緑色の君を



イーリス軍は覇王ヴァルハルトを討ち、その後宝玉のイベントありきルキナさんとゴタゴタしてーの邪竜戦目前なう、な状況まで辿っていた。……何ですかその目。もうこの辺の説明はあなた達に要らないでしょうしいいじゃないですか省いても。

「辿ると言って……1回1回が長い……」

はぁ、とため息を吐いて誰もいないことをいい事にみんなの部屋の机に突っ伏す。
そう、この周回作業。まずクロムさんと出会いクロムさんが誰かと結婚してルキナさんが生まれるまでに約二年かかる。その後のヴァルムやらギムレーやらペレジアイベントだ。周回とかイベントとかメタい?うるさいですよそこ。
三回目となるともう作業感あるんですよ。相変わらずちょいちょい物語は違うが……今回はドニさんという村人と行商人のアンナさんが仲間になっている。なんだ、この世界のクロムさんもしかして村人フェチ?

「あーーー……癒し……癒しが欲しい……です……」

前回は父親だった時見れたあの眩しい笑顔のアズールさんは今回では一度も見れていない。……まあ私のせいもあるとは若干自覚してますが好きな人としあわせ、になる為にはしょうがないんです。そろそろ私にも未来から子供きてもいいんですけどねぇ……まあ、アズールさんとの間に生まれた子は未来なんて謎だし無理だろうな。

「あーーー……」

「うわっルフレさん」

「ウワッとは、大層な御挨拶ですねシャンブレーさん」


入ってきたのはシャンブレーさんだった。花瓶を片手に持っている。水を変えてくれたのだろうか?
ここは私個人の部屋じゃないためノックがなくても仕方がない。シャンブレーさんは……確か今回はえーと……誰との子だっけ?
その髪色は見覚えあるぞ……あっリベラさんか

「……ルフレさんは……アズールと何かあったとか……?」

「どうもしないです年中ラブラブですから」

「そうは見えないけど……」

「あ"あ"?」

それ女性がしていい顔じゃないです……ガクブルと震えながら絶滅するぅと泣きそうになってるシャンブレーさんから花瓶を受け取り今しがた寝そべっていた机に飾る。この花を枯れないように定期的に飾っている人は一人しかいない。

「アズールさんの選ぶ花は相変わらずいいセンスですね」

「あっそれ変えてるのアズールって分かるんですね」

「そりゃあ恋人ですから」

すると何か言いたげな、顔をして、うさ耳を震わせながらシャンブレーさんが黙ってしまった。なんだよ言いたことがあるんならはっきり言いなさい。


「何ですか?毟りますよ」

「耳引っ張らないで!!絶滅する!!!!」

これ位で絶滅したら世の中のうさぎは今頃もうこの世には居ないだろう。
さあ話すがいい、とグリグリと耳をいじくり回していると再びテントの幕が開いた。

「……何をしてるんですか?」

「ハッ!!?浮気じゃないです!!」

「絶滅させられるーーーぅ!!」

入ってきたのはアズールさんだった。もちろん知ってた。彼の纏う香りがしたもの。だから慌ててシャンブレーさんから離れる。如何わしい事は何もしてません!!
シャンブレーさんはその隙にアズールさんと入れ替わるように出ていってしまった。後で兎狩りをしよう

「……シャンブレーに何かしてないですよね」

「何もしてないですよ。彼は何しても絶滅するって言うので」

「……なら、いいです」

そして彼は、はい。と私に何かを投げてきた。慌てて受け取るとそこには包装も何もされていない、シンプルな香水が私の手の中にあった.


「覚えていてくれたんですね…うれしい、……」


「…………まあ、約束ですし」

あげ方は今までで一番雑だったが、だったがそこは目をつぶろう。だって大切な人からの贈り物なのだ。喜ぶ以外の選択肢はないだろう。ちょっと、人を変態を見る目で見ないでください!変態的になってしまうのは彼限定です。

「……アズールさんの選ぶものは何にも変え難い大切なものです」

「へぇ、贈り物が好きだなんてルフレさんにも可愛いところあったんだなー」

棒読みだった。完全に
あしらうために適当に言ったのだろう。そのくらい分かる。
でも、
でも、好きな人に「可愛い」なんて、言われて照れない女がいるだろうか




「っ…………」

「えっ、ちょっそんなに照れること?」

「可愛いと言われて、う、嬉しいですし?」

「……、嫌味だよ……今の」

「…………それでも私は貴方しか見えてないですから」


久々に顔から湯気が出そうだった。何でこんなにデレなきゃいけないんだ。我邪竜ぞ?
すると、アズールさんはははっ、と笑って、え?わら……笑っ?

「はははっ」

「わらっ笑わないでください!!いや、笑ってください?!」

笑顔見たかったけども!!いえ見せてくれて嬉しいけど私の赤面にそこまでの価値があったのか!ぐぬぬ、なんだか言い返せなくなって顔を覆っていると、



「僕は少しルフレさんを誤解していた、みたいだ」




ほあっ




「普通の女の子の表情も出来たんですね」

「おん、なのこって歳でもないんですが……」

「うん、でも今のルフレさんは可愛い女の子だ」

「うひぃぁぁあ……」



無理だ魂出る
唐突なデレが軍師ルフレを襲う!!無理です消化しきれません!!あっしぬ!

懐かしのキュン死の感覚に思いを馳せながら私は貰った香水を大切に大切にしまった。
少しだけ、私を認めてもらえた気がした。これはその大切な証なのだ。




ちらり、と視線が逃げるために香水の瓶に綴られたその名前を読み上げた。今度の花は……スノードロップ……?

この花の花言葉は何でしたっけ?
後で調べてみましょう




◆◇◆┓





いちゃいちゃ()しだした恋人たち?から逃げてきた1匹のうさ……シャンブレーははぁ、とため息を吐いてやはり「おかしい」と改めて思った。

「女の子といるのに笑顔じゃないアズールって、珍しいんだよなぁ……」

彼らは本当に付き合っているのだろうか?
これ以上の詮索はこの軍の軍師に絶滅させられそうなのでとりあえず考えを打ち切るしかなかった。




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