休憩時間六十分の活用方法


ボスは大きな椅子に座ってるだけでいい、なんて誰が決めたのか。
いや、誰の妄想なのか…。

「次は、今度傘下に入るファミリーとの会食だよ。といっても、一時間ぐらいは時間があるから少し休んで来れば?」
「ありがとうございます。そうしてきます」

なんでか、数十日前からいきなり仕事が立て込んで執務室の椅子と車の椅子と仲良くなれるレベルに俺はいろんなところに連れまわされ、抗争に駆り出されと忙しくしていた。
もちろん、ほかの守護者も例外ではない。
ほとんど顔を合わせず、時に隼人だったり骸だったり、ちなみに今は雲雀さんだ。
リボーンは忙しくなったあたりからぱったりと顔を合わせなくなった。
それもそのはずだ、リボーンは俺の裏で俺の次にすることの打ち合わせやら予定の摺り合わせを一足先にやっててくれているのだ。
顔を合わせられないのも当たり前で、忙しいくせにリボーンの熱が恋しく思えてきていた。

「はぁ…眠い、とりあえず寝るところから」

当然俺の睡眠時間も極端に少なくなり、ベッドにしっかり入るのも久しぶりといった体だ。
屋敷の中をなんとか足を引きずりつつ自室にたどり着き、ネクタイを解くと首元を緩めベルトを抜き去りベッドにダイブ。

「…いきかえるぅ」

こんなにフカフカベッドで目なんか閉じたなら、きっと一時間では起きないだろう。
でも、雲雀さんなら問答無用でどうにかして起こしてくれるだろうからそれを待つのもいい。
俺はそのまま目を閉じて仮眠を取ろうと思ったが、突如感じた殺気に反応して俺は銃を抜き安全装置を外した。
が、それはすぐにしめられて手首を掴まれる。

「え…」
「ようやくお出ましか」
「りぼ…んぅ、ふ…」

いきなり現れたリボーンに驚いて声を上げるが、すぐにその唇がふさがれた。
入り込んできた舌に翻弄されて一気に身体から力が抜けていく。

「ちょ、なに…ん、あ」
「やらせろ、あと三十分しかねぇんだ」
「…まじ?」
「おおマジだぞ」

力が抜けたのをいいことに、俺のシャツを脱がせ…下も下着と一緒におろされた。
一切の冗談をまとわせぬリボーンの顔に本気かとあきれるが、そんな俺はお構いなしに行為は進んでいく。
外気に触れて寒さに身体を縮こませるように足を曲げようとしたが、それもかなわず突然くわえられる。
あんまりの刺激にビクッと腰が揺れて一気に鳥肌が立った。

「あっは…あん…や、りぼ…やっ、いく、いくっ」
「……」
「やん、あっあぁああっ!!」

じゅっと強く吸われてしまえば、たまっていた俺はすぐに吐き出してしまい、リボーンは口を離すなり後ろに俺の吐き出したものを口から吐き出して塗り付けていく。
ローションがあるのにそれすらも取る時間がもったいないとでもいうような行為に、俺は抵抗する気も失せた。
三十分ということはすぐに入れないといけないだろう。
俺は万が一を考えて自分で枕を取り腰の下にいれた。

「気が利くじゃねぇか」
「だって…痛いの嫌だし…俺だって、気持ち良くなりたい」
「お前、全部片付くのまだ先だって知ってるか?」
「知らない…全部みんながかわるがわる予定を伝えてくるから考えるのをやめたよ」
「このダメツナ」
「お前に言われたくない」

言いながら指はしっかりと中を広げているから怒りたいのか、ヤりたいのかわけがわからなくなりつつ指が二本入ったところで俺はタイミングを見計らいローションを取り秘部に大量に零した。
リボーンが三十分ということは、俺にはあと三十分ほど時間があるということで…。

「もう入れて」
「は?いくらなんでもいたいだろ」
「いいから、だいじょうぶだから」

なんとしてでも最後までやって気持ち良くなりたい。
残りの三十分はシャワーを浴びることに決めて、俺はリボーンを見つめ腰を揺らした。
舌打ちして、けれど指を抜くなり自身を宛がわれて一瞬身構えた俺を見るとにやりと笑う。

