第1譜

『はぁ〜…今日も変化なしっと……』

先日、平門にミネの監視を任され、ここ一週間ずっと同じ場所にいるのだ

『(輪【サーカス】としては何もない方がいいけど、暇すぎるよ、この任務。あ〜なんか事件でも起きればいいのに)』

名前が、輪【サーカス】の一員とは思えないことを考えていると

ドォンッ

いきなり何かかが爆発したような音が響く

『(来たぁ、事件発生!!)』

名前が急いで音のする方へと走る

見ると、ミネの屋敷の上部が爆発で壊され、数人の男子が屋敷へ入って行くところだった

『あ、ちょっと待って!!』

名前が声を張り上げるが、聞こえなかったのか、屋敷の中へ入ってしまう

『(ちょっと、勝手に侵入して勝手に怪我するとかやめてよね、相手はミネなんだし……)』

事件が思ったより面倒臭いことになりそうなので、心の中で悪態をつきつつ、自慢の身体能力で屋敷を登り
爆発で壊された時にできた穴から屋敷に入った



屋敷に入ったのはいいものの、人の気配がない

ミネの部屋らしきところも、天井が壊され、棚もメチャメチャだ

『(ったく、どこにいったんだ。あいつら…)』

はまだ話したこともない人に怒りをぶつける

すると、遠くからまるで獣のような叫び声が聞こえた

名前は何も考えず、走り出す



声のした部屋のほうにたどり着くと、そこから黒髪の青年が、白い髪の少年を引っ張って走ってくる

『え、なになになに、どうしたの?』

「うるせえ、邪魔だ」

黒髪の青年は、名前を突き飛ばすと、そのまま走ってしまう

『…………だれが邪魔だぁぁぁあ』

名前は、ありったけの力で全力疾走し、黒髪の青年に追いつく

「…っ!……お前、足はえーな」

『……ま、まあね。それよりどうして走ってるの?』

危うく自分が輪【サーカス】の人間だと言いそうになるのをこらえて質問する

「話は後だ、今は逃げろ」

『(なんか完全にペース持ってかれてる気が…)』

そんなことを思っていると、青年が小さな機械のようなものを後ろに向かって投げた

たちまち、白い光をだして爆発する

その隙に、三人は屋敷から脱出した



「ありえねー。輪【サーカス】ってあんなやべえのか?」

なんとか路地裏に逃げ込んだ三人のうち、青年が呟く

『さ、さぁ?(ってゆーか私 輪【サーカス】ですけど!)それよりさ、いろいろ聞かせてよ。私、名前』

「………俺は花礫。こっちは无…っておい、无!?」

『无くん?!』

花礫が无を紹介しようと振り返ると、无は地面に倒れていた

「マジか…メンドくせえ」

『と、とりあえず安全な場所に運ばなきゃ』

名前が、輪【サーカス】の船を呼ぼうとすると、花礫が无を担いでいた

『え、どこ行くの?』

「どこって……俺ん家だけど」

『あ………そっか』

名前の返事を聞くと、スタスタと歩いて行ってしまう

あ、平門に連絡いれなきゃ

そんなことを頭の片隅に追いやって、名前は花礫の後について行った




[*prev] [next#]


top back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -