黒色の君へ





どこで間違えたのかなぁ







「あの…アズール…ちょっと時間ある?」

「あっ、×××珍しいね…そっちから声かけてくれるなんて。」

「う、うるさいわね。」

「ごめんごめん。それで…何か用?」

「…前に、アズールがあたしに言ってたことなんだけどさ…アズール、素直なあたしが見たいとか言ってたでしょ?」

「うん。それが僕の最終目標。それは今でも変わらないつもりだよ?」

「………あの言葉…最初はまたあんたがバカなことばかり言ってるって思ってたけど、あの時の腕輪…あれ
やっぱりもらってあげてもいいわよ…」

「…えっ?」

「あんたがまだ他の女の子に渡していなかったらだけどね!まだ持ってるならさっさと取りに行ってきなさいよ!」

「…というか今持ってるよ!いつでもまた君にあげられるように、ずっと、持ってたんだ!」

「ええっ!?そ、そうなの…?」

「うん…?なんだかよくわからないけど渡せばいいの?」

「ただしっ!!ただのプレゼントじゃ嫌!」

「へっ…?」

「それは…あ、あたしとあんたの……け、結婚を約束する腕輪にしなさい!」

「あっ…なんだ、そんなことか!うん。もちろんだよ!」

「ええっ…!!?」

「そんな簡単なことだったの?なんか怒られるのかと思って僕ドキドキしちゃったよ…じゃあ、はいっ

これで君と僕はもう一生離れられないね!」

「ちょ…ちょっと待ちなさいよ!ふつうは『いきなりそれは重い!』とか『そんなつもりじゃない!』とかあるでしょ?なんでそんなに簡単に了承してるのよ?!」

「だって僕は本当に素直な君が見たかったって言ってたじゃない?それがようやく見られたんだから拒む理由なんて何にもないよ。」

「はぁ…なんかあれだけ悩んでいた自分がバカらしくなってきたわ…」

「ふふっ…ありがとう、×××、僕の気持ちをようやく受け入れてくれて。」

「な、な、なんかムカつくわねアズールにそういう事を言われて嬉しくなる自分が……!」

「またおすましモードの×××に逆戻り?まぁそれでもいいよ。僕はそんな君も大好きなんだからね!」

「もーうるさいうるさい!これから一生あんたはあたしのこんな態度に付き合ってくのよ!?」

「はいはい、お姫様。」










ぷっつん
そんな感じに、頭の中で何かが切れる音がした気がした。









【お前らも!!お前も!!殺したくてたまらない!!滅ぼしたくて仕方がない!!!!】

"私"の姿をした邪竜は軍に向かってトロンを放つ。
そんな攻撃、既に彼女の攻撃パターンを知っている私が喰らうはずがない。むしろ、この攻撃は私に向けてない……そのトロンは、

あら、流石「私」。邪竜とはいえ私と同じ思考なんですね。




「×××!!!!!!」

「え……」

アズールさんが後ろで叫ぶ声が聞こえた。そして仲間達も、悲鳴を上げている。ティアモさんの鳴き声が聞こえる。グレゴさんの嗚咽も聞こえた気がする。

【ははは、は、はは】

「わかりますよ、わかります、だからそれだけでは足りないんでしょ?」



グレゴさんに似た濃い桃色を散らして胸から血を流す彼女を冷ややかな目で見つめて、【私】はニッコリ笑った。


この世界はもう、"いいや"。だって私を望んでないから。



「さようなら、アズールさん」









私は涙を流す【私】を剣で貫いて、その耳元に「次は上手くやりますから」と笑った。











失敗してしまったので私は邪龍を滅ぼす道を選んだ。






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