癒し成分配合
「そこはまだ未開拓だ、手を出しても意味はない」
「なら、どこがいいのでしょう?」
「あっちはどうかね、あの…なんていったかな…」
俺はとんでもなくどうでもいい会議に呼びだされていた。
本当はボスであるツナが呼ばれていたのだが、生憎アイツはサボったおかげで椅子から立ちあがってはいけない刑を執行中だ。
なので、俺が仕方なく出てきたというわけなのだが…俺もその刑に処されていた方がマシだったらしい。
目の前で繰り広げられる途方もない場所取り合いと、論争を繰り返し続けるひひじじいどもの声にそろそろ色々俺の何かがキレそうだ。
「あの地方はまだ制圧できてないのか」
「あそこは治安が悪いですからなぁ」
途方もない話し合いだ。これを暫く繰り返すと、そろそろディナーの時間だとか理由をつけて好きなもん食ってお開き。
同盟を組んでいるキャバッローネもきているからディーノがちらちらとこちらをうかがってくる。
そんなにみるな、ここはボス以外の人間は発言権すらもらえないところなのだから。
俺はただ話しを聞いてくるだけと思って此処に来ているため何を言うでもなく無言で此処にいる。
もちろん、話しを振られることはまずない。
こいつらが、大人数で次はどうしたいか楽しそうに話すのをひたすら年下の俺達は聞いているだけなのだ。
だったら呼ばなければいいと思うのだが、ボンゴレのことには全員が出席してこそ意味がある。
誰かが知らないところで何かをできないのだ。
そんなしきたりじみたこと俺はまったく興味なんてないわけだが…。
小さくため息をつくとディーノも疲れてきたらしい。しきりに時計を確認しているのを見れば、仕事を途中にしてきたのかもしれない。
あの、バカ馬。いつになったら要領よく仕事ができるのか。
ツナじゃあるまいし、いつまでもロマーリオの世話を焼かせるな…と、思うだけでとどめた。
愚痴愚痴とまだ話し続けているだけの会議は、まだ長引きそうだった。
「いやぁ、今回も疲れたぜ」
「お前、毎回あんなの聞いてんのか?」
「ああ、ボスも結構疲れるだろ?」
「俺はもう一切あれには出席しねぇ」
「そう言ってやるなって、ツナも寝ずにいつもがんばってるんだからなー」
たまにはちゃんと褒めてやれよ、なんて言いながら車に乗り込むディーノを見送った。
言われなくても褒めてる…いや、最近はだらけてばかりで褒めてなかったか…。
それはツナの自業自得だと思いだしてため息をついて、俺は車に乗り込んだ。
俺が此処に来てしまっているために、ツナの見張りはあってないようなもの。
帰って仕事してなかったらハリセンで叩いてやると、心に決めながら俺は車を走らせたのだった。
夜の道を常夜灯と街の明かりが車を照らす。
一人で外出することなど、滅多にないことに新鮮味を感じつつもなんだか物足りない感じに寒気がした。
いつもは暖かい車も、暖房をつけているのに温まりにくく感じるのは口だけはよく回るボスがいないからだろうか。
「あれを見たら…なぁ」
あんな会議に嫌嫌でも参加しているツナを思い出せば、仕方ない奴だなと笑って帰ったら少しぐらいは甘やかしてやってもいいかもしれないと思い始めた。
何と言っても、ツナは会議のあと疲れた顔はしているものの、なにが嫌だったとかどうしたかったとか特になにも愚痴ることはなかったのだから。
うまく獄寺が解消させているのかもしれないが、あいつも少しは大人になったということなのだろうか。
「子供って言うのはどうしてああも簡単に大きくなってんだろうな」
気付かぬうちに、自分がツナを抱くようになりそうして子供だ子供だと思っていたのも懐かしくなるぐらいに大人びているのだ。
そんな子供に手を出したのかと自己嫌悪半分、罪悪感半分でダメージを食らいながらも帰るなり車を片づけ屋敷へと戻った。
通りかかった獄寺におかえりなさいませ、と声をかけられてツナの様子を聞いてみる。
「十代目は、もう仕事を終わらせて自室に」
「早いじゃねぇか、出る前はあんなにあったのに」
