「おにいちゃん…ねぇ、大丈夫かなぁ…?」
──────────よっしゃ戻ったぜ!!!!
お決まりの二人が覗き込んでいる中、バレないようにガッツポーズを決めると、クロムさんが次にいうであろう「だめかもしれんな」のセリフをいう前に起き上がってまず胸があることを確認した。
「うおっ!!?」
「あっ起きた!!」
ぐわしっ、掴めた。確かに。しかもでかい。でかい。でか大切な事なので3回(ry
これは誘惑するのにとても最適な体なのでは……?!
もみもみと胸に手を添える手の甲にはギムレーの紋章があり、それは変わらない。
「えっと、何か探してるの?」
「い、いえ。何でもないです」
いきなり目の前で自分の胸を揉んだからかクロムさんは顔を赤くして目をそらしていた。
すみませんね、貴方この頃まだ童貞でしたねそういえば(笑)
今度こそは"いける"!
なぜならおっぱいがあるからだ!
「こんな所で寝てると風邪引くぞ。立てるか?」
セレナさんって貧乳だったよな。親にそっくりなせいで育たなかったであろう平坦なお胸を思い出して、うん、うん。って頷きながら指し伸ばされたクロムさんの手に捕まり、立ち上がると黒いコートからパラパラと草が落ちる。
軽く手で残った草を払い落としているとクロムさんが苦笑いで私の髪の毛にも着いていた草を払って、バツが悪そうに視線を逸らされる。
「怪我は……無いようだな。その、女がこのような場所で野宿は感心しないぞ」
「はぁ……すみません」
野宿していた訳じゃないんですが……ていうかなんか一番最初と態度違くないですか?なんだか紳士的じゃあないですか?やはりおっぱいか?胸か?
「どちらから来られたのですか?」
フレデリクが訝しげにこちらを睨みながら尋ねて来たので全ての草をはらい終えた私はわざとらしくないように困った顔でこう告げた。抜かりはない。
「えっと、その覚えてないです」
◆◇◆
辿る道はいつも通り順調だ。
私は前前前世からかわらずイーリス軍軍師になっていた。なんか前前前世って歌にありそうですね……おっと何でもないです。
このまま戦争が順調に進めばまたアズールさんに会える。
戦争を止めてしまったら、エメリナ様を救ってしまったら「彼ら」の未来は平和なものになってしまう。それはアズールさんと会えなくなると同然で勿論私はそれを止めるつもりはない。
天幕の中で1人、次の進軍ルートを見ているといつも通り、サーリャさんが後ろから抱きついてきた。
背中にパフパフ。これ、前世で慣れましたわぁ……ていうか女であっても変わらないんですね。
「ねぇルフレ、貴女運命の相手がいるでしょ?」
彼女が突拍子もない話をしてくるのはよくある事だ。それも慣れた。視線はあくまで本から目を離さず頭に思い浮かべた運命の相手はアズールさんのこと。いやそれ以外の人は想像つかない。だから適当に「いますね」と返事をすると少しむっ、と顔を顰めたが彼女は話を続けた。
「貴方の「運命の人」との赤い糸があったとしてそれが他者の手に寄って物凄くがんじがらめにされているの。」
「何ですって……?」
「簡単に言うと貴女、呪われているわ。それも一石二鳥に簡単にかけれるものじゃなくてそうとう面倒臭い呪い」
よっぽど執着されてるのね。私もそんな呪いをかけたいわ。
ふふふふ……と笑うサーリャさんだが今のは聞き流せない。私が呪われている?「運命の相手」と結ばれないように?
「……それは誰が?」
「呪いを辿ってうっすらと見えるのは竜……を、支える銀髪の男………」
「そいつが邪魔してるんですか?」
「ええ、恐らく……まあはっきりとはわからないわ。でもこの呪いは
貴女が「運命の人」と結ばれないようにそうとうな執着の呪いよ」
銀の髪の男?呪い?もしかして私の血統をコントロールしようと企むギムレー側の敵の呪詛師だろうか?
どの道目的は変わらない。私のアズールさんを迎えにいくだけだ。
あっ、今回はアズールさん、ソールさんが父親みたいなんですよ。……まあ私がそう仕向けましたけど。彼が父親なら御しやすいと思ったからだ。あと緑も良く似合うだろうし。
遠くでオリヴィエさんとソールさんが仲睦まじく話しているのを見て思わずにやけてしまった。
ちなみにクロムさんは驚きの村娘と結婚した。どこから攫ってきたんですか???
もはや誰とくっ付いても驚かないと思っていたけど変化球すぎて結婚式の時裏で爆笑してしまいましたね。