青色の君と



桃色の君に
愛を教えてもらった。

黒色の君へ
もう1度愛されたかった。

赤色の君が
とても大切な存在だった。

緑色の君を
また愛せると思った。

それからそれから、とても沢山の「君」は私を助けてくれた。



だからもう充分なんです。私は貴方を想うことはあっても愛することは、もう、ないでしょう。
それが今まで救える者にモノに物に目をつぶってきた私のせめてもの償いになるでしょうか?







「でもまさかクロムさんがオリヴィエさんと結婚かー……」

また、新しい展開だ。クロムは「一目惚れした」と言っていた為接し方が今までの奥さん達とは違うような印象だった。なんていうか……そう、ラブラブなのだ。前の世界たちでは新婚とはいえ戦争中だった為弁えてきたのが嘘みたいにラッブラブなのだ。見ているこっちが恥ずかしいくらいに。

……2人が幸せなら、それでいいんですけど。
オリヴィエさんも、とてもいい人だ。それは身をもって知っている。結婚したこともあるし……おっとこれは墓まで持っていく秘密だ。
……ちょっとやめて下さい。クロムとオリヴィエさんの頭上に↓[結婚した事ある]ってテロップ貼るのはやめなさい。

二人共……とてもいい人達だ。"それぞれ"で歪ながらも幸せになれた私が言うのも、何ですが。
そんな二人だからこそ、彼らが幸せなのを見るのはとても心が満たされた気がした。

彼らの結婚式で泣いてしまったほどだ。
そしてその事で私は今世の悩みの種になってしまっている"彼"をチラリと見た。




やぁ元気?あっちょっと待ってよー!なんで挨拶だけで逃げるのー!?





「アズール、さん」

初めて見る"色"だ。でもさすがアズールさん。様になっている……というか今までで1番似合っている気がするのは気のせいだろうか?

そして、……困っている事というのは彼は、やたら私に構うのだ。今までと立場が逆転したように。

困らないけど困る。私はもうアズールさんとは一緒にいたら、行けないのだ。
「1番まとも」になったこの世界で、今度こそ彼は私なんかに縛られずに幸せになって欲しい。

それに私は他にやらなければならない事があるのだ。




「……呪い、にかかっているのは私だけじゃない」

サーリャさんが前の私に言った言葉を思い出してため息を吐いた。




「竜を支える銀髪の男」

それが誰かはまだ分かっていないが恐らく、この「呪い」は対象を"私だけに"かけられたものじゃない。
どうやら周りを巻き込んでいる。その証拠にどの世界のアズールさんも幸せ 、と言い難い結末を迎えている。

……半分は私のせいだが。
「運命の人」と結ばれない呪い……それはつまりアズールさんも私の因果に巻き込んでいる可能性がある。もし私が拒絶してもその呪いとやらがアズールさんに影響を与えないとは限らないのだ。

なのに……!!なのに!!

「あっルフレさーん!今、目が合っちゃったけどもしかして、僕のことみてた?」

「えっ何のことですか?(バッチリ見てました)」

「えー……ほんとに?おかしいなー、ビシビシと視線を感じたんだけどな……絶対に見てたと思ったのに……っと、それはさておき、せっかくこうして会えたんだから一緒にお茶でも行かない?」


「い、行きません!!(めっちゃ行きたいです)」


そう……な、……なぜか、この世界はアズールさんがやたら構いたがり、というか……その……口説かれてるような気がするのはきっと今迄私が彼に縋っていた為に見えている幻覚に違いない。うん。きっとそう。


私は笑顔で彼をかわして、そのまま逃げるようにヴァルハルトさんの天幕へ隠れた。
ここまでは追ってこれまい……!!なんせ覇王の縄張りだからな!

えっちょっと、居たんですがうぬさん。あのそういうつもりではないんで、あの顔赤らめないでください。




◆◇◆


それから、何となくアズールさんを避けつつ進軍をしていると今迄の世界では聴いたことがない「神竜の宝」とやらが眠っているという遺跡の話を耳にした私達は邪竜討伐に少しでも役に立つのなら、とその噂の神殿に向かっていた。

たかが噂、という兵もいたが今は少しでも邪竜戦での兵の犠牲を減らしたいという私の話を聞き入れてもらった。
……なんかこの世界の皆さん妙に私に甘い気がするんですよねぇ……気のせいかな?