「はいっ、今日は十代目がんばってお仕事なされてましたよ」
「そうか、ありがとな獄寺」
「はい、リボーンさんもごゆっくりおやすみなさいっ」
いつになっても変わらぬテンションのままの獄寺に笑いながら俺も自室に戻ってコートと帽子を置くなり部屋を出てツナの部屋へと向かう。
シャワーよりもツナに触れたいだなんて、俺も相当参っているようだ。
「リボーン、おかえり」
「ただいまだぞ」
部屋に入るなり声をかけてきたツナに返事を返すなりソファに座っているツナの目の前まで行くと手首を動かしてクイッと示した。
無言の立ち上がれのサインに、日ごろ逆らったらどうなるのか身にしみてわかっているツナは条件反射のように立ち上がり、首を傾げた。
「なんだよ?」
「…俺は、お前の抱き心地嫌いじゃないぞ」
「は?」
一言俺はそういうなり、ツナを抱きしめた。
ぎゅっと背中に手を回して引き寄せるとツナは驚いた顔をして固まっていた。
それをチャンスだとばかりに回した手で尻を両手で揉んでやれば、いきおいよく拳がとんできて俺は片手を離し、その手を受け止めた。
「危ないだろーが」
「なにすんだ、このセクハラ魔」
「セクハラ?俺はお前が嫌がっているようには見えなかったが…?」
「っ…帰ってきたかと思えば、会議いけなかった俺に対する嫌味なのか?」
ムッとして言ってくるツナにとんでもないと首を振ってやると、じゃあ何なんだよと納得していないようだ。
俺ははぁとあからさまにため息をついて尻を掴んでいるもう片方の手を背中に移動させると優しく撫でてやる。
俺より小さい身体は俺が手を回すだけですっぽりと入ってしまう。
背が伸びなかったわけじゃないが、俺の方が高かっただけのことだ。
でも、このサイズの方が良いので身長の方は話題にしないことにしている。
変なことを言って拗ねられるのも問題だが、もっと背を伸ばしたいと言われたらそれはそれでなにか恐ろしいことになりそうで…。
「疲れた」
「ん?お前が癒されたかったのか?」
「そーかもな」
「素直じゃない奴」
言いながらツナは、俺の背中に手を回してきて、俺を見上げてくる。
背伸びする仕草に俺は唇を奪った。
ちゅっちゅっと触れるだけのキスが、ツナが舌を差し出してきたことで深いものに変わった。
「んっ…ふ、ぅっ…」
「今日はまじめに仕事したみたいだな」
「ん、リボーンいないし…なにもしなかったら怒るだろ?」
「当たり前だろうが」
だからがんばったんだと主張するツナ。
それは、なんというか…喜んでいいのか怒って良いのかよくわからない。
とりあえず、ノルマは終わらせたようだし、褒める方でいいのかもしれない。
髪を撫でて、唇のほかにも顔中にキスをしてやり服に手をかける。
「もう尖ってるな」
「…リボーンが弄るからだ…身体が勝手に、反応するようになった」
「それは喜ぶところだな」
乳首をシャツの上から摘まんで遊んでいると、ツナの手が俺の手を取った。
日々のがんばりはこうした形で反映されてくる。
嬉しい身体の変化に、俺はつい笑ってしまったらしくツナがムッとした顔をする。
言っとくが、その顔は可愛いだけだぞ。
知らないと思うが、そんなツナの仕草の一つ一つに面白い奴だと思うと同時に、愛しさを感じている。
シャツのボタンを開けて、ピンクに尖った乳首を見ればそのまましゃがんで胸に顔を埋めた。
「アッ…恥ずかしい」
「みられて、感じるんじゃないのか?」
コリコリと舌で押しつぶしてやると身体を震わせて首を振っている。
だが、ツナの腕は俺の背中に回ってきて、ぎゅっと服を掴む。
甘噛みすると、上から甘い声が上がる。感じるたび、握った手に力がこもりスーツに皺が刻まれていく。
「やっ、もう、むり…」
「ああ、こっちはもう沁みができてるな」
「あぁっ、さわるなっ…やめっ、にぎらない、でっ」
腰が揺れているのを見れば自身を握る。
もう先端から先走りが溢れているのだろう、ズボンが湿っているのをみればそこを爪で擦る。
「ぁっ、あぁっ…やあ、あぁっ」
