赤色の君が



「良かった…オリヴィエ……大好きだよ」

ええほんとに良かった。本気で。私頑張ったよアズールさん。


「は、恥ずかしいです〜!で、でも…わ、私も…あなたのこと…大好きです……こ、こんな事…あなたにしか言えません!」


私に抱きついてきたオリヴィエさんをそっと抱きしめて彼女の背中で小さくガッツポーズをする。そう、私はオリヴィエさんと婚約した。邪魔な男達は問答無用でトロンした。テメェらは各々の運命の相手(爆)とでもイチャコラしてろと軍師の特権をフルに生かして男女のペアで進軍させていた結果が実ったのだ。

心折れそうなことが何度かあったが耐えられたのはオリヴィエさんがアズールさんに似ているからだ。いや、アズールさんがオリヴィエさん似と言った方が正しいがそれはもうどうでもいい。彼女の細い腰を抱きしめているとアズールさんが好んで付けていた香と同じ香りがしてうっとりした。

ああ…ッ…やっと会えるんですね!!

そっとオリヴィエさんの薬指に着けた指輪を撫でた。




◆◇◆



「はぁ……可愛い……」

「……ちょっと父さんいい加減これ恥ずかしいんだけど……っ」

私の可愛い可愛い"息子"のアズールさんを捕まえて頬ずりしていると必死に抵抗してきた。だがしかし今は私の方が体格がいい為そのまま抱きしめると「ぐぇ」と小さなうめき声が聞こえたが気にしない。親子なのだ。このくらいくっついてててもいいだろう。

「父さん!僕そろそろナンパに行きたいんだけど……!!」

「は?」

「うっいや、その……えっと……」

行かせないよ。そんな後生な……!!
この会話を繰り返してはや数日。"息子"のアズールさんは前と前々と同じように盗賊退治の際に仲間に入った。本当なら恋人や妻という立場になりたかったものだが、これがまた血が繋がっていると思うとすごく凄く可愛くて仕方がなかった。

要は父親バンザイという状態だ。結婚指輪一つで子供と納得してしまったみなさんの気持ちが今なら……いややはりそれはわからない。私は「アズール」さんが息子だと分かっていたからこそ可愛いのだ。


「はぁ…もうちょっとでお姉さんとお茶の約束ができたのにー…父さんったら何で止めに来るのー?」

「もうすぐ戦いに行かないといけないんだから、仕方ないだろ?時間を忘れてナンパしてたアズールさn……が悪いよ」

未だに慣れない男口調で最も「らしい」事で丸め込めると「ちぇー」と悔しそうな顔をする。それも可愛い。だがナンパは許さん。絶対にだ。


「はいはい…ごめんなさーい。じゃあ今日もいっちょ頑張るかぁー!」

「…………」

前は「ナンパされる側」だったからか、敬語のないアズールさんが可愛いが6でこんなに軽かったっけ?が4の割合で思わず彼をじっと見つめていると視線に気づいて首を傾げる。かっかわい(ry

「ん?どしたの、父さん。僕の顔に何かついてる?」

「…いや君は昔からそんな感じなのかなーって」

「そんな感じ、って?」

聞き返されて言葉に詰まる。なんと言えばいいものか……悩んだ末にまた「らしい」言葉を紡いだ。

「えっと……絶望に支配されてたっていう未来から来た割には、悩みが無さそうというか…ルキナみたいな強い使命感とか決意みたいなものが今の君からは感じられないというか…」

「えー!? ちょっと何それ!僕だってちゃんとした使命ぐらいあるよ!」

これに関しては一番「最初」の時から思っていた事なので嘘100%ではない。私の問に対して同じ色の髪の毛をパサパサと揺らしながらアズールさんは得意げに胸を張った。か(ry


「そうなの?なになに?」










「えへへ。そりゃもちろん、

大勢の女の子たちにモテることだよー!」



「トロン」

「うわぁぁ!!!!?」

巨大な雷がアズールさんすれすれに落ちてくる。顔を引き攣らせて悲鳴を上げるがいまのセリフは聞き逃せんなぁ。浮気は許さんって言った…………のは前前世でしたね。そもそも前世は違う女と結ばれやがって……何だか怒りが湧いてきてアズールさんを睨みつけた。

「女の子にモテること!?…それがアズールの使命なの?!それがわざわざ過去に来てまで成し遂げる使命だっていうの…!?」

「やだ…父さんったら僕の使命をそんな大声で…恥ずかしいよ」

「なにを恥じらってる」

今度はトロン(物理)の角をアズールさんの頭に落とす。イタタタタと赤い髪をぐりぐりする度に悲痛な叫びが聞こえるが心を鬼にしてぐりぐり更にめり込ませる。

「イタタタタ!!…これが母さんが恥じらったら喜ぶくせにー!!」

「そんなことは無いよ」

ええ、断じて。私はアズールさん以外にはときめきませんから。真顔で答えた私にアズールさんは思わず「お……おう。」みたいな反応をする……しまった一応夫婦だった

「と、とにかくナンパは禁止だ!!いいか!!絶対だぞ!!」

「えっ父さんそれってフリ?」

「トロンは死んじゃうからサンダーでいい?」

「うわぁぁぁごめんなさい!!」


懲りないアズールさん。まったく…親の顔が見てみたい


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