赤色の君が



×回目の軍議。ぶっちゃけますと前世と前前世の予習があるためどう進軍すれば一番効率がいいか知っている私に進軍のスキはない。だからさっさと終わらせて可愛い可愛い息子を構ってあげようと広げた地図を閉まっていると性王様に捕まってしまった。

「ここまで来れたのはお前との絆があってこそだ。ルフレ、改めて感謝するぞ我が友よ」

「ドーイタシマシテー」

絆絆うるせぇなお前は。絆厨か。新手の松岡●造か。
おっと何でもないです。とりあえずあなたはもっと冷めろよ。熱くなんなよ。

頭の中で( ゚∀゚)o彡゜バーカバーカ!!!と子供のような罵りをしつつ軍議用のテントから出ると30m先に赤い髪がフラフラと動いてるのが見えた。あれは私の可愛い可(ry息子じゃないか!

「いたたた…参ったなぁ…これ……こんなんじゃ戻れないよ…」

「アズゥゥゥゥル!!」

「うわっ!?と、父さん!?」

抱えたままの地図が邪魔で放り出してアズールを抱きしめる。すると、「い……っ!!」と悲鳴を上げるアズールさんに慌てて手を離した。そして抱きしめた時戦場で何度も嗅ぎ慣れた臭いがした。この臭いは……

「……アズール、どこに行ってたの?」

「えーと…ちょっと可愛い子見かけちゃってさ!」

「……嘘だね。君、ケガしてるでしょ……ちょっと見せてみて」

無理矢理アズールさんの手を引くと少しの力しか込めていないのに大袈裟に身体が跳ねた。……これは傷が相当深いな。よし相手は殺そう。


「いっ…!痛い痛い!!痛いよ…!もう、父さんったら乱暴なんだから…」

「ねぇ……これ…結構深い傷じゃないか……どうしてすぐに言わなかったんだい?」

そうすれば軍議なんて抜け出してすぐにでも駆けつけたというのに……握っていたアズールさんの腕に思わず力が入ると顔を顰めたので慌てて手を離したら彼は何とも言えない表情で笑っていた。


「えー……だってそんなかっこ悪いところ女の子に見られたらまずいじゃない?」

だからこの事は父さんも秘密にしておいてね!
そう言ってこの場から去ろうとする彼に私は限界だった。だって、だってその「女の子」たちは私は含まれていない。彼はこんなにも軽かったのか?いや私が美化させすぎたのかだってそうだよね彼は前世では他の女の子に、女の子に…………





「セレナ」






ああやめて。久しぶりに吐きそうだ






「…っ!! いい加減にしなよ!!」

「父さん…?」

「"アズールさん"!!こんな時まで女の子の話!?ふざけるのも大概にしなよ!本当に、何のためにこの時代に来たの!?"私"は!!あんなに必死で戦ってるのに君は……正直、見損なったよ」

「?、?……とう、さん?」

はっ、となって慌ててアズールさんに掴みかかっていた手を離した。行けない、混同するな。今の私は私じゃない。僕はこの子の、アズールの父親だ。

抜が悪いように目をそらして、それらしい話に無理やり戻す。


「…とにかく……ッ…君は戦争ってものをわかっちゃいないんだね……その傷、マリアベルの所に治してもらいに行こう」

アズールさんに背を向けて医療班がいるテントに歩き出すと「わかってない!!」、とこの世界で初めて彼が声を張り上げているのを聞いた。

「………知った風な口きかないでよ…わかってないのは、父さんの方だよ…!」

「なんだって…?」

振り返ると泣きそうな、顔で絞り出すような声で彼は、アズールは……僕に、叫んだ。

「僕が本当に、女の子にモテたいだけなら、こんなところまで来てないよ!!毎日毎日、明日死んじゃうんじゃないかって思いながら…戦ったりなんかしてないよ!!」


「…アズール?」

ああ、これも父親だから聞けた本音なのかな。
ごめんね、"私"は貴方の叫びが聞けて嬉しい、なんて思っている。でも今は父親として彼に向き合った。


「僕、これでも未来では期待されてたんだよ。毎日毎日、屍兵を倒し続けてたから。皆の期待を背負ってるのに、弱いところなんて見せられない。あの世界で…辛いのはみんな同じなのに、僕だけ弱音を吐くなんて、できない」

うん、うん、辛かったね、そうだね。私が、ギムレーが悪いんだよね全部。
ゴメンね。期待を持たせて、重荷にさせて。

大丈夫、私はまた同じ選択を望むから、ね。









悪いドラゴンは、いなくなるから。


「父さんがいなくても、母さんが死んじゃっても、大丈夫だって…いつも笑って、何でもないよって顔して戦い続けるしかなかったんだよ…!!」

「…………アズー……「…父さんは僕に悩みが無さそうだって言うけど今だって…苦しいとか辛いとかまったく思わないなんてこと、無い。
ただ、それを見せたくない…ううん、見せられなかっただけなんだ。それが父さんの気に障ったのなら
謝るよ…ごめんなさい」


待てよ、このまま私が、ギムレーが死ねばこの世界のアズールさんにまたとないトラウマを植え付けるのでは??いやほらだって今までの彼の両親はそりゃ未来では死んだのかもしれないが自害した訳じゃないしそもそも父親が悪の親玉って気持ち的にどうなの、えっこれ、アズールさんどうなのそこ

グルグルと色んな考えが頭を過ぎるがとりあえず、一言だけ発することが出来た。

「…いや……………」

「あと…心配してくれて、ありがと。この傷、ちゃんと治してもらってくるから…」


「……あ、うん……」


彼は振り向かないでそのまま医療班のテントに向かっていた。その時最後に見た表情はとても泣きそうな顔していた。





…………あーーー……

「(彼にあんな顔をさせる原因は私、いやギムレーにあって"父親"が死んだ場合も苦しめてしまう。でも彼が今後平穏に暮らすためには私が死ぬことは不可欠でその果てに彼が誰かと結ばれても……いやそれは許さんぞ。でもどう足掻いてもこの世界では父親以上の関係は望めないし、でも死んでこれ以上アズールさんを傷つけたくないけどやっぱり私は彼と一緒になることを望んでいるわけで…………ウッ吐きそう。ダメだ、纏まらない。軍師が形無しだ。可能なら彼を傷付けることなく)………………死にたい」

とりあえずその一言に限る。

「ルフレ!?どうしたの!?」

その場にうずくまっているとどこからか現れたサーリャさんが私の背中を摩ってきた。処す?処す?みたいな感じで「呪う?呪う?」って言うのやめて欲しいのと今のその貴方の胸は私の地雷なのでそっとしておいて欲しい。おい、サーリャさんの旦那(ヴィオール)何してんだ仕事しろ

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