「イけ、ツナ」
「やだ、やだぁっ…で、る…でちゃうっ」
下着を濡らすのが嫌なのだろう。ツナは最後まで言葉で抵抗していたが、所詮口だけだ。
手は俺のことを掴んでいるため離れることはない。
でちゃう、でちゃう、と何度も言いながらびくっと身体を反らしてじんわりと滲むズボンを眺めていた。
その様子が、とても卑猥でエロくて、こっちまで煽られた。
いや、実際やったのは俺だが、下着を濡らして放心しているツナはとても可愛い。
とても言えたものじゃないが、心の中だけなら大丈夫だろう。
「はっ、あ…ぬれちゃった…ふっぃ…」
「大丈夫だ、気持ち悪いなら俺が舐めてやる」
「変態ぃぃっ」
泣きだしたツナは俺に身体を預けてきて、寝室まで運べと示してくる。
ベッドまで行ってしまえばこちらのものだ。
ツナをベッドに乗せるとようやく服を脱がせて、全裸にさせてもうイっている自身を俺は口に含んだ。
ネバついてにがいそれを俺は根元から舐めて綺麗にし、まだ先走りを滲ませている先端に吸いつくと腰がクッと持ちあがった。
ツナも男だ、自身を弄られると突き上げる動作をする。
誰のことを犯す想像をしているのだろうかと考えた時もあった。
だが、ツナは俺がそれを聞く前に女だと言って、でも最近はリボーン以外じゃ無理というようになった。
なかなか嬉しいことを言ってくれる。
自身を好きに弄っているとツナの手が伸びてきて、俺の服を引いた。
脱げのサインに、俺は身体を起こして服を脱いでいく。
「そんなにみるな」
「俺のことみてたんだから、いいだろ」
全部見たいよとほほ笑むツナはいつからそんなにあざとくなったというのか。
どっちが煽っているのかわからないまま全裸になるとツナは自ら足を開いて受け入れる体勢をとる。
俺はローションを纏わせて、指をいれた。
入口と、中にたっぷりと塗りたくりながらツナの手が俺の身体を撫でるのをそのままにした。
「かっこいい、身体」
「ツナのものだぞ」
「ん、俺の」
一回イってるせいで少し頭のネジが飛んでいるらしい。
感じながら夢見心地で返事をするツナは、なんだかいつもよりかわいらしい。
「きて…」
「深呼吸してろ」
ツナに誘われるまま、指を抜くと正常位で繋がった。
ツナの顔を見ながらいれると俺までも気持ち良くなれる。
これが本当のセックスなのだと教えられている気分だ。
これまで一方的なものをしてきたわけじゃないのだが、ツナとのセックスはどこまでも深く沈んでいくかと思うほどの充足感と満足感に満たされている。
だから、何度しようと飽きることなくこの小さい身体を抱くのだろう。
胸もない、声が特別可愛いというわけじゃない…だって男なのだから…それすらも超越して俺はこいつのことが好きで好きで仕方ないのだと思い知らされている。
「ふぁっ、あぁ…かんじ、ちゃう…」
「感じてろ、気持ちいいところしてやる」
「ぁっ、あぁっやあぁっ…こす、な、でぇっ…ふぁああっ、でちゃう…そんなに、したら」
ぎゅっと腕を掴まれて、目を閉じ感じ入っている。
ツナのこの気持ちいいって言う顔が好きだ。
俺のこれで、感じているなんて堪らないだろう。
「あー、癒されてるな」
「…は?っあ…ふ、なに?」
「いや、お前の身体はいつも気持ち良くて、癒し効果抜群だって言ってんだよ」
「えっ…やぁぁう、あっふぁっ…いきなり、やめっ…ああっ、いくぅっ」
言って手自分が恥ずかしくなってしまい、ツナをめちゃくちゃに突き上げた。
案の定不満顔で抵抗を見せたツナだが、すぐに快楽におぼれて、最後は俺の名前を言って果てた。
俺もツナの中に白濁を放って、お互いに満足すると事後処理をしてやった。
そのあと、ベッドに入って俺はツナを腕に閉じ込めて抱きしめた。
「今日はリボーンの方が甘えてるな」
「…ああ、そうかもな」
ただ、ツナの抱き心地が良いと思っただけなのだ。
それにツナも抵抗しないし、許されるだけ今日は抱きしめ続けていようと思うと、俺はツナにキスをしながら眠ったのだった。
END