本日は久々のデートです
電車に乗って少し遠くまで
ワクワクで昨日眠れなかったのは秘密です
しかし本日は寒いですね
マフラーが離せません




『マフラー』




不動は花子の乗る1つ前の駅から乗ってくる


はぁ…と息を吐くと白い煙になり手に息をかけながら電車が来るのを待っているとブーン…ブーン…と花子のケータイのバイブがポケットから鳴った


ケータイを開くと
『5号車にいる』とだけ書かれたメールが届いた


花子は5号車のどのあたりに居るの?と返信しようと思ったが、まあ見つけれるだろうと考え『わかった』とだけ返信した


メールが送信されたのと同じくらいの時、駅のホームに電車が到着する合図が鳴り響く


目の前に電車が止まり、ドアが開き花子は電車に乗りこんだ


さて不動君はどこに?と車内を見渡そうとした時、急にマフラーを後ろから引っ張られた



「ぐぇっ」


「もっと可愛い声を出せねぇのか?」


振り返ると不動がドアの入り口の死角に立って花子のマフラーを掴んでいる



「可愛い声じゃなくて悪かったわね、それと私のマフラーから手を離して」


ピシャリと言い放つ花子の姿を見てどこか楽しそうに不動はマフラーから手を放した


「もぅ、形が変になったじゃない」


家を出る前に、鏡の前で何度も服装をチェックしたのが台無しだ。と続けて言おうと思ったが不動に今日の事を楽しみにしていた事がバレてからかわれそうなのでこの言葉は飲み込んだ


「はっ、マフラーくらいでうるせぇな」


そう言いながら不動は花子のマフラーを一度ほどき巻き直そうとする
(おお。たまには優しいじゃない)と花子もこの行為を素直に受け取ろうと不動のすぐ前に立った


「可愛くしてよね」


「あぁ?めんどくせーな」



そう、言いながらも丁寧にマフラーを巻いていくその手に見とれていると、あっと言う間に完成した


鏡を鞄から出して出来映えをみると。
なかなかどうして上手く出来ている


「上手だね。」と褒めながら鏡をじっと見ていると、不動が何か言おうとしているのか、あーとかンーとか唸っているので「何?」と聞くと意外な言葉が返ってきた。

「花子は、どんな格好をしてても可愛いんじゃねーの?」

そう不動は言い、ふいっと窓から見える景色に目線をそらした。
今、彼の表情は解らないが真っ赤な耳を見てだいたいの予想がつく。そんな様子を見て小さく笑い、呟いた



「今日は良いデートになりそうね」


……………


(おいおいなんだよあのバカップル)

(からかいに行ってやろうかなぁウシシシ)

(だ、駄目だよ小暮)

(ふっ…こんな所でいちゃつくとは…不動も詰めが甘いな)

(なぁ、もうちょっと近くの方がよく話が聞こえるんじゃないか?)



みんなの存在がバレるまであと1分!




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