プロローグ



クロムさんの新しい命云々の衝撃発言からその後、自警団のメンバーは婚活期だったのかなんなのか知らないが、あの人とあの人が、あんな人もこんな人もクロムさんとスミアさんの結婚を皮切りに婚約の発表があちらこちらからされた。
自軍の将より先に籍を入れるのはと憚られていたらしく「実は……私たちお付き合いしてます!!」と隠れて付き合っていた連中がわんさか居たのだ。ワァナンテスバラシイ忠誠心。

そんな訳で(?)私を除く自軍の主力達は余すことなく相次ぐ結婚ブームだ。私を除く。ええ、過去の失恋を引きずる私を除いて。

ちなみになぜ結婚??と思うくらいとんでもない組み合わせも多い。例えばクロムの妹である王女リズさん。彼女はなんとペレジアとの戦争中に出会った自称傭兵の怪しいおじさんことロリコングレコさんと結婚した。
彼女の幼い容貌と相まって年の差に驚いていた方も多かったが国民は王女の結婚に反対はしなかった。元々イーリス王家は政略より恋愛婚が多いとの事だ。いや、それにしてもどれだけ寛容なんだイーリス国民。

他にも、クロムさんの口煩い従者であるフレデリクさんはダグエルという獣人のベルベットさんと。
貴族のマリアベルさんは兵士のヴェイグさんと……等など全員言い出したら切りがないのでこの辺りにしておこう。

逆に結婚していない人をあげた方が早いくらいだ。
こら。そこ、私を見るな。

ちなみに個人的に一番驚いたのは踊り子のオリヴィエさんとショタ魔法士のリヒトさんの結婚だった。
彼は見た目少年そのものなのに結婚出来る年齢だったのか……いや驚くとこはそこじゃないだろと誰かの突っ込みが聞こえた気がするが気にしない。


アハハー結婚オメデトー。
ミンナ、シアワセソウデ、ウレシーヨー、オシアワセニー。リア充達はファイアしろ。

そんな心がこもってない台詞と御祝儀を繰り返し過ごす中────




ペレジア、ヴァルム………ギムレー教団との戦いが再び開戦してしまった。

狙いは勿論王族に伝わる紋章……イーリス前国王、エメリナ様が命をかけて守ったものをそう易々と渡してたまるものかと、私達は再び剣を掲げた。

新婚共はだいぶ浮かれていたが、軍に所属する身ともあって、流石に妊娠等の報告は上がらなかったのが救いだった。

                



────まあ既にやんごとない身分の妊婦いるんですけど。





「……いやですから貴女は城で安静にしていてください。クロムさんはお産で体調が不安定の彼女を支えてください」


「いや……だがお前が行くのに俺が行かない訳にはいかないだろう。絶対に俺は行くぞ」

「そうです!私なら大丈夫です。それにほら、お腹の子は乳母が育てるのが王族の仕来たりですから」


新婚王子にその妻を連れて戦場に連れていくことは出来ないっつてんのにこの夫婦は話を聞かない。
進軍時にお腹の子諸共共倒れでもしてみろ。イーリス王家は一環の終わりである。

どう言い聞かせたらいいのだろうか。私の伝え方が悪いのか……いや、恐らく王妃はこの先の進軍で旦那様であるクロムさんと私がずっと一緒に行動するかもしれないという嫉妬故の私怨だろう。

……また吐きそうだ。吐きグセが着いてしまっているみたいで最悪だ。もしかしてこれは精神的なものでは無く実際ストレスで胃に穴が空いているんじゃないのか?胃潰瘍の軍師とか肩書きが嫌すぎる。


────いくら嫉妬されても、私がどうにか出来るわけないのにな。


「おぇっ」



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