8月25日といえば、俺の大切な人の誕生日。
今日はテニスコートが整備の日だから、久しぶりになまえとデートをして帰ることにする。
「おまたせ、なまえ」
「別に待ってねぇよ。行こうぜ」
自転車置き場で待っていたなまえに声をかけると、男前なセリフが返ってきた。
……ああ、本当にかっこいいな、なまえは。
「今日はどうする?久々だから、何をしたらいいのかわからないな」
「別にそんなにはりきらなくていいよ。放課後お前と一緒にいられるだけでめちゃくちゃ嬉しいから」
俺を見てニッと笑うなまえに、なんだか恥ずかしくなった。
俺より少し低い身長で、水泳をやってるせいか肩幅が広いなまえの体は、しんなりとした筋肉がついていて無駄がない。
……女の子が放っておかないわけだよなぁ。かっこいいよな、なまえって。
「精市、クレープ食おうぜ」
なまえはクレープ屋を見て大はしゃぎする。
……前言撤回。かっこいいだけじゃなくって可愛いところもあるよね。
それから2人でショッピングをして、本屋に寄って……久しぶりのデートを満喫した。
まぁ放課後だからか、楽しかったせいか、時間の流れがとても早く感じたのが難点だな。
なまえを家に送っていると、不意になまえが手を差し出してくる。
「……今暗いし、誰もいないから」
耳を真っ赤にして言うから、とても可愛い。
「なまえ、耳真っ赤」
「……誕生日だから、甘やかしてくれるんだろ?」
手を握ってやると、肩に顔を埋める。
少し歩きづらいけど、そんなのどうだって良くなるくらいなまえが可愛い。
自宅に近づくにつれて、なまえの足はどんどん遅くなる。
「ほら、もう少しだから」
「……離れたくない」
「明日も会えるだろ?」
普段、みんなの前では男らしいなまえが、2人っきりになるととても甘えてくるのはギャップがある。
「ついたよ」
なまえの家の前につくと、諦めたのかなまえはあっさり離れる。
「今日はさんきゅ。また明日な」
「うん。……あ、なまえ、ちょっと待って」
家の中に入ろうとするなまえを呼び止めると、不思議そうな顔をされる。
「どした?」
「うん、言い忘れてたことがあって」
なまえの腕を引っ張って、腕の中に閉じ込める。
「ん!?」
「好きだよ、なまえ。誕生日おめでとう」
耳元で呟けば、一気になまえの体温が上がる。
「……俺も好きだぜ、精市」
ぎこちなく背中に手を回すなまえを、離したくないなって思った。

top