深い海に溺れていく
怪我が治り仕事復帰一日目。
俺が療養している間、滅多なことでは病室に来なかったツナはまじめに仕事をしているらしかった。
時々やってくる獄寺や、骸の情報だ。
雲雀までそんなことを言えば、俺が死の縁を彷徨っている間、構成したのかと少しばかり嬉しくもあった。
あのツナを見つける日々が終わるのかと思うと少し寂しい気持ちがあるが、そんなの関係ない。
面倒がないということが、一番安泰なのだ。
なまってしまった身体をどうやって元に戻していこうかと思案しながら執務室に向かっていると、角から人がきてとすっとぶつかった。
「ああ、すみません。よそみしちゃ…って」
「ツナ、お前…」
「えっ…とぉ、トイレに行こうかとっ」
「反対方向だぞ」
「ちょっと資料を取りに…」
「それは下だろ」
「雲雀さんに、会いにっ」
「こっちの方向にあるのはお前と俺の部屋だけだよなぁ?ツナ」
俺が復帰した早々何してんだ?と睨んでやれば、逃げ出そうとするのを襟を掴んで引き留める。
ツナは暴れるが問答無用で執務室へと連行した。
「おい、なんでこいつ逃げ出してんだ」
「あ、十代目っ。この書類お願いしますよ」
「はぁい」
「今日までなんで、がんばってください」
獄寺は苦笑しながらツナを見ている。
ツナも申し訳なさそうに机につくなり仕事に戻ったようだ。
俺は暫く眺めていたが、骸の気配が部屋の外に感じると俺はそっとツナの傍を離れた。
「おや、でてくるとは思いませんでしたね」
「サボってないって言ったが、サボってんじゃねぇか」
「ああ、あれはあなたが来たからだ、とそう解釈しないんですか?」
「は?」
骸に嘘をついていたのかと聞けば、クスリと笑って鈍感なのはこちらもですか、とため息をついている。
なんだと先を促せばやれやれと言った風に口を開いた。
「綱吉くんがサボる意味ですよ。彼は、あなたが復帰したからサボり始めた。だからつまり、あなたとの時間を欲しているのですよ」
「なんでだ。プライベートでは一緒だろ」
「それでは足りないんですよ。喉が渇くように欲する。水を飲むように。息を吸うように…隣にいることが精神を安定させる。そういうことでしょう?」
まぁ、極論ですがね。と笑う骸に嘘はなさそうだ。
俺がいないあいだ、アイツはしっかりと仕事をしていた。
だとしたら、俺が仕事の妨げなるようなことをしているというわけなのだろうか。
だったら、俺の存在こそ邪魔じゃないのか。
「俺は、此処に来てもよかったのか?」
「アルコバレーノが気に病む必要はどこにもありませんよ。あれは彼の悪い癖です」
「直させる」
「まぁ、精々頑張ってください」
俺のことを見ていたらしい骸はそんなの無理だと言いそうになるのをこらえたようだった。
無理なのは承知だ。
俺が甘やかし過ぎたのも原因だろう。
今回のことは、身に沁みた。
俺がいないくなることで、ツナが甘えることを止めるのはいいことなんじゃないのだろうか。
「何を考えているのか知りませんが、自分がいなくなればいいかもしれないなどと考えるのは止めてくださいよ。そしたら、綱吉くんは精神的にダメになりますから。確かに、彼は理想的なボスを演じるでしょう。けれど、それでは彼らしさがなくなってしまう」
そうは思いませんか?と問いかけられて、俺はつい笑ってしまった。
面白い要素がないが、いかにもあいつらしい。
こんなにも守護者に認められて、心配されて、しょうがないと思われながら見守られている。
「アイツは幸せなボスだな」
「気付いてないだけで、結構幸せですよ。長話をしすぎたようだ…では、僕はこれで」
