第二夜 「可哀想なお姫さま」




しとしとと雨が降り、雷が鳴っている嵐の中、校門の塀に二つの人影が。
その人影は静かに校舎を見上げていたかと思えば、密やかに笑い声を漏らした。

「ココがそうなの?」

「え、ええ…」

腰に手をあて、自信ありげに胸を張っている勝ち気そうな顔の少女とよく似た顔の、しかし対照的に自信なさげに傘を掲げている少女は戸惑い気味に答える。

「ココが、ね」

ペロリと赤い舌を出し彼女は唇を舐める。

「いるのね、“霜月の姫”がココに!」

「綺華、、、、」

「挨拶をしなくちゃ。旧家を纏める統率家の、正真正銘、霜月の血を引き継いだ可哀想なお姫さまに」

稲妻が落ち、不気味に少女の頬を照らしていた。





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