04 まだ聞きたくなかった声


近くの店に着いてから、はた、と思いついた。

今日は1月1日。
店は当然……

「最後尾こちらでーす!皆さん押さないで下さい!」

「「うわぁ………」」

福袋目当てに長蛇の列ができていた。

「…ここ、東京の新宿だもんねぇ…」
「1月1日ってこと忘れてたな」

げんなりしつつ、尋子をつつく。

「どうする、後数時間はこのままっぽいけど」
「…先にバイトでも探すか」
「あー、そうだね。あとご飯もついでに」
「おー」

アテもないので、適当なベンチでケータイからググってみる。
『新宿 高校生 求人』 検索。
 ⇒1,130,000件hit! 東京って凄いね!

「…でもオレ、学校行かねーからせめて池袋がいい」
「バイト先?」
「うん」
「…もういっそ臨也さんに頼んだほうが早いんじゃない?」
「……オレあの人と相性悪そ「誰のこと言ってるの?」
「「!?」」

後ろから声がした。…特徴、のある声が。

「(…振り向いたほうがいいのか?)」
「(え、でも逃げれないよ?)」
「(…て、展開速すぎないか?)」
「(それは思うよ!私会うのにだいぶ時間かかったのに!)」
「―こそこそ何やってるのかな?」

先ほどより近くなった声が、後ろからかけられる。
尋子と目でアイコンタクトをとって、

「逃げるが勝ちだ!」
「やっぱ!?」

アイコンタクトの意味が無かった。
私は振り向く、って思ったのに。
きっとこの人は「何があっても逃げてみせる」と思ったのだろう…。

まぁでも、一応ついては行きますけどね!

「…へぇ。また面白そうな子が増えたねぇ」

後ろでそんな声が聞こえたけど、私は気のせいだと思った。


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