失礼、と骸は執務室へと入っていった。
俺はもう仕事に戻る気も起きず、適当に時間をつぶすために書類整理しに下へと行くことにする。
きっと、俺がなにもしない間すごい惨状になっていることだろう。
夜になれば、俺は自室へと戻った。
まだ完全復帰とはいかず、歯がゆい。
だが、ツナは今日来るだろう。今まで手でしかしてやれなかった。
焦らしているつもりはないが相当焦れていたようだ。
「今日は、どんな風に楽しませてくれるのか楽しみだな」
ニヤリと笑って、俺は先にシャワーを浴びることにした。
身体を温めて待っていると、ツナがやってくる。
ツナもシャワーを浴びて来たらしくほのかに石鹸の匂いがした。
「リボーン…いい?」
「いいぞ…こい、ツナ」
ベッドにあがってきて顔を覗きこんでくるのを引き寄せた。
最初から唇を開いて、舌を差し込んでくる。
もう待てないという意思表示に俺は笑って、舌を絡ませながら服を脱がしていく。
ツナも性急に俺の服を脱がしていき、お互いが裸になるのは早かった。
「もう、欲しい…」
「急には入れられないだろ」
「さっき、慣らしてきたもん」
どうせだったら後ろからでもいい、と四つん這いになるツナ。
秘部を確認すれば確かに解れているようだ。俺はしかたなく、その要望に応えるべくローションを手に取ると尻に大量にぶっかけた。
こうなってはなるべく痛みがないようにを心がける。
欲しいと言ったら何を言っても聞かないツナが悪いのだ。
俺も自身を扱いて、そこに宛がえばヒクリと伸縮して俺の先端を含みたいと訴えてくる。
「つくづく思うが、エロイ身体になったな」
「っ…リボーンが、したんだろっ」
からかってやれば、耳まで赤くして振り返る。
そんな顔するから俺に好きなようにされるんだぞ。
笑って、腰を揺らし含ませては抜いて、含ませては抜いてを繰り返す。
そのたびに、中は吸いつくような動きを繰り返して、ツナの上の口もだんだんと喘ぎが混じり始めてきた。
「んぅ…ひ…ね、ぇ」
「ん?なんだ?」
いれては抜く、そうしているうちにツナの腰が揺れ始めた。
視覚的にも楽しい状況になってきたと笑って、一度突きいれて、馴染む前に抜く。
ツナの口からはふっふっと忙しない呼吸音が聞こえてくる。
もう少しか、と俺は計算して前を触ってやればとろとろと先走りがシーツに垂れていた。
決定的な刺激を与えることはせずに、三分の一ぐらいをいれてゆるゆると揺らしてやる。
「ぁっ…もう、やだっ…やぁ、ほし…おく、こすってぇっ」
「しまってるな、お前の好きなところはここだろ?」
ゆっくりと腰を進めて、前立腺に擦りつけるようにするとガクンッと腰が下がった。
はずみで自身が抜けてしまい、何をしているんだと腰に手を添えて立て直そうかと思ったら、もうすでにツナの自身が白濁を放っていた。
「なんだ、ツナ…もうイったのか?」
「っく…は、はっはっ…あつい、もっとぉ…ちょうだい。ここ、りぼーんの、で…ぐちゅぐちゅって、してぇっ」
完璧に理性が飛んだらしい、自分で尻タブを掴んで広げると唾液を飲み込めずに垂らしながら振り返ると卑猥な言葉で誘ってくる。
思わぬ副産物だなと笑って、もう一度いれればぎゅっと絡みついて離すまいと締めつける。
そう焦るな、と背中に口付けて俺はさっきと同じ前立腺に添わせると腰を揺らした。
「あっああっ…やぁっ、あぁ…あーーっ、きもちい…そこ、やだぁ」
「やだじゃねぇだろ、もっとしてやるから身体起こせ」
逃げようとシーツを掻く力の入らなくなった身体を引き起こして俺は胡坐をかき、そこにツナを座らせた。
もっと深く咥えこんで、またイったようだ。
