ドラマなどでよくある台詞
『恋に年の差なんて関係ない』
うん、今の私にとってとても素晴らしい台詞だと思える



『恋>年の差』



「く・ど・う・か・ん・と・く!」

「…なんだ田中」

「え、映画のチケット2枚あるんですけどよかったら私と」
「すまない」

「ガーン。まだ言い終わってすらないのに…」

しょんぼりする私を見ていたチームメイト達は、またやってるよと小声で呟いたそう、またなのだ。

私は、これまで恋と言うモノをしたことがなかったので一目惚れというのも一種の伝説としか思っていなかった。
そう、なかったのだが

日本代表選手達のマネージャーになれた私は運命の出会いを果たした

監督、久遠道也

今までも、様々なアプローチを仕掛けてみたが全く良い反応が返ってこなかった


「やっぱり私が中学生だからかな…」

がっくりとうなだれながらも自分の仕事であるマネージャー業をテキパキと進めていく

「よし、お昼ご飯の準備できたね花子ちゃんみんなを呼んできてくれる?」

そう秋ちゃんに頼まれ、ふたつ返事でチームのみんなをグラウンドから呼び入れた

「「「いただきまーす!」」」

みんながご飯を笑顔で食べるなか浮かない顔でご飯を食べる花子の姿があった

「ふぅ…ごちそうさまでした」

「あれ?花子ちゃん全然食べてないッスね?」

「あ…うん!ちょっと今日は食欲なくってさ!」

あはは…と笑いながらなんとかごまかした

「(ダイエットしてすっごいスタイルがよくなったら監督だってメロメロよ!)」

どこからやってくるのか不明な自信をもちこの後も無理なダイエットを続け

「花子さん大丈夫ですか?凄くフラフラしてますが…」

「え?大丈夫大丈夫!冬花ちゃ…ん…」

薄れていく意識の中、聞こえてきたのはチームみんな叫び声、最後に見えたのは走ってこっちにきてくれる…


次に私が目を覚ましたのは白い部屋だった

「……どこ?」

「病院だ」

視線を前から左にずらすと、久遠監督が居た

「なんで私病院にいるんですか?」

そう訪ねると小さく溜め息をつかれた

「栄養失調でだ、体を作るこの大事な時期に食べる量を減らしてたそうじゃないか」

ああ、なるほど。と自分がしでかした事をやっと理解できた
食事量を減らして体を動かしまくったのがいけなかったらしい、我ながらなんと間抜けな

「…ごめんなさい」

「謝るくらいなら最初からこんなことしないでくれ」

ごもっともなコメントに反論できず、私はもう一度謝った

「なんでダイエットなんてしたんだ?」

「うぇえ…えーっとぉ…」

なんとか上手い言い訳をしようと目を泳がせる花子の姿を見てもう一度溜め息をついた

「何でもいいが私は自分で体調管理も出来ないような奴は好きじゃない」

「ぐふぅっ…監督は病人をいじめにきたのですね」

ぶつぶつと文句を言っている花子を見て、文句を言う元気があるならもう大丈夫だ。と言い部屋から出て行こうと立ち上がりドアに手をかけた時花子の方に振り返った

「もし、田中が中学校を卒業しても私のことが好きだと言うなら…考えてもいい」

パタンと軽い音を立ててドアは閉まり久遠監督は帰ってしまったが、残された白い部屋には顔を真っ赤にさせた花子の姿があった

「え…えぇ…えぇえええ!!」


……………

(監督!監督!この間の病院で言ってたことの意味を詳しく!)

(…なんのことだ)

(ふっふーそんなこと言っても無駄ですよ!田中花子は中学卒業まで健康な体を維持しながら監督のこと好きでいますから!)

(………)

手のかかる子ほど可愛いと言うが…

ちらりと自分の横で子犬のようにはしゃぎまわる花子の姿を見て小さく微笑んだ




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