01えー……


「えー……」

何を思ったんだ、自分。
気分はどらえもんですか。次世紀の便利道具を先取りですか。

いやでもさ。
それ以外にこんな、朝起きたら押し入れの中でしたー!って状況を説明する材料が無い。
一万歩譲っても寝相が悪いなんてことは認めない。流石に限度があるだろ限度が。

――ぼふっ

「!」

え!?
ちょっと今、押し入れの外、つまり私の部屋から物音しなかった!?
ちょちょちょ!
つまり何、強盗が入ってきて私が邪魔だから押し入れん中突っ込んだって事!?
怖ーー!?

「………」

どどどど、どうしよう、えっと。
取り敢えずなんや向こう静かだから、今のうちにこっそり覗いて見るか。いなかったら窓から出て警察行こう。
そう思い、私はズズズと押し入れを開けた。
そこで、ふと思う。
あれ、私の部屋の押し入れって、人が寝れるようなスペースあったっけ…?
数センチの隙間から、そっと辺りを伺う。

「……へ……?」

思わず声が出た。
え、なにこれ…。
そこは、私に全く見覚えのない部屋だった。
間取りから広さから物から、確実に初見のものばかりだ。

ど…

「何処ここー……!!」

この状況下での最大限の叫び声を上げ、またガタガタと部屋を覗く。
…布団がある…。
これも家にない布団。
…ん?誰か寝てる…!?
けれど遠くて、どんな人が寝ているのか分からない。
自分目悪いし暗闇だしなぁ…。
そう いや今何時なんだろ…。

でも、ずっとこうしている訳にもいかない。
仕方ないので押し入れを出ることにする。

「…ぐがあああ…」
「ひっ」

慌てて口を押さえる。
今のは…、いびき…だよね?

「怖ぇ…」

声からして、男の人っぽい。
誰だよマジ…てかほんとここ何処。
恐る恐るながら近付くと――

「――――」

銀髪。
それが暗闇によく映えた。
よく見るとくるくると毛先があちこちに散らかっている。

そうか、これが俗に言う、

「天然ハゲ」
「天然パーマだァァァァ!!」
「ひぃぃぃ!?」

起きてたの!?
しかもこんな呟きにすら寝起きっから全力突っ込みなの!?

一瞬で起き上がったその人は、
相変わらずの一張羅で、
締まりのない死んだ目をして、
チリチリした天パで―

まぁ一言で言うと銀さんだった。



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