許してもらえると思いやがって
今日はゆっくりするぞ、なんて言われて何を?と聞き返したのが俺の運のつきでした。
無理やり部屋に連れ込まれたかと思えばあれよあれよという間に裸に剥かれ、なにも言ってないのにローションやゴムがベッドの上に放り出された。
ゴムは主に俺が使う。
ああ、俺が入れる側とかそういう嬉しいことじゃなく、俺がベッドを汚さないためだ。
大体、これがでてくるということは、俺が精根尽き果てるまでやられるということを意味しているため、すぐさま逃げの態勢を取った。
が、十年以上も付き添ってくれた元家庭教師の先生さまはそんな俺の行動なんか見透かしていたかの如く俺の腕を素早くつかみ、にっこり笑って一言。
「溜まってんだ、ヤらせろ」
「…溜まってるならそれなりの態度と雰囲気が必要だろぉっ」
俺の叫びなんか関係ないとばかりに身体にローションをドバドバとかけられた。
もうこれじゃあ、ゴムの必要もないじゃないかという言葉も聞き入れてもらえないだろうから思うだけにとどめた。
大体、いつもは適度に使うそれを一瓶開けてしまって、あとで誰が補充すると思っているのだろう。
もちろん、俺に決まっているじゃないか。そのままにしておけば、適当にどこからか滑りを借りるものをもってきて使うのだ。
それでもいいのだが、できればそういうときはそういう用途にあったものを使いたい。
下手をしたら思いだしかねないからだ…悪いか。
これは自分を守るためのものでもあるのだ、どうしようもないが俺がやらないで誰がやる。
「文句言うなら、しかたねぇ…キスから始めてやる」
「いやいや、もうローションぬめぬめでそんなこといわれて、んぅ…ん」
言葉の途中で唇を塞がれて咥内を舌が荒してくる。
いつもとは少し違った、性急なそれにどうしてそんなにためる羽目になったのかについて考える。
最近はそれなりに忙しかったし、俺は休みなく働き充実感さえ覚えていたほどだ。
リボーンも同じぐらいの仕事量をこなしていただろう。
唇を触れ合わせて擦りつけるようにされて、そういえば、キスも久しぶりだったなと甘いそれを堪能するように舌でリボーンの唇をちろりと舐めた。
それに気を良くしたリボーンは、俺の後頭部に手を添えると引き寄せてますます深くを探られる。
舌が抜けそうになるかと思うほど吸われて、痺れてくれば力が勝手に抜けた。
思わずリボーンの肩に手を添えて引きはがそうとしたのか、引き寄せようとしたのかもわからず手を置くにとどめた。
くちゅっと濡れた音を響かせて唇が離れるとリボーンの唇もテラテラと光っていた。
「は…あたまんなか、痺れる…」
「そこまで痺れるかよ」
「もっと…」
ん、と唇を突き出すような仕草をすればすぐにまた塞がれた。
俺はじっとしてるのもつまらなくなってきて、肩に置いたままにした手を服を脱がす方へとシフトさせた。
こちらばかり脱がせてリボーンは服を乱してもいないというのは、どうにも落ちつかない。
いつもなら、同じようにして服を脱いでいくのにリボーンが勝手にするから…。
呆れながらもネクタイと抜き、シャツのボタンを外していくとリボーンもキスをしながら身体を動かして協力してくる。
それならば、自分で脱げと思うがそこで手ひどくはされたくないためそこも黙って置くに越したことはない。
「おせぇ…」
「な、おまえ…が、俺にキスしてるから、だろっ」
ボタンが途中だったのに、リボーンはいきなり身体を起こすと自分で服を脱ぎ始め、下着もすべて取り払ってしまう。
すっかり勃ちあがったものが見えて、思わず目をそむけた。
「今からお前の中に入るんだぞ?そんなんでいいのか?」
「おやじみたいなこと言うな」
「悪くない癖に、なにいってやがる」
そういうのも興奮するだろうと笑われて、言い返せない。
リボーンによってすっかり俺の身体はつくりかえられてしまった。
どんなに嫌だと言っても身体は反応するし、それでも痛いことはしないからそこが救いだろうか。
痛くても感じてしまいそうで、本当はあまり考えたくないのだ。
リボーンが好きだから、この身体は反応している。