焦らしに焦らしただけある、ほとんど毎日のように出していたにもかかわらず中の刺激で絶頂を極める方が満足するなんて、つくづくツナの身体は俺の好みに造り変えられてしまっている。
「ひっ、やぁん…ふかいぃ、おく…くる、もういらないぃ」
「いらなくないだろ?あれほど欲しがってたじゃねぇか」
ベッドのスプリングを利用して突き上げながら耳たぶを甘噛みするとビクッと肩を揺らしている。
ついでに乳首を摘まんで捻ってやれば中が気持ちよさそうに蠢動する。
ツナは振り返って、俺の頬を撫でると舌を出してくる。
それを咥えて絡ませれば嬉しそうに吸って、俺の乳首を弄っている手をとるとそっと自身へと導く。
もっとこっちを触って、の意味だろうとくみとれば扱いていく。
あまりの刺激に唇が離れて背を反らし脳髄まで響きそうなぐらい甘い喘ぎをあげる。
またツナはイって力が抜けた途端また深く咥えこんで、喘ぎを漏らした。
「ふぁっ、やん…おかし、なる…こわれう」
「壊れたら、俺がまた組み立ててやる」
「んんっ、こわして…りぼーんで、めちゃくちゃにして」
足をM字に開かせて足を掴むと俺は激しく下から突き上げ出した。
ツナはあまりの刺激に泣きだして、それでも気持ちいいと喘いだ。
俺が出す頃にまたツナは果てていて、今日は何回いけるのかを試したくなる衝動にかられて、療養している間、ツナを焦らしていたのもあるが自分だって同じぐらいに焦れていたのだと自覚する。
これでは、どっちが待ちきれなかったのかわからないものだと笑って、怖いと泣きだすがもっとと強請るツナの要望に応え、精根尽き果てるまでその夜は付き合い続けた。
空が白み始めるころ、ようやく俺はリボーンの手から解放された。
喉は枯れて、あそこは出されたモノが溢れようとお構いなしで擦られたせいで数日間はトイレで苦労しそうなほど。
けれど、それを凌駕するほどの充足感に溢れて泣きぬれた頬をリボーンの指がそっと拭ってくれた。
口を開いたら声が出ない…。
リボーンはベッドを抜け出してペットボトルを片手に戻ってきて、俺に口移しで水をくれた。
「ん…まだ…離さないで」
「ばか、これ以上したら立てないぞ」
「もう立てないよ」
それでもいいのにな、と思った。
リボーンが復帰してくるまでの間真面目に仕事していたおかげで暫くはゆっくりできそうなのだ。
ここで休んでしまえば、またお前はとかなんとか言われてしまいそうなんだけど…でも、俺はリボーンのために頑張ってるんだと思ったが、いったら本気で銃口を構えられないのでそっと胸の内にしまい込んだ。
眠いが、まだ起きていられそうだ。
俺はリボーンの腕を掴んで引き寄せるとキスを強請る。
キスも唇が晴れる位した、けど飽き足らず何度でも重ねたいと思う。
「際限なくなるぞ」
「いいよ…今日ぐらい、許してよ…リボーン」
「今日ぐらいじゃなくて、いつも許させてんのは誰だ」
呆れたボスだな、と笑われてまた唇が舐められた。
あれだけ突き上げられてもまだ足りないと身体が訴えている。
中から溢れるそれも興奮剤にしかならなくて、本当にどうかしてしまったようだと苦笑を浮かべた。
「窒息しそうだった」
「ん?」
「リボーンがいなくなって…怖かった」
「ああ、悪かった」
髪を撫でられて、優しい言葉に俺は少し泣きそうになった。
いつも俺の未来はずっとリボーンと一緒で、それ以外なんて考えられなくて…溺れているようだと思った。
それでもいいのだと、リボーンは許してくれるからもう少しこの時間を堪能したい。
例え、次の日腰がたたずにベッドに縛り付けられる羽目になろうとも…。
END