58あざっしたー
「あざっしたー」 「今回に限っては、此方こそ」
無事に山崎さんに携帯が戻され、銀さんは当然のようにそのままその場に座り、近場にあったお茶を勝手に啜った。 そのタイミングを見計らい、白ローブの人がぺこりと頭を下げる。
「どうも始めまして。オネイロスと申します」 「オロナイン?」 「難聴か!さっきの話にも出てきたでしょ!」
沖田さんと祐季さんのやりとりを完全に無視し、土方さんが頷く。
「あァ、やっぱりアンタがそうか。万事屋と知り合いだったのか?」 「いえ、道迷ってるとこを助けて貰って」 「ちょうどココに用があったしな。金も貰えるしラッキーと思ったんだが何これ、もしかして俺いい感じに連れて来ちゃった?報酬増えるかな」 「銀さんはちょっと黙ってて」
ほぼ関係ないし。 いや銀さんのお陰で何かといい方向に物事が運んでるのは本当だけど、それについて調子に乗られると若干ウザいから黙っててもらおう。 んだよ、と銀さんは不満気だったが、懐に入れてたチョコを差し出すと途端に大人しくなった。 あと4個ある。よし持つな。イケるイケる。
「あ、そこのお嬢ちゃん。祐季ちゃんだろ?」
不意にロスさんが私を見て言った。 驚きながらも返事をすると、
「ごめんな、押し入れなんかに押し込んじゃって」 「あ…」
そういえばそうだった。 私がこの世界に来た時、目覚めたら押し入れの中だった。 しかも万事屋の。
「本当はユキちゃんとこ返そうと思ったんだが、警察だって言ってたから、万が一捕まったらあの子達の面倒見終われないと思ってね。だから近場の何でも屋に頼もうとしたんだ。でも外はさみーし危ねーし、どうすっかなーと考えた結果、押し入れという結論に至った」 「なるほど…。でも私的には事前に状況を説明して欲しかったです…。気付いたら万事屋で、真選組に会いに行ったら囲われてビックリしたんですからね」 「ごめんごめん。でも案外満更でもない感じに見えたけど」 「否定はしないけどね!!ってか見てたんですか!!」
閑話休題しまして。
ようやく全ての謎が解け。 緊張もほどけ、沖田さんがぐでんと肩に頭を乗せてきた。 ウワアアア超可愛いなにこれ。
「想像してた中で最高の結果になったんだけど、一つ問題があってな」
と、そこで突然近藤さんがそんなことを言い出したので、何事かと思ったのだが、
「祐季ちゃんと祐季ちゃん…名前一緒じゃん。どうしよう」 「小学生か!!」 「私はユキでいーよ。適当に付けたハンドルネームだけど、意外と気に入ってるし、ロスもそう呼んでるから」
と祐季さんが言うので、今後は祐季さんをユキ、私を祐季と呼ぶことで決定した。 区別ついてよかったね近藤さん。
「よっし、ようやく全員揃ったんだから――今夜は宴だ!!」 「「「おおーー!!」」」
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