傍にある身体
さらさらと髪が揺れる。
頬を撫でる風が、昨日開けたまま締め忘れた窓から入り込んだものだと気付くが、まだ起き上がれるほどに頭は覚醒していなくて隣にある身体に顔を擦りつける。
俺と同じ体温で、ゆっくりとした寝息にリボーンはまだ寝ているんだと思うけれど、こっちはだんだんと頭が覚醒してくる。
「リボーン…」
パジャマを掴んで、足を絡ませ抱き着いた。
リボーンは小さくうなると、俺の背中を抱きしめてきて、俺の首筋に顔を埋めてしばらくすると動かなくなった。
また寝たかな、と考えて俺は目の前の鎖骨に舌を伸ばした。
俺としてはもう頭も覚醒してしまって、起きたいけど、起きたくないというところ。
もう少し悪戯してもいいかなと鎖骨を舐め続けるが、何の反応もなくてもそもそとパジャマのボタンを外した。
あらわになる胸に腹筋、肋骨、と指先でなぞって胸まで来るといつもいじられる突起をふにっと触った。
俺と同じはずなのに、俺の方は触られるとすぐに硬くなるけどリボーンは違う。
いつまでも柔らかいままで、本当に俺の身体は開発されてしまったんだなぁと他人事のように感じていた。
「悪戯するな」
「あ、起きた?」
「あれだけ触られればな」
まったく、遊んでる手はこれかと腕を掴まれるが、笑ってちゅっとキスをすればリボーンはそれを深くしてくる。
キスが気持ちいいと舌を差し出して吸い上げられると簡単に火がつく。
昨日は仕事終わりで、シャワーを浴びるのでいっぱいいっぱいだったため二人して倒れ込むようにベッドに入った。
隣で眠っているだけましというものだ。
片方がベッドにたどり着けず、というかリボーンが忙しかったときはソファで力尽きていたりしたから…。
何の意図もなく触っていたが、だんだんと我慢ができなくなってくる。
思いついた時にシているから頻度とかはまちまちだったりするが、隣にいてこれだけ密着しているのだ、その気がなくてもしてくなってくるだろうと腰を押し付ければリボーンの手が俺の脇腹を撫でる。
くすぐったくて身を捩ると触られたかったんじゃないのか?と囁きながらボタンを外される。
触ってほしかったには欲しかったけれど、寝たい欲求の方が上だと言ったらリボーンは怒るだろうか…。
「もう少し…寝たいな?」
「却下だな」
「元から寝かせるつもりなんてないくせに」
聞くなよ、といいながらリボーンの唇を受け止めた。
ちゅうっと吸って離れるリボーンの唇を追えば、またキスをされてリボーンが俺の上に覆いかぶさる。
絡めていた足がシーツをすべり、俺は仰向けにされて、胸を指先でいじられた。
ぴりっと感じて、すぐにそこが固くなるのを感じる。
「リボーンのは…ならなかったのに…」
「俺が努力したんだぞ、早々簡単にできてたまるか」
「乳首開発が努力とか言われたくない」
言い返せば咎めるようにきゅっと捻られて、思わず声が出る。
窓があいているのに、と口を手で押さえるが手首を掴まれて頭上に。
「ちょ、閉めろよっ」
「んー、知らねぇな」
「ばっ…かぁ…んぁっ」
胸に顔を埋めて吸われた。
舌でゆっくりと舐められるとざらりとしたものが突起を舐めるのがわかり、下半身へと快楽を伝えてくる。
薄いズボン越しにリボーンの太ももが当たって、知られないようにと腰を逃がすが、リボーンがにやりと笑って、膝でぐりっと押し込んできた。
「ひ、あっ…やめっ、あぁっ」
「逃げようったって、そうはいかねぇぞ?」
「んっ、ぁあっ、でちゃ…っ」
「もうか?」
ぐりぐりとされて俺は快楽から逃げるように首を振った。
リボーンの与えてくる刺激は的確で、どうやっても俺が感じるように触る。
胸もさっきから吸われて、赤くなっているだろうにそっちにばかり気を取られないように足はずっと動かしている。
どれだけ器用なんだとエロテクばかり磨く男に一言言ってやりたいが、あいにく俺の口から出る言葉はどれも意味のないもので、声を絞り出したとしてもねだっているような喘ぎ声だけだ。
「もっ…だめ、やぁぁああっ」
「相変わらずだなぁ?ツナ」
「はぁっ…はぁっ…さいあく、なんで脱がしてくれないんだよっ」
