灰色の空からたくさんの水が、ざぁざぁ音を立てて落ちてきた


「雨…かぁ」



『雨のち赤』



今日の部活は雨のためと、鬼道の休憩も大事という言葉により中止になった


ちょっと用事があったため部活メンバーとは離れて居残りをしていたんだが帰るために下駄箱に来た今気づいた



「(傘忘れた)」



濡れて帰るか?
いやいやこの雨の量だ風邪を引く


うーん…と唸りながら空を見ていると



「土門君どうしたの?」


見ると、同じクラスの田中だった



「いやー…傘を忘れちゃってさー」


「えぇ!…今日スゴい降ってるよ?」



不安げな表情をして、このどんよりとした空を見上げた



「そうなんだよな…はぁ。濡れて帰るしかないか」


どれだけ考えてみても濡れて帰る以外いいアイデアが浮かばないので覚悟を決めて帰ろうとすると



「ま、まって!」



振り返ると田中は、持っていた真っ赤な傘を差し出した



「土門君これ使って!」


「え、でも田中他に傘あるの?」


「私は、えと家がすぐだしちょっとくらい濡れても平気なので!」



んー…女の子を雨で濡らす分けには…そうだ。



「田中の家って近所なの?」


「うん、だからこの傘を遠慮なく」


「俺だけ入るなんて却下、田中を家まで送るからそのあと改めて傘貸してくれるか?」


「うん!……ぇええ!!」



……………


ぱしゃぱしゃ


(そうだよなー最初からこうすればよかったな!)

(ぅ、うん)

(?ほらそんな端に立ったらぬれるぞ)

ぐいっと土門に引っ張られ、つい密着してしまう

(〜…!)

どんより曇り空の下に赤い傘と赤い顔が2つ

(傘忘れてラッキーだったかも…)

(??なに?)

(何でもない!)




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