにフラリと立ち上がった。
そのまま、なんともみすぼらしい背中を向けて、またどこかへと歩いていく。
行ってらっしゃい、なんて言葉は掛けない。どうせ結果なんて初めから分かりきっているのだから。
どれだけ彷徨おうと、私はここに帰ってくる。私は私に還ってくる。
「全く、お馬鹿さんなんだから」
鏡の欠片に映った私が言った。
その顔は、相変わらずしかめっ面で、なんとも惨めな顔をしている。
自作お題シリーズ。
「彷徨う」が変換されてくれない私のケータイェ…