「いいじゃねぇか、俺はお前が出したびしょびしょの下着も悪くないと思うぞ?」
にやりと笑ったまま言われた一言に思わず手が出るも、それもさらりと躱してしまう。
どちらにしろ、当てれたとしても力が入らない身体ではどうにもならない。
「うぅっ…ばかりぼーん」
「お前が最初に煽ってきたんだろうが」
顔を寄せてキスをする態勢に俺は唇を寄せる。
舌を出して唇を舐め、脱がしてと請うとリボーンの手によってズボンが脱がされた。
リボーンが言った通りびしょびしょになったそれの感触が足に触れて気持ち悪さに顔をしかめるが、すぐにリボーンの指がそこに這わせられて、秘部を探ってくる。
自然と開く足、リボーンは小さく笑って指が入り込んできた。
「暑いな」
「まっ…みえるからっ」
「はぁ?いまさら何言ってんだ」
「カーテンっ、まどっ」
リボーンの目の前にさらされることに抗議してるんじゃないとさっきから風が入ってきてレースのカーテンを揺らしている窓を指させば、チッと舌打ちをして窓を閉めにベッドから出ていくリボーン。
いつの間にかリボーンも下を脱いでいたらしく下半身丸出し状態だ。
あれでは俺が閉めてといった意味がない…。
両手で顔を覆っているが、すぐにリボーンが戻ってきて暑いといった掛布を取り払った。
自由に動くためにはそんなもの必要ないとでもいうような仕草に、煽ったといっても俺より性欲が強いのはリボーンだろうと心中で悪態をつく。
どちらにしろ、俺が誘っても誘わなくても俺は抱かれていた。
「もういいだろ」
「いーですよ、せんせー」
ローションをいつもの引き出しから出してくるとリボーンは手のひらで温めそれを秘部へと塗りつけた。
余ったものは俺の自身にいたずらに塗りたくられる。
ヌルつくそこに指を入れられて簡単に抜き差しされる。
もう何十回、何百回とされてきた行為だ。当然慣れているはずなのに、リボーンの指が入ってきたというだけで俺の中は喜ぶように締め付け、絡みつく。
指が増え、中を広げて慣らしていく。
面倒くさいなんて一言も聞いたことがない…どんなに急いでいても、こうして抱き合う時は痛みもなく挿入してくるのだ。
「は、ふ…も、いいよ」
「なら、いれるぞ」
指が引き抜かれて、すぐに熱いものがあてがわれる。
ゆっくりと入ってきたものに背筋を震わせて、リボーンの腕を掴むとその手を背中に持って行かれる。
条件反射で肩を掴み、リボーンが俺の腰を引き寄せて結合が深くなった。
「ひっ…ああぁっ、ぁっあっ…んん」
「くっ…まだ、しめるな」
「むりっ…はぁん、だって…そこ、するじゃんっ」
締め付けるなといいながら感じるところを突きあげられれば無理に決まっているじゃないか。
なのに、リボーンは容赦なく腰を回して感じさせてくる。
思わず指先に力が入って爪を立ててしまうのに、リボーンは全く意に介した様子がない。
がつがつと突き上げられて、無理をされていると思うのに、どこまでも優しいまなざしで時々胸が締め付けられるぐらいせつない顔をする。
言葉がなくても愛されていると思い知らされる。
「はぁ、はぁ…りぼーん、りぼっ…あぁっ、もう…だめっ」
「いいぞ、いけっ」
「はぁぁっ…うぁぁっ!!」
「…くっ」
ずんっと突き上げられて俺は身体を震わせ、中を締め付けた。
俺が吐き出すと同時に中に吐き出されて、その余韻にも感じた。
荒い呼吸を繰りかえしながら力を抜けば、ベッドに身体を預ける。
リボーンが俺の上にのしかかってくるのには文句を言わず背中を優しくなでた。
そのうち、小さくなったものが抜け落ち満足にため息を吐く。
「…あつい…」
「…開けたままでよかっただろ」
「でも、声聞こえるのやだ」
リボーンはけだるそうにまた窓を開けに行く。
さらりと風が吹いて髪を揺らした。
「あー、休みって最高」
「だらけるなよ、明日はしっかり働いてもらうんだからな」
だから、下半身丸出しはやめろよ…。
これじゃあ何も締まらないなと笑って、わかったよと返事をする。
そのかわり、今日は心行くまで一緒に寝ようかとベッドの中からリボーンを手招いたのだ。
END