『ずっと、そう、ずっと』

――狒々組補佐






ウラヤマシイなぁ、なんて思った事は無い。
…とは言い切れないけれど。
猩影とはうん十年、百年?くらい親友で。
大切だなぁと思うワケですよ。
最近じゃぁ狒々様の跡を継いで若頭っつーか、なんつーか…。


「…言うなれば俺がヒマなワケなのよ…」


はぁ。吐いた息は風が持って行って。
ボケーッと木に登って一日中何もしない。
つい五十年前に俺のジーサマ死んだから後ろ盾無くなったし。


「はー、今日はなにしようかねー…」


隣にいた奴が、とつぜん居なくなって。
今まで以上に忙しくなって。
顔も合わす時間無いって、どーよコレ。


「…よし、本家行こう」


即決即行動。
リクオ様なら相手してくれるかな、とか思ったわけ。
とんとん、と屋根を越えて門の前について。
開ければ小妖怪がいて。
中に入って、アイサツしながらリクオ様の部屋について。


「わーかー」

「っ、紫艶くん!?」

「ヒマ」


へら、と笑って。
自分よりも二回り以上小さい身体を抱きしめて。あー、これよコレ。
このぬくいのが良いのよ。
なんてやってたらゴンッ!て頭にショーゲキ。


「…いてぇ…」

「若から離れろ」

「…あれ、猩影、ここいたの」


涙目で見上げれば、見慣れた姿。
朝から姿が見えないと思っていたら、ココにいたとは。


「ホラ、紫艶も座って。少しくらいは覚えろ」

「…幹部なんて興味ない」

「大猿会は俺一人じゃ回んねえ。だから、紫艶、お前、補佐になれ」


ポン、と手渡された書類を思わず受け取って。
じわじわニヤケてくる顔をなんとかおさえようと試みて。


「ほら、言った通りでしょ」

「…そっすね」


にまー、と笑う俺は二人の会話なんかどーでも良い。
猩影と今までみたいに居られるなら。
べつに組がどーなろーと俺はカマワナイのだ。


「良かったね、紫艶くん」

「うん。」

「今日から俺と一緒に組の為にがんばろうな」

「うん」


紙を見ながら二人に答えた。
嬉しすぎて、顔が見れないので、ある。





 
【ずっと、そう、ずっと】
夢主、猩影、昼/ほのぼの


配布元:SNOW STORM


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