桃色の君に



進軍を進めて××日目。
ルキナさんの言う通り、本当に居た未来の仲間たちと言う名の各地に散らばった産まれてすらない娘息子子供たちを回収する日々を送っていた中、拠点にしていた地から少し離れた所にある村人から救援を求められた。

「…賊ですか?…最近多いですね…」

進軍の際通りかかったとある小さな村で「族がでたので助けて欲しい」と言われ、行き先をその賊たちが居座っているという遺跡へ変更する事になった。
戦争により物価や税金の底上げが続いている為、こうした族が増えているのは国としても悩ましい事だ。
王であるクロムさんは民の困窮を断る訳がなく、進軍しながらもこうして度々道中同じように村人を助けるイベンt……おっと、出来事が多々あった。

その最中仲間になった未来から来た子供たちこと、ウードさん、ンンさん、プレディさん、シャンブレーさんという個性の殴り合いの人達。
彼らはルキナさん同様「未来から来た」というこの軍の夫婦の皆さんの(生まれてくる予定の)子供たちという私の頭では理解できない人物達だが相変わらず緩いイーリス軍は彼らとの再会(?)をよろこび、軍へ歓迎した。

「とんだ茶番でしたけどね……」

本当に意味がわからない。私が二人の子供の証!と言って婚約指輪一つを見せるだけで、この子はうちの子って納得してまう軍の皆さんが私は理解出来ず、怖かった。また吐いてしまいそうだ。……今は無理なので後で。

「茶葉がどうかしたんですか?」

「…いえ、何でもないですウードさん」

どうやら無意識に言葉に出していたようで聞き間違えてくれたウードさん(あまり似ていないがリズさんの息子らしい)に曖昧な笑で誤魔化すと彼は片目を隠すようなお決まりになっているポーズをとって高らかに語り始めた。

「ふ……迷い事があるならこの光を操りし選ばれし勇者に…「大丈夫です」あっハイ……」

彼のうっとおしい回りくどい喋りはもう飽きているためばっさり切り捨てると、ズーンという効果音が聞こえてきそうな程目に見えて落ち込んでしまった。まるでこちらが悪い事をしてしまったみたいだ。

「…うう…こんな時アズールなら気の利いた言葉で……いやアズールだと尚更フラれるか…?」

「?、アズール…さん?とは、貴方たちのお仲間ですか?」


彼ら自称未来から来ました組は他にもあと何人かいるらしく、探し回って回収するよりも少しでも情報が多い方が見つけやすかった。ウードさんから初めて聞いた「アズール」という名前もきっとその仲間なのだろう。

ちなみにこの間ソワレさんを庇ったヘンリーさんがいい雰囲気なのでこいつらも多分結婚すると思われる。そして未来から子供が来るのはこの短期間で学んだ。

強面のプレディさんはマリアベルさんとヴェイグさんのお子さん。
シャンブレーさんはベルベットさんとフレデリクさんの息子さん。
ンンさんという現代語学の可能性を超えた名前の女の子はマクムートのノノさんとロンクー(ロリコン)さんの娘さんだ。

他に未来から子供が来てないカップルはいただろうか?と軍の人達を眺めていると、遠くの方でオリヴィエさんとリヒトさんが仲睦まじく手を取り合っているのが視界に写ってしまった。
ああ……恐らくだがあの二人の子になるんだろうか。

「そうですね……アズールは…一言でいえば……」









"花の似合う男ですかね"ウードさんのその言葉と同時に
「僕の噂してるの?ウード」と聞きなれない声が聞こえて来たので振り返ると


「こんにちはルフレさん。いや……こっちでははじめまして……かな?」

そう言って、私の前に1輪の花を差し出してきたのは


桃色の髪をした青年だった。







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噂をすればアズール。

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