冗談以外で笑うことはないけれど、ムッとしたのでわき腹に拳を入れようとしたが、俺の反応が読まれていたのだろうリボーンの掌に受け止められた。
「チッ…」
「お前、性格雲雀が乗り移ってねぇか?」
「そんなことないよ、雲雀さんの方がもっとえげつないってディーノさんから聞いたよ」
「…なんつう話しで盛り上がってんだ」
「彼氏自慢?」
にやりとわらって言ってやれば、一瞬あっけにとられた顔をしたあとそうかよと笑って押し倒された。
「なら、今度は俺も混ぜろ」
「えー。やだよ…リボーンは仕事してて」
ちゅっとかわいらしいキスをしてやるが、納得しない顔だ。
これは、いつかディーノさんがやってきたときに乱入されるなと少しの間注意することにした。
だって、こいつの持ってる情報は弊害を及ぼしそうだし…。
そう考えているうちに、リボーンは俺にかけたローションを伸ばしていた。
量が量なので、後ろにも塗りたくったが、身体全身にも濡れるぐらいにはある。
乾きにくくさらっとしたぬめりを帯びたそれは俺のお気に入りだ。
ローションにまでこだわってしまう日がこようとは自分でも驚きだが、それも気持ち良く受け入れるためを思えばまったく問題ではない。
「いつまで、そうやって遊んでる気だよ」
「ツナが強請るまでだぞ」
「強請らないし」
可愛く誘え、と言われて気持ち悪、と顔を顰めれば容赦なく頬を摘ままれた。
地味に痛い。
俺も手を伸ばして摘まみ返すが、リボーンが頬から離して突起を摘まんできたため力をいれ損ねた。
「アッ…」
「ここもぬるぬるだ、こうされるのは嫌いじゃないだろ」
くりくりと突起の周りを指でなぞる。そうするとますます尖って、触ってくれと主張するのにリボーンはそこばかりを撫でてくる。
反応を楽しみながらもう片方も同じようにされた。
「は…ぁっ、ふ…」
決して気持ちいいわけじゃないと思うのに俺の底は必死に触ってと主張する、強請るように見上げるが、言葉を待っているらしく、リボーンと目があっても一向にそれ以上に進んでくれない。
意地悪だ。
俺はリボーンの手を掴むが、手は止まることなく、動き続けている。
そのうち、リボーンは俺の手を掴み返してきて離させ自分の胸にあてさせた。
「あ…?」
「自分でしてみろ。これなら、自分の好きなようにできるぞ」
「…リボーンが見たいだけだろ」
「よくわかったな」
ほら、と急かしてくるリボーンに変態だ、変態だこいつ、と頭の中で散々言うのに結局は自分で好きなように突起を摘まんで弄り始めてしまった。
自分でするのは、あまり好きじゃない。リボーンはじっと見てるし、何より自分の手がいつもリボーンがするように動いてしまうのが恥ずかしくてたまらないのだ。
「ツナの愛撫はすぐにわかるな」
「な、にが…」
「俺の動き方で、自分の好きなようにいじるだろ」
じっと見つめながら言うリボーンの言葉に恥ずかしくなる。
自分の感じるように、でもリボーンの愛撫しか知らない俺の身体はそうなってしまうのだ。
意地悪しているのかと不服を訴えるように見つめるとそうじゃないと宥めるようにキスをされた。
そのあとで、両足を掴んだかと思うといきなり腰のあたりまで持ち上げてくる。
あっという間に、俺の視界には自分のものとリボーンの顔が見えて、なんのプレイだと苦しさに呻いた。
「こうした方が、やりやすいのは知ってんだろ」
「けど、これは…さすがに…」
「身体が柔らかいツナだからできるやつだろ、もういれてぇ」
これだと圧迫もすごいのだと言いたいのに、リボーンが秘部に自身を擦りつけてきているのを見てしまうと抵抗も止めてしまう。
そこがねっとりと先走りを滲ませて、くちゅりと触れ合う。
入口に突き立てるかと思ったのに、そのまま腰が引かれて銀糸が繋ぐ。
あまりに卑猥な光景に俺は目をそむけた。
「ツナ、こっちみろ」
「や、やだ…」
「恥ずかしがってても、こっちの先走りすげぇから興奮してんのばればれだぞ」
そう言ってリボーンが片足を離して、自身に触れてくる。
先端をくりくりと弄られて、腰が揺らめいた。
いくら自分の声を押さえてもこればかりはどうにもできない。
「かんじてんだろ、こっちみろ」
もっと感じさせてやる、なんて悪魔も囁き。
