65000打



匿名希望の方
キリ番65000『ディスガイア4閣下執事フーカ3人が料理するような話』


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−−どうしてこうなった。

見るからに切れ味が抜群そうな包丁を片手に、フェンリッヒはまな板の上にどんと置かれたほうれん草を忌々しく睨む。
だが、睨んだところでこの状況が変わることはない。

伺うようにちらりと視線を横にずらせば、真横には紺色エプロンと黒地にプリニーの白いシルエットが散りばめられた三角巾を装着し、やる気に満ち溢れた主、ヴァルバトーゼの姿。そして−−


「ささ、フェンリっち。遠慮なくじゃんじゃん切っちゃって!」


自分たちより数歩後ろにどどんと大胆にプリニーの顔がプリントされたエプロンを妙に着こなしている少女、フーカが腕を組んで立っていた。


「おい小娘、なぜオレがこんなことを」

「だってヴァルっちがどうしても料理がしたいって言うんだもん」

「定番料理くらいは作れたほうがいいだろう?」


それに、プリニーたちが料理を作ることができるのに、プリニー教育係であるこの俺ができないのは示しがつかないからな。
そう言うとヴァルバトーゼは眉を下げすまなさそうな表情になる。


「ちなみに、今回ヴァルっちが挑戦するのはほうれん草のバター炒めよ。ま、とにかく作りましょう!」

「おい小娘、お前はその料理を作った経験は……」

「ないわよ」


フェンリッヒは頭を抱えた。







「フェ、フェンリっちはお料理系男子だったのね……!」


フーカは水気がよくきられたほうれん草たちがフェンリッヒの無駄のない包丁捌きで次々とざく切りにされていく様子にごくりと息をのんだ。

熱したフライパンに落とされたバターが中でつうっと滑りながらじわりと溶ければ、そこに均等な幅に切られたベーコンとエリンギ、間を置いて青々としたほうれん草が入れられた。


「よし、こんなものか」


ぽつりとフェンリッヒが呟く。
バターと絡め醤油を軽くまわしかけ、塩胡椒で味を整えられたそれは白い湯気を立ち上らせながら白く輝く皿に盛られ、フーカとヴァルバトーゼの前に出される。

「きゃー! すっごくおいしそうなんだけど!」

「おお、これがほうれん草のバター炒めというものなのか!」


たかがほうれん草のバター炒めされどほうれん草のバター炒め。
まさかここまで感激されるとは思ってもいなかったフェンリッヒは少しばかり頬を緩めた。

自分が何かをこなす度におおっと喚声が挙がるのだ、小娘はともかく主のそういった声を聞くことが出来るのは喜ばしい。


「さてと、フェンリっちの腕前もわかったことだしアタシたちも作るわよー!」

「ふむ、そうだな」

「おい小娘、包丁をもった手をいきなり振り上げるな!」

「あ、ごめん」


時計の長針が半周した頃には火を通しすぎたバター炒めと調味料を入れすぎたコーン入りのバター炒め、それと何故だかイワシのトマト煮とイワシの落とし揚げが皿の上で自慢気にその姿を見せつけていた。


「なんだヴァルっちったら料理できるじゃん!」


おい小娘、突っ込むところはそこなのか。



(イワシ料理だけはできるんです)




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気がつけば3人どころか執事しか料理していないという。
料理のできない閣下もよいですがイワシ料理だけはできるそんな閣下もよいと思います。

暴君時代はまったく料理できなかったりとか……。実は逆にお料理系男子でした、というのもよいですね。

それではリクエストありがとうございました!

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