エピローグ



「おめでとうございます、クロムさん」

国王が今日式をあげた。ああちなみに結婚,式だ。

クロムの近くで青色のドレスを纏って涙ぐんでいるのは軍師ルフレ。彼女も嬉しそうに半身の結婚を心から喜んでいるように見えた。

……俺はてっきりルフレはクロムのことが好きだと思っていた。
……「好きな人がいる」ってフラれたからな……。

イーリス国民は聖王と崇めるクロム王の結婚に国中でお祝いムードで全開だった。この様子だと来年からこの日が祝日になるんじゃないかって位のお祭り騒ぎだ。
一応,イーリス自警団に所属していた俺にもお零れでこうして招待された。次々運ばれてくるご馳走の数々に俺は甘いものを中心にひょいひょいと自分のお皿に入れていく。

会場中が賑わう中なんだか俺は元々盗賊ってこともあって場違いに感じて一人,盛り付けた皿を片手に壁際の椅子に座っていた。

遠くに目を凝らすと主役の新郎新婦達が笑っている。それを微笑ましく見守るルフレにお互いに何処か照れ臭そうだ。

式の主役であるクロムとオリヴィエを遠巻きに見つめるのは軍の若い女達だ。
あの唐変木はスミアを筆頭にマリアベルやソワレ。ティアモ…。あげればキリがないくらいモテていた。要はクロムは典型的なタラシなのだ,しかも天然だから質が悪い。

まあ顔が良くて地位も王子様で性格も難とかそういう訳でもないし,それでモテない方がおかしいか。

クロムに惚れていた女たちも,皆容姿もいいし性格も中々肝が座っているやつが多かった。おまけに皆戦闘では強い。神は二物以上与えていた女達がここぞとばかりにクロムに惚れていたのである。ルフレもその中の1人だと思っていたがどうやら違ったらしい。

だが上の上の見た目の魅力的な女性達の中でクロムは誰を選ぶでもなく,ペレシアとの戦場で知り合った踊り子のオリヴィエに一目惚れしたらしい。

彼女の踊りに励まされた。飲みに行った時酔ったクロムが言っていた。俺個人としては戦争中になんと惚けた脳内をしてやがってんだ,…いやこれではただの妬みになるな。

女神のように微笑むオリヴィエの隣に聖なる王クロム。二人並ぶだけでとても絵になる。新郎と新婦,二人は手を重ねあい蕩けるような笑顔で笑っていた。

だが俺はそんなの知ったこっちないと菓子を無言で食い続ける。


そういえば、前にクロムと飲みに行った際、1度お前「も」ルフレが好きなのか?と聞いたことがあったその時に言われたのは「あいつなんかより優しくて
母性に溢れていて美人で純粋な人となら付き合いたい」と言われた。なんだそれ結婚相手に夢見すぎだろって思っていたがオリヴィエは全ての条件に当てはまっていた。いや、ルフレが美人じゃないとか優しくない……って訳じゃないんだが……まあとにかくルフレはクロムのタイプではなかったらしい。俺からすればとても贅沢な奴だ。


そんな訳でフラれたヤケだ。今日は食うぞ。

王の結婚式と表向きは祝い事だが、俺と同じくフラれたらしいロンクーやフレデリク達とその日は飲み明かした。

ていうかクロム以上にモテモテじゃねぇかルフレ。
アイツ一体誰が好きなんだ?

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