03 臨也の前に再び赤い光が現れた。 その光は臨也に近づいてゆき、臨也の視界にその光の正体が確認された。 金髪の髪は夜の風になびき、赤い瞳は今でも宝石のように輝いている。 しかし輝きがあるのは左目だけで、右目は闇を移したようだった。 少女は静かに口を開く 「返してください。感じました、あなたから・・・」 少女はそう言うだけでこちらには何もしてこなかった。 どうやら、金縛りになっても口は動くようなので臨也は答えることにした。 「何のことかな?それにこの金縛りって君の能力だったりするの?」 臨也は少し顔はひきつっているものの、笑顔で答えた。 「わたしの右目のことです。本当に分からないのですか?」 「そうだねぇ。残念ながら。」 臨也がそう答えると、身体を縛っていた金縛りはスゥッと消えていった。 「そうでしたか。手荒い真似をしてしまい申し訳ありませんでした。貴方から気配を感じたので・・・」 ーー気配ねぇ。この子・・・人間とはまた別のなにかみたいだね。 臨也は服の土を払いながら少女に言った。 「いいよ。気にしないで。それよりも君は一体なんなのかな?俺も君みたいな存在には知り合いがいてね。さっきの金縛りについても色々聞きたいし。俺をコンクリートに打ち付けたお詫びとして、君のこと教えて貰ってもいいかな?」 臨也は新しい玩具を見つけた子供のように、しかし純粋な子供とはかけ離れた瞳で少女を見る 少女は少し間を置いてこう答えたのだった。 「私は、 ポウナと言います。 ギリシャから此処に来ました。 私の眼を探しています。 メデューサと言われている神話の怪物・・・ それが私です。」 少女の左目はそのとき月の光を吸い込みギラギラと輝いていた。 |