un向こうの世界
「…向こうの世界に?」
突然すぎる提案に、ちびちびと飲んでいた緑茶を喉に引っ掛けそうになる。
そんな私の反応を楽しむように、目の前の金髪碧眼はにっこり笑ってみせた。
「そう!帰ってみない?」 「そ、そんな簡単に」 「僕にとっては簡単なことさ。僕も行くから、勿論こっちに帰って来られる」
なるほどと納得はしたけど、したけども。 でも何で急に。そりゃあその、気にならない訳じゃないけど、でも…。
ひたすらに戸惑う私に、青年――ロスさんはグイッと迫る。
「理由がいるなら、うん、お詫びかな」 「お詫び?」 「キミのこと勝手に連れて来ちゃったし。お詫びに身辺整理くらいの時間はあげられるから」
ね、どう、と明るく話すロスさんだが、私はどうしても軽い気持ちで頷くことが出来なかった。
うんうん唸るだけの私を見かねたのか、それなら、とロスさんは切り札を出す。
「あと1人!あと1人なら誰でも連れて行こう!さあどうだ?」 「うううううう!」
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