エピローグ



「速報だ!ヴァルハルトもフラれたぞ!!」

「ルフレつえーー!!」





「騒がしいわねぇ」

「本当この軍の人ってルフレさんの事好きよね」

軍の休憩所となっている「みんなの部屋」そこに私の親友のデジェルの父であるヴェイクさんが騒がしく入ってきたことによってギャーギャーと口論になっている。

話の種になっているのはこの自警団の軍師のルフレさんの事。何故かこの軍に入った未婚の男は軍に入る=ルフレさんに惚れてプロポーズの流れがお決まりになっている、らしい。話で聞いた時は嘘でしょ?と鼻で笑っていたが実際に目の当たりにするととにかくすごいモテたのだ彼女は。
実を言うと私の父さんも一度フラれていると聞いたことがある。

「父さんもフラれたんでしょ?母さんは何も思わないわけ?」

「今は私一筋だからいいのよ」

「惚気られた……」

ああ、言い忘れていた。「母さん」「父さん」と呼んでいる彼女達と私はそう歳が変わらないのは私達が「未来から来た」からだ。
最悪の未来を変える……その為に過去に戻ってきたのだがどうやら私たちの知っている過去と何やら様子が違っているのだ。

覇王、ヴァルハルトや元ペレジア暗愚王ギャンレルが軍の一員だったと言うのは初耳だった。というか何事だと思った。私たちのリーダーとなっているルキナの話を聞くと、軍師のルフレさんが口説き落としたそうだ。戦力として、あくまでも戦力として。

そして戦争の引き金となったエメリナ様さえも生きている何て……それもこれも軍師ルフレさんのお陰らしい。「神軍師」なんて称号を持っているのも頷けるばかりだ。私も……あんな風に天才になれたら……

「こらセレナ。よそ見しないの」

「してないったら!母さんってばこんなに小言多かったかしら」

「ほらこれ終わったらソールと買い物に行くんでしょ?」

「ええ!この間は逃げられたから今度こそ買い物に付き合ってもらうわ」

母さんが再び武器の在庫リストを捲った。今は母さんの手伝いとしてこうして雑用をしている。……本当はこんな事やりたくないけど頼まれて、仕方がなく、仕方がなくやってあげているの。

「はいこれでおしまい。よく手伝ってくれたわね」

「べっ別に……これ位楽勝よ!」

お疲れ様、と母さんが私の頭を撫でた。……もうっ子供扱いしないで欲しい。するとそのタイミングでシンシアとジェロームが部屋に入ってきた。心做しかシンシアがニヤニヤしている。なっなによ!いいじゃない頭くらい撫でられたって!


「めっずらしいーセレナが大人しく甘えてるー」

「うるさいわね!もうっ母さんも子供扱いしないでよ!」

「あら、たまにはいいじゃない。可愛い娘を愛でても」


シンシアに軽いチョップを食らわせる。するとジェロームが溜息を吐いた。じゃれ合うなら帰るぞ、と早々に立ち去ろうとするのを慌ててシンシアが止めていた。


「みんな仲がいいわね。……そういえば未来から来た子供達は、貴女で最後なの?」

「えっ?ああまだ、あと1人いないわ」

「?うちの軍の既婚者の子供は全員来たと思ったのだけど……」

「私たちの中であいつだけは兄弟がいるのよ。まあ今どこにいるかは分からないけど……」

最後の戦い……邪竜ギムレーとの戦いが控えている中、戦力補強のため私達、未来から来た子供を進軍の最中ルフレさんは一人ひとり軍に迎えてくれた。
それぞれに役割を与えてくれ、未来から来た皆からにも慕われている。……慕われている、って言うのは私みたいな純粋な尊敬、の他にも恋慕も募っている人もいたみたい。この間はロランがフラれたって聞いた。
……ここまで来るとすごいと思うルフレさんの魅力。



「"あいつ"も多分開口一番に、ルフレさんのこと口説くんでしょうね……」

「例のあと1人って子?」

「そうそう、他称、花の似合う男、よ」

あいつ今どこで何してんのかしら?またナンパでもしていたらただじゃおかないんだから


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