ダメだ、だめだと思うのに、また秘部にリボーンの先端が触れて今度はぐっと入りこんでくる。
先端だけを含まされて、俺は思わず締めつけた。
碌に慣らされてもいないが、毎日のように入れているものだ。こうして焦らされるだけでだんだんと開いてくる。
けれど、リボーンはそれ以上進むことはせず、すぐに抜き去ってしまう。
「ぁ…ふっ、ふぅ…な、んで…」
「とろけてきたな、可愛く強請ったら…やるぞ」
そういってまた触れてくるそれ、入って、今度はさっきより若干深く。
開かされていく快感に俺はシーツを握りしめた。
半分ほど、埋まって…締めつけを堪能してまた出ていく。
もう、焦らすのは止めてほしいと思うのに…リボーンは容赦ない。
「あっ、ああっ…はー、はー…はぁ…そ、それ」
「それ?なんだ?」
「んっ…それ、りぼーんの…」
直接的な名前をうわ言のように呟いて、濡れた眼差しでリボーンを見つめた。
長くて、硬くて、自分の好きなところを擦ってくれるそれが欲しい、それだけで一杯になった。
「ちょ、だい…ほしい、おくまできて、おく…こすってぇ」
「擦られるの好きだな、ほら…やるよ」
「ん、すき…す、きぃ…あっあぁっ…ふあぁあっ」
一度抜かれて、またすぐに入りこんできたそれは途中で止まることなく最奥まで突き刺してきた。
奥まで来た時には、自身からとめどない先走りが垂れて俺の顔に降り注ぐ。
この恰好は苦しいけれど、入れられたときに俺の堪らないところを強く擦ってくる。
理性が飛びそうになりながら喘ぎを漏らして、続けざまに揺さぶられて視界が揺れた。
「あつい、りぼーんの…あつい、きもちい」
「はっ…お前、今ヤバい顔してんのわかってんのか」
リボーンは俺を見て笑ったが、自分の顔が見れないためわけがわからず喘ぐままになる。
すると、リボーンは揺さぶりながら俺に手を伸ばしてきて、ぬるりとしたものを指の腹でのばして擦りつけてくる。
まさか、自分の垂らしたものを塗りつけられているとも知らず見つめていると、馬鹿だなと笑われてますます折りたたまれて、さっきよりも激しく突き上げてくる。
「やっあぁっ…ダメっもう…だめっ…ふかぁ、い…そこ、だめぇっ」
「ダメって言いながらもっとって締めつけてんぞ」
リボーンは楽しそうに笑って腰を速めた。
感じさせられるままに喘いで、そのうち限界が来る。
いく、いく、と呟いて、リボーンが最奥を突き上げて中へと放った途端俺は自身から飛沫を上げていた。
ぱたぱたと降り注ぐ白いものに、一瞬何が起こったのかわからず、中に注がれるものはどくどくと脈打って最後の一滴まで入れると、ようやく足が降ろされて苦しさから解放された。
「ごむ…結局使ってない…」
「どうせ、出しただけだ…気にするな」
放心しながらいったら、リボーンが俺の顔を撫でて指先で何かを拭っている。
何か嫌な予感がして、自分でそれを拭うと…案の定自分の出したもので濡れていてリボーンをにらんだ。
「なに…してんだよ、もー」
「興奮するぞ」
「もうしなくていい」
一体何をしたかったんだとしかえしにリボーンのシャツを掴んで顔を拭いてやった。
リボーンは変な声を出していたがもうしらない。
ついでに眠くなってきたので、もう今日は勘弁してくれと身体を横向けた。
すると、とぷりと奥から溢れるものがあって、身を小さく震わせた。
「っ…ばか、りぼーんっ…」
「褒めてんのか?」
「馬鹿にしてんだよっ」
どこまでもお気楽な頭だなと馬鹿にしてやるのに、リボーンの顔は緩みっぱなしだ。
抱きしめてくる腕をそのままにさせて、俺はしかたないなと結局許してしまうのだ。
惚れた弱みがどこまで通用するのかわからないが、今回もそれで許してしまうらしい。
満足そうな顔をされてしまっては、そうするほかないだろう。
「お前のその顔、他の人たちにも見せてやりたい」
「これは、ツナ限定だぞ」
「結局、ゆっくりじゃなかったし…」
「そうか、そんなにしたいなら、もう一回してもいいんだぞ?」
さらりと言われた言葉にさぁっと血の気が引いた、やめろとリボーンの腕を振り払って話しかけてくるのを無視してタヌキ寝入りを強行したのだった。
END