※名前変換なし

キィン


青い空に小さく消えていく白い玉
我らが四番バッターによる本日初めての場外ホームランである

「一年ー!ぽーっとしないで早く玉を取りに行く!!」


「は、はい!」




『ぼーる違い』





「あぁあ…こっちの方に飛んできたと思ったんだけど…いてて」



ボールは運悪く、学校の雑木林に入っていってしまった
草や木の枝をかき分けて探すが見つからない全く見つかる気がしない



「見つからないと先輩に怒られるよー、お願いボールちゃん出てきてー」



こんなこと言っても無駄だと分かっていてもつい言ってしまう

ソフトボール部の先輩は怖いから早く戻りたい




ガサガサッ



「ボール!…ボール違いだった…」


転がっていたのはボールはボールでもサッカーボール…


どうしてこんな所に?と思いボールを拾いあげると向こうからガサガサと聞こえてきた


このサッカーボールの持ち主か?と思い、そっと向こうを見てみると「(あわわわ…部活の先輩より怖い顔…)」



ゴツい顔にピンクの頭鋭い目つき



怖い。怖すぎる。

多分このボールを探しているんだろうから近くに転がしておこうかと考えていると。
ふと気づいた



「(あの人ソフトボール持ってるぅう!!)」



私のように、ボール違いで拾ってくれたのだろう。
もうこれは話しかける以外選択肢はなかった



「(大丈夫!怖くない…怖くない…)あ、あの!」


「あ゛ぁ?」


「ひっ!あのッあの!このボール…」



ぷるぷる震え少し涙目になりながら抱えていたサッカーボールを突き出した



「なんだボール拾ってくれたのか。ありがとう」



フッと笑って私の差し出したボールを受け取る


鬼の目にも涙ならぬ鬼の顔にも笑顔だ。妙な関心をしていると



「そうだ、お前ソフト部だろ?ほらよ」



ポイっと投げられた白いソフトボール
探していた物がついに戻ってきた


「あ、ありがとうございます!」

「こっちこそありがとうな!お互い部活頑張ろうぜ!!」



そう言って鬼…いやサッカー部の人はニカッと笑った


……………


カキーン

私の心が打たれた

いわゆるギャップ萌というやつなのか?

いやむしろこれは…

(恋…ってやつなのかな?)

(一年!ぽーっとしない!!)

(は、はい!)




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