わたしは世界で一番ばかな男を知っている。そいつの名はロシナンテ。海軍本部中佐で当時元帥の部下であり、海賊ドンキホーテ・ドフラミンゴの実の弟だった。そう、彼は雪の降る町で死んだ。あの日。わたしは降り積もった雪のうえに倒れていた男を抱きしめることしかできなかった。肌は人間の本来の体温をなくし、心の臓の音など聞こえやしなかった。ロシナンテ、ロシナンテ。何度声をかけようと返ってくる言葉も、わたしの頬を伝う涙を拭ってくれる温かな手も、なかった。ロシナンテ。わたしの名前をもう一度呼んで。わたしの手を握って。また一緒に任務をこなして、また一緒に大きな軍艦に乗ろう。わたしより身長の高い大男が、いつもより小さかったのを覚えている。
――「なあ、おなまえ」
わたしは世界で一番ばかな男をしっている。
――「すべてが終わったら。…結婚しよう!」
そうしてわたしは、そのばかな男を今も愛しているのだ。
@Roshinante.0524

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