緑色の君を



【おのれっおのれおのれぇぇえ!!】



私の負わせた傷で怒り狂う邪龍の前に、私は初めて、

止めを、刺すか悩んだ。




結論から言おう。アズールさんといい感じの仲になれたのに殺す意味あるのかな

「ルフレ!止めは俺に任せろ!!」


ほら後ろから走ってくる性王もこう言ってますし。いままでは「失敗」したからやり直していたのであって、こうなってくるとやり直さなくてもいい気がするのだ。だって、

アズールさんは私と恋人同士(経緯は置いておいて)◎
アズールさんが浮気したわけでもない〇
アズールさんと性別が一緒じゃない〇
アズールさんと親子関係という理由でもない〇


最高じゃないか。うん、クロムさんにまかせよう。未来?知らない。見えない、フリをしよう。だって今が幸せなんだもの。

アズールさんとは、あれから、普通とは言い難いが順調にお付き合いを続けていた。このまま行けば、きっと、私にも、

また幸せが訪れるのではないか、と錯覚する程度には仲は良くなっていた。だから私の口はすんなりと言葉を綴った。

「クロムさん、お願いします!」

「ああ!」


駆けつけたクロムさんにパスするように、私は1歩後に下がった。クロムさんもなんの疑問も無いように私の代わりに邪竜へ止めを刺そうとしている。うんそれでいいよ。さすが半身()

ルキナさんやアズールさん、未来から来た子供たちは複雑そうな、表情をしていたがやはり見えない「フリ」をした。しょうがないんだ。これは、










けど、私の運の悪さEXと、
そんなに上手く行かない、って事は、何度周回しても変わらなかった。

【ああ……このまま死ぬ位、なら、…貴方だけでも……】

「なに!!?」

「クロムさん!!」


あそこまで追い詰めたのに抵抗、する力が残っているとは思ってなかった。

そして、あの喋り方は、嫌な予感がした。

あれは「私」じゃん,"私"だ。 【私】だった。
私のゲシュタルト崩壊。




じゃあ、そんな『私』が誰をねらうかなんて


私が一番よく知っているわけで、















「アズールッ!!!!」







咄嗟だった、もうなりふり構えなかった。

だからとりあえず、私は彼がいた場所に走って、彼を突き飛ばすことしか出来なかった。


















一言言うと、さすが私のトロン。威力が半端じゃないや
あっ一応、これも自殺、になるのかな?





「ルフレさんッ?!!!!」
「いつ、つ……はーぁ……やられ、たなぁ……」

邪竜が狂ったように笑いながら消えていく。「一緒、に逝きたい」なんて、なんて、自分勝手で"私らしい"最後だろうか。
気持ちの押しつけって良くないんですね。改めて思い直しました。胸が痛い。今回は物理的に。チラリと胸元を見れば大変だ今世では恵まれたおっぱいがえぐれてる、ていうか穴が空いていた。


「ふふ、きも……ち…が、通じ……あった、のに……お別れなんて……私らしい……、なぁ」

「ルフレさんッッ!!なんで……ッなんで……」

「貴方が、好きだからで、すよ?」


ぽたぽたボタボタ血が止まらない。ゴホッ、と逆流した吐き出した血のせいでうまく喋れない。ああ、……視界もだんだん赤く紅く赫くなる。まるで前の私の髪色の様。

「あずー、るさ……」

「待ってよ……ねぇ!!まだ僕はルフレさんの事ちゃんと知らないんだよッ!!……もっと、教えて、よっ……これから……!!」

嬉しいこと、言ってくれる。ふふ、と身体中痛いはずなのに自然と笑が零れた。遠くからクロムさんが叫びながらこちらに向かってくるのが見える。相変わらずうるさい人だ。

「ど、か……しあわ、せ……に」



アズールさんのくれた、香水なんだっけ
ああそうスノードロップ。あれは確か花言葉、凄いやつだった。

花言葉はお花が好きなアズールさんに感化されて"最初の私"が、調べたのだ。だから知ってた。前のサルビアも勿忘草もプルメリアも。そして、今回のスノードロップも




(花言葉、たしか"貴方の死を望みます"、かぁ)

それだと、今の私は彼の希望に添えているのだろうか?
ああ………久しぶり、に、幸せになろう、って思えたのに、なあ
















今回も幸せになれないみたいなのでせめて貴方の望みを叶えてあげようと思います。


「あいして、ましたよ」




またね、アズール




死んでしまったのでやり直しを強く望んだ。
















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花言葉の解釈違い

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