「これぐらいでビビってんじゃねぇぞ」
「ビビってない」
「いくぞ」

ずずっと入り込んできたそれをいつもより大きく感じながらローションの助けもあっていきなり最奥まで突き上げられても苦しくはあったが痛みはなかった。
そのまま休む間もなく腰を掴まれてがつがつと獣みたいに腰をぶつけてきた。
本当は少し痛かったし、苦しかったけれど中を擦られて先端で俺の感じる部分を刺激されたらひとたまりもなかった。

「ひあぁっ、そこ…あぁあっ、きもちい…やっん」
「当たり前だ。俺が抱いてるんだからな」
「ふん、んんっ…ぁあ、もっと…して…ずっと、こすって」

キスをして苦しくなったら息継ぎのために離して、と繰り返しリボーンの大きなもので擦ってもらえるのが気持ちよくて一気に煮えた頭でねだる言葉を発していた。
そこいい、そのままずんずんして、ぐりぐりってして、と思いつく限りの卑猥な言葉でリボーンを誘い、そのたびに臨むまましてくるからもっと乱れて、絶頂がすぐそこまで来る。

「あっあっ、ひっ…いく、いっく…でるぅっ」
「だせ」
「んぁっ、あぁっあぁああっ!!」

最奥と突き上げられて、俺はリボーンの言葉のまま白濁を放って、それと同時に中を締め付けてリボーンも俺の中に吐き出していた。
注ぎ込まれる熱を感じていたが、すぐにリボーンは抜きだし、目の前で腕時計を確認した。

「時間だ、いってくる」
「もー…どこの発情期の動物だよ」
「なんだ?人間はもとから動物だろ」

俺のクローゼットを開けてネクタイをしめなおすリボーンをめちゃくちゃに感じさせられた身体を起こしつつ悪態をつけば当然のような答えが返ってきて、苛立つ。

「これが終わったら、覚悟しろよ」
「ほぉ、それは楽しみだ。ボスからのおねだりとあれば聞かない手はねぇな」
「…ばか」
「お前も気をつけろよ」
「ん」

外したままのボルサリーノをかぶりなおして、今までセックスしていたという余韻一つ残さず黒い男は俺にちゅっと触れるだけのキスをしてさっさと部屋を出て行った。
時間を見ればぴったり三十分。
俺はというと残り三十分を有効に使うために身体を起こした。
寝るつもりが、不意の予定変更に嬉しくも悲しい。

「ちくしょう、俺の睡眠時間返せ…」

仕方なくシャワーを浴びながら後ろに注がれたものを慣れた手つきで掻きだし、スーツもいつもの出かける用の白スーツに着替えてネクタイを締め終えたところで、ドアをノックする音が聞こえる。

「はい」
「時間だ、車をつけたから五分以内にきてね」

簡潔に言うだけ言って雲雀さんは歩いて行った。
靴の足音が聞こえなくなると、俺も時間がやばいとますます焦る。
今一度鏡で身なりを確認し、リボーンの痕が残っていないかちゃんとチェックをして部屋を出た。
残っていたら残っていたで、嫌な気分になるのに残っていないで、寂しいと思うのだ。
こんな俺の気持ちを知ってか知らずか、リボーンを忌々しく思い、廊下を歩きながらふぁっと欠伸を漏らした。
会食の時にはちゃんとご飯を食べてあくびをしないようにしないと、と心に念じながら歩く。
車に乗り込むと遅いよ、と厳しい一言にすみませんと謝って、走り出した車にまだまだこの忙しさは終わらないのか、と気が遠くなる思いがした。
中途半端に高められて、一度は終わったはずなのにくすぶる何かがあるのはやはりゆっくりじっくりと抱かれていないからで…。
今度は、時間を取って睡眠時間も何もかも気にせず抱き合うことができたらいいな、と小さくため息を一つ吐いたのだった。



END







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