02 決まった事案
私がこの世界に来てからの間のこと、尋子自身のここに至るまでのこと…。
一通りざらっと話し終えると、尋子は私が出したお茶をズズっと啜った。
「…なんていうか…」 「ん?(ズズッ」 「……なんでもない」
ていうか…。
「尋子、これからどーすんの?」 「行く当てはあるよ」 「え、あるの?」
ちょっと意外。
「うん。――ここだけど」 「そういうオチですか」 「たり前じゃーん」
ここに住むって…。ここ、結構高いからなぁ…。 かの臨也さんが住んでるマンションだからね。
まぁ私一人にしては広いよなーとかは思ってたけど。 見事に一部屋空いてはいるけど。
「…あ」
臨也さんで思い出した。 メルアド!
私は尋子に大いに自慢してやろうと、さっきの衝撃的なメール画面から戻ってアドレス帳を開く。 そしてケータイごと尋子に突き出した。
「見てコレ!杏里ちゃんとか臨也さんとか!狩沢さんとか門田さんとか!紀田君とか帝人君とか遊馬崎さんとか」 「あーハイハイ分かったから黙れ」
そう言って尋子は私のケータイのアドレス帳を凝視した後―、
自分のケータイを取り出して赤外線送信していた。
「ちょい待て!それ駄目でしょ!人権とかプライバシーとか侵害とか関わってくるから!」 「冗談だって」
尋子サン。冗談なら送信完了させないで下さい。
「一応ね。自分で聞きなさい。私も苦労したんだから」 「ちぇー」
尋子のケータイを奪い、送られてしまったアドレスを消す。 ―本当、大変だったんだからー。特に臨也さん。一番楽なの紀田君。
「まぁいいや。とりあえずオレがここに住むことは決定したから」 「あ、やっぱ決まりなんだ」 「YEーS」
新年早々この人のテンションは何なんだ。
「オレの部屋は?」 「…あぁ、一個空いてる部屋あるよ」 「…何、今の間」 「気のせい。気のせい」
ホントに何もないから。 特に、使ってない部屋だから、片付けなくちゃ機能しないことを思い出したとかそんなんじゃないから!
部屋も決まり、服とかはこれから買いに行くということで決まった。
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