とある女の子のお話


ほらあの子よ……×××様の御息女
可哀想に……
きっと白夜の呪いよ


何処に行ってもその言葉を言われ続けて、その言葉たちは白夜風に言うと耳にタコだ。

(はいはいはいはい。白夜の兵士たちに呪われて母さんが自殺してそれを追うように父さんもいなくなってしまった悲劇のお姫様、それが私だって?冗談じゃない)

私の名前はソレイユ。母さんは元白夜王国の王女だったが暗夜で戦うことを決め、祖国である白夜と戦い、その末に勝利へ導いた女神と言われているカムイ。

……だが母さんは亡くなった。白夜の忍び、に殺されたとマークスおじさんは言っていた。
そして……母さんが亡くなった日を境に父さんは何処かおかしくなってしまった。無理もない………"本当は"目の前で自殺したと聞いている。
私も最初はそんなの嘘だと叫んだ。母さんがそんなことするはずがない!!!!母さんは誰よりも命を大切にする人だった!そんな母さんが自分から死ぬわけがない!!



でもその悲劇を見た、暗夜王国の王族たちの話を偶然、聞いてしまったのだ。

ジョーカーさんを追うように自ら命を絶ったって。




そしてその現実に耐えられなくなってしまった父さんは,いなくなった。
書き置きに一言「ごめんね」とだけ書かれていて……なんて勝手な人だろうかと思ったけど、私は何となく父さんが居なくなることを察していた。あの人は誰よりも母さんに依存していた。家族が居なくなることを誰よりも恐れていた。

「勝手だなぁ……」


家族がいなくなることを誰よりも恐れていたくせに、娘を一人にして、いなくなってしまうんだもん。


ぽたぽたぽたぽた、涙がとまらない。
怒りより、悲しさが勝って涙が止まらなかった。



「……ッ母さんも、父さんも……いなくなっちゃったけど、私は……」




「未来へ繋いで」




母さんのその言葉だけが私を支えていた。
本当は私だっていなくなってしまいたい。消えて、死んで、父さんと母さんにまた会いたい。でも母さんのその言葉が鎖のように絡みついて、死ぬという選択肢は、出来なかった。




「………………未来へ、繋がないと……」


笑っていればいい事あるよ
これは父さんが残してくれた言葉。
だから私は自分の頬を叩いて無理やり笑った。

涙は溢れるけど笑顔でいなきゃ。
私はソレイユ。皆の太陽なんだから。




◇◆◇



それから数ヶ月経ったある日今日は白夜との月に一度の会合の日だ。マークス叔父さんは私の事を気づかってくれて寂しくないようにとこう言った重要な会合にも私が強請れば連れて行ってくれた。
白夜にいる叔母さん……ヒノカ女王達も邪険どころか私を可愛がってくれた。

おかげで白夜での友達も増えた。そのうちの一人の占い師のシャラ。彼女は母さんが大好きだったらしく、私の元にもよく遊びに来てくれた。


「シャラーねーシャラー"視て"ー!」

「……いいわよ気まぐれにやってあげるわ」

シャラは「私」の事はあまり占わない。私を通してお母さんの事を見てくれるのだ。
もういない母だからこそ、彼女の先読みを聞く事が私の唯一の母へとの繋がりになっていた。

「シャラは母さんの事……本当に好きだったんだね」

「ええ……一目惚れよ。あの人が私を助けてくれたんだから。……白夜の裏切り者とか,そういうことはどうでもいいの。私にとってはカムイという存在が好きだったんだもの」



彼女が水晶に手をかざすと淡く光り始めた。前は全然見えなかったのに、日を増す事に見えてきている、とシャラは言っていた。今日は結構はっきり見える、らしく嬉しそうに頬を染めている。



「……ん?……そうね……踊り子、踊り子が見えるわ」

「踊り子?……父さんみたいな?」

「ええ……遥か遠き未来の地、そこであなたの祖先と言っていいのかしら?彼女はとある国の剣客、……踊り子になっているわ」

「そうなんだ……へへ、なんだか嬉しいなぁ」


私は生憎と父さんみたいな踊りの才能……というか音楽の才能がなく、いつも眺めているだけだった。
そんな私が来世?では踊り子かぁと占い、と分かっていてもにやけてしまった。

「……カムイの生まれ変わりもそこにいるわ。私の生まれ変わりとは砂漠であったみたいだけど」

「母さんが!!?」

「ええ……でもその場には貴女はいないわ「まだ」ね。そこにいるのはあくまでもあなたの「祖先」。……でもいずれまた会えるわ。私の先読みは外れないのよ……」

「……とうぜん!私は未来へ繋ぐ,母さんの娘だから!!」
















遥か遠い未来,竜の祖先と踊り子はまた巡り会う











「ソレイユ、君は僕達の太陽だよ」

「まあ見て、アズール。この子笑ってますよ」


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