「クロムさん、あの遺跡ですか?」

「ああ、間違いないな。あれが町で聞いた遺跡群だろう
。だが屍兵がうろついているようだな……宝探しの前にひと仕事だ」

到着したその遺跡には屍兵の群れがいくつか見受けられた。ルキナ達も各々剣を構えて遺跡へ侵入すると私とやたらダブルを組みたがるアズールさんを避けるように私は皆を指揮する軍師でありながら遺跡の奥へ一人先走ってしまった。

「……やってしまいました……、いやでも……べつに私は守られるようなか弱い女子でもないですしね……」

そう。だからこれは軍師的にはアウトでも兵的にはOKなはず。……経験の少ない屍兵など恐るに足らないからだ。ここで先に敵を蹴散らして皆さんに損は無いはず……そう言い聞かせて屍兵を倒しながら更に遺跡の奥へ向かうと、その人物はそこに居た。

「……人……?」



こちらに気づいてないようで、背を向けたその人は黒いコートでフードを深々と被っておりこちらからその風貌は全く見えない。そしてあのコートは……私と全く同じものだった。


それを着ているのはこの世界で私と……邪竜だけのはず。


(もしかしてギムレー……?でも何故ここに……)

ギムレーは覚醒の儀とやらで今は手出しは出来ないはずだ。
私は、同じコートを着たその後ろ姿へと静かに気配を消して後ろからサンダーソードを突きつける。コートの人間は人の気配を察したのか静かに後ろを振り向く。

「貴方は賊…ではなさそうですね……ここで何をしているのですか?」

こちらを向いた、その人物は深く被っていたフードを下ろす。どうやらギムレーではないようでコートの人物は男だった。いや、少年といったほうがいいか……その顔には、なんだか見覚えがある気がしなくもなかった。それに……その髪色は……

色々考え込んでいると彼は私の顔を見てぱぁぁと顔を明るくした。




そしてかれは


「母さん!!」





「は?」



等と口走り私へタックルしてきた。おぅふっ!!地味に痛い!!



いや待って、彼は今なんて言った?幸せそうに私に擦り寄る少年は確か今、

かあさん、と言った

KA SA N

母さん、……、


はぁ!!!?!?

「なーんだ母さんもここに来てたんだ!良かったー!これで帰れるよ。………あれ?母さんちょっと若返った?」


「まてまて待て待て待て……!!まさかあなた…私の息子なのですか?!ルキナと同じように、未来から来たの?!」

「??、ルキナ?未来から?母さんったら何の話をしてるの?僕はずーっと母さんの子でしょ!」


大変だ脳内処理が追いつかない。
会話が噛み合わない事からこの子はもしかしたらその、不審者かもしれない。うん、そう。多分。

「もしかして、マークって名前も忘れた?」って少年は私の胸に顔を埋めて首を傾げている。マーク、……マークっていうのね貴方。某森の妖精のような返事をしてしまったが冷静ではいられなかった。とりあえずこいつ引き剥がして……

モダモダと手を動かしていると遠くから私の声を聞きつけてきたのか「ルフレさん!!」とルキナとクロムの声が聞こえてきた。おいおいまずい、まずいって。この状況は

「ルフレさ……その子は?」
「ギムレー……、ではなさそうだな」


「えっと、どう言ったものか……」

「?、さっきから変な母さん。早く家に帰ろ!…あれ?でも、家って…どこだっけ…」

ガッテムお前も記憶喪失か。なんだこの記憶喪失率高めの家族。私そんな家族やだぞ。マーク、と名乗った少年の頭を掴んで無理やり引き剥がそうとすると、濃い青色の髪はやけに手に馴染んで、どこかで触ったことがあった気がして……


はっ、と「母さん?えっ?」って私より混乱しているクロムとルキナを見た。


↓[結婚したことがある]
クロム←[濃い青色の髪]

ルキナ←[濃い青色の髪

マーク←[濃い青色の髪]


血の気が引いた。


「不倫じゃないですッッ!!誤解です!!」

「落ち着いてくださいルフレさん!!?」



そしてさらにその騒ぎを聞きつけたのか、一番この場に来て欲しくなかったアズールさんが「ルフレさん大丈夫?!」と若干の息を切らしながらこちらに駆けつけてくるのが見えた。なんだこのデジャヴ。



そして、思い出した。
なにもその髪色は、クロムとルキナだけのものでは無いことを


駆けつけてくる彼の隣に、見たくもないテロップまで見えてきた気がした。




アズール←[濃い青色の髪]



「あ……」

「ルフレさん!!?」

「母さん!!」

「えっ!!?母さん!!?」



そういえば、かれも青色だった

脳内の容量オーバーした私は駆けつけてくるアズールさんを見つめながらそのままそこで意識を手放した。


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