それからルキナさんはどキツイピンクの服やほぼ紐の下着などの中々ハイセンス(※センスがいいとは言ってない)なプレゼントのやり取りをして今現在、ファイアーエムブレムの紋章を集めている最中にその話をされた。
あ、これは耳が痛い。
「私、最近浮かれちゃってたみたいです」
私もそうでした。とても浮かれてたんです。
「お母様にもう一度会えて、未来ではできなかった話をして……」
そうそう、もう一度会えたのがとても嬉しかった純粋にそれだけだった。だけど1度愛される事を知ってしまっていた私は忘れていたのだ。
「あなたには…愛する本物の娘がいるってこと……すっかり忘れていたんです…」
ええ、そうです。見えないフリをして、また恋人になろうと思ったんです。それほどまで好きだったんです。愛していたんです。
目の前の「娘」の言葉は私の胸を抉り、私の姿と重なった。
「私…あの子が…羨ましいです。……何も知らないあの子が………羨ましいです。おかしいですよね…自分に嫉妬するなんて」
ああそうだ。私はあの時のセレナさんが羨ましかったんじゃない。「過去の私」が羨ましかったんだ。だから戻ろうとした。戻れると思った。たくさん寄り道をして見ないふりをして、自分に嫉妬をしてた。
「娘」は語り続ける。
「でも…私は……」
「愛されたかったんですよね?」
ただ、本当に、それだけだったのだ。
「っそうです……」
「………ルキナ。もう何も言わないでください。私は、あなたのことをこの時代のルキナと同じように思っていますよ」
愛を欲してる彼女に貴女を愛してる、なんて台詞は言えなかった言わなかった。だってこの世界の軍師ルフレはあなたの事を心から愛したことは無いんだから。それなのに、それなのに純粋に私を慕うその姿は過去の私と重なったのだ。
「お母様……」
「少し大きいですが、あなたは正真正銘ルキナです。未来で"死んでしまった私"の分まで、色んな思い出を作ってください。きっとクロムさんも同じことを言いますよ?私が保証します」
「…さすが、お父様のことよくわかってらっしゃるんですね…」
「ええ。(何度も)ずっと、見てきましたから」
もちろん、貴女のことも。
「正真正銘貴女は私の娘ですよ。そっくりです」
「お母様……ッ!!」
おっとまたタックルは勘弁してくれ。
もう、吐き気不思議とは起きなかった。
◆◇◆
あっ親子でもこのイベントは避けて通れないのか!やはり"クロムさんが"大事なのですね。貴女は。
未来から来てまで、救いたいと思うほどに。
「…ごめんなさい…お母様、私はいくら謝っても…許されないことをしようとしています」
私に向けるファルシオンとその泣きそうで、何かをこらえている表情。
本当に、似てるなぁ。1人を助けたい、という彼女と愛されたい、私。もしかしてルキナさんが苦手だったのは同族嫌悪だったのかもしれない。
「ええ、邪竜が、誰だか知ってるんですよね?」
本当はすぐに死のうと思ってたんです。
なのにズルズルと生きてしまった。
だから、ほら。そのファルシオンでおかあさんを楽にしてください
「っ運命を変えるにはこうするしかないんです…!!
私はもう、あんな未来にしたくない…あんな…闇に閉ざされた絶望の世界………
だから……だからっ!こうするしかないんですっ!
……私にはもう……こんなやり方しか……っ!」
「ええ、抵抗なんて、しませんから」
ぶっすりとどうぞ。そう笑うとやっぱり泣きそうな顔をしてしまった。どうすればいいんだ。
ああ、ほら、貴女の「お父様」が止めに来ちゃったじゃないか。
まだ死ねないのかぁ