08 なぜかいた彼ら


「―じゃあ今日はもう上がっていいよ」
「え、平気っすよ?」

本棚の整頓をしていると、店長さんに声をかけられた。

「いいよ。今日早くから来てくれたし。それに、もう4時だよ?冬だから暗くなるのが早いから危ないよ」
「(襲われねーよ(笑))…わかりました。お疲れ様っしたー」

タイムカードを切って、エプロン脱いで、帰る。
池袋駅まで歩いていると、黒バイクが前を通り過ぎた。

「(セルティだぁ…!)」

一瞬…かよ…っ!
カメラ構える隙がないとは何たることだ。

「(…でも見えただけいいか)」

池袋駅から電車に乗り、そこらへんで降りて、帰宅。

―ガチャッ

「(…あれ?帰ってきてる…?)ただいまぁー……」

ドアを開けると、玄関に見たことのない靴が三足。……誰?
少し玄関で突っ立っていると、音に気づいたのか、

「あ、おかえりー」

と浩香ちゃんが来た。

「早かったね?」
「うん、まあね。ていうか、まだ遊んでるし?」
「え?」

疑問符を浮かべると、浩香ちゃんは心底楽しそうに笑い、オレをリビングへ連れて行く。

ドアをばーん!と無駄に大げさに開けると、

「きゃ」「わわっ」「うおっ」

―そこに、驚きながらこちらを見る来良三人組がいた。

「紹介するね!私の友達の足立尋子ちゃんです」
「あー、えと、始めまして」

こちらとしては始めましての気分ではないが、まぁ一応。
ていうか来良組かー。杏里ちゃん可愛いなー。

「あ…は、はじめまして、園原杏里です」

オレの視線を受けてか、杏里ちゃんが慌ててペコリと頭を下げた。
それで我に返ったように、帝人君が口を開く。

「はじめまして、竜ヶ峰、帝人です。あ、あの、お邪魔してます」
「あれ、私らが一緒に住んでること、よく分かったね?」
「あぁ、うん。呼ばれてきたっていうより、帰ってきたって感じだったから」

幼顔で笑う帝人君。なんかもう、自己紹介ここまででよくね?
残りの一人の金髪の目が凄い輝いてんだけど?
想いもむなしく、金髪少年が名乗る。

「始めまして足立さんっ!俺の名前は紀田正臣、来良学園の一年で、浩香と杏里の彼氏だからよろしくな!
ああ、もちろん、足立さんも愛せる自信あるから安心してく――あ痛ッ」
「ツッコミが追いつかなかったから、とりあえず殴っておいたよ」
「ありがとう帝人君」

若干手遅れっぽかったけど、君のおかげで手間が省けたぜ。

「正臣のことは無視していいから。よろしくね」
「よろしくお願いします」
「あ、こっちこそ、よろしく」

この手馴れた感に苦笑いしつつ、改めて挨拶。
ちなみに浩香ちゃんは、殴られてノびた紀田君をつついていたりした。


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