黒色の君へ



「やあ、ルフレさん!約束通り遊びに来ましたよー!どうです!?嬉しいでしょ………、ってクロムさん何をしているんですか……?」

セレナさんを無事(?)囮に軍を勧めて数日、愛しのアズールさんが私のテントへ遊びに来てくれたが、既に私のテントにいた性……ゲフンッ聖王が床でのたうち回るのに困惑をしていた。

「えーっと……出直しますか?」

「いえ!!そんな!こんな床に転がるクロムさん(バカ)なんて気にしないでゆっくりして言ってください!」

「は、はぁ……?」

嫌でも、気になりますから、と視線をクロムさんへ向けるアズールさん。ちなみにクロムさんがのたうち回っているのはお腹にトロン(物理)を食らわせたから何ですが夜の乙女の部屋に入ってきた罪をこの程度で許す私は優しい。たぶん。

「ほらクロムさん。私とアズールさんは愛の逢い引きをするんです。さっさと帰ってください。」

「ッあい、逢い引きだと!!?」

「わーーー!!誤解です!!誤解です!」

そんな……取り繕わなくても良いのに……
もっていた軍事書での、の時を書いてその照れ顔を見つめているとアズールさんの視線が気まずそうに逸らされた。

「…………アズールさん最近素っ気ないですね?」

「え…えー!?そんなわけないじゃないですかぁ!ほら、僕邪魔しちゃ悪いと思うのでやっぱり退散……」


人のテントで頭を押さえてゴロゴロとのたうち回る軍の一番えらい(筈の)人をアズールさんは私と交互に見て、即ささと退場しようとしているのを私が慌てて彼の腕を掴んで止めた。

「待ってください!何かお話があったんでしょう?」

「えっと、そう、……ですね。」

「待て!俺の半身との逢い引きは認めんぞ!!」

「うるさい黙れ」

ゴッッッ!!鈍い音を立ててもう一度トロンの本をクロムさんにめり込ませてアズールさんに腕を絡めた。
大丈夫。好きな人の手前ちゃんと手加減はしてますよ?

「ぐっっ……強く……なった、な……ガクッ」

「クロムさーーーーん!!!!」




「まあまあ、そんな人ほおっておいて…アズールさん、またナンパに失敗したんでしょう? 」

「あ…いえ、最近はナンパはしてないです。」

「いつも失敗した時に限って私の所に転がり込んでくるんですからいい加減わかりま…………えっ?」

ナンパ、をしていない?
はっ!?もしかしてもう私へ告白するつもり何でしょうか……!いくら運命が分かっていても照れますね……

顔に熱が集まるのを感じてクロムさんを沈めたトロンの書で顔を隠していると視界に入る聖王がとても邪魔な気がして来たのでシッシッと手をはらって出ていく様に睨む。


「人の部屋(テント)でゴロゴロしないで早く出てってください」

「誰のせいでこうして痛みに耐えていると…!」

痛みが引いてきたらしいクロムさんが私に食いつくように立ち上がると再びテントの入口が家主の断りもなく開いた。

「お父様?ここにいらっしゃるのですか…………、っルフレさん…!」

「……はぁ……こんにちはルキナさん。あなたのお父様ならもう要はないです。連れて行って貰えませんか?私はアズールさんとお話があるんです。」


最悪だ。ファザコンマザコンこじらせたルキナさんに「父に近づく嫌な吐く軍師」がクロムさんと一緒のテントにいるのを見られてしまった。まあこれも前にもあったのだ が今は吐き気は起きないので大きな違いだ。
だがこの状況はマリアベルさんという新たなヒステリックに母親に話してまためんどくさいことになりそうだなあ、と他人事のように思った。


「ええ…貴女に言われなくても!!……?お父様頭が痛いのですか?」

「ああちょっとルフレに…な…」


ルフレに、…な……、じゃないぞ。
止めてくれて意味深に最後を濁したら……ほら

「っ貴女はお父様の部下の分際で手を挙げたのですか!!?」

「ルキナ、何度も言っているだろう。ルフレは部下じゃない。半身だ、と」

「お父様の半身はお母様「なりたくもないですしそんな称号いりません。」です……ってえ?」

「要はないんですよね?私はアズールさんと話があるんです。」

あなた達が出ていかないなら私が出ていきます。

「えっ、うわっルフレさん!?」

私は黒色の彼の手首を掴んでテントから出ていった。。

























「それでお話があるんじゃないですか?」

「はい、……でも良かったんですか?ルキナとクロムさん……」

「いいんですよ、気にしないで下さい。」

貴方より優先するものなんてありませんから、そう笑うと、アズールさんは苦笑いした。
照れてるんですか?

「えっとその……話っていうのは進軍の事なんですが…」

「あら、珍しいですね?アズールさんが意見するなんて。」

確か前はナンパの話をしていたが今回はちょっと真面目な話らしい。さすがアズールさん。進軍で気になる点があったから私まで言いに来てくれるなんて……
ソワソワしつつ彼の口が開かれるのを待っていると彼の口からは聞きたくもない名前が出てくる。

「はい、……今のその、ルフレさんの指揮だと彼女……セレナがちょっと大変そうなんです。」

「は?」

「セレナは女の子じゃないですか、怪我の跡とか残ったら……ちょっと、……その……」


「……………」


「…………………」

「……………………………………」



「……………………あの、ルフレさん??…そんなにじっと見ないでください。それに、そんな目で見ても僕の意見は…変わりません、よ?」

「えっああすみません。ちょっと脳が現実逃避していたみたいです。えっとそれでセレクションが何でしたっけ?」



ふふ、とわざとらしく笑うと彼は何故か更に眉間に皺を寄せて私に詰め寄った。

「セレナです。これは割と真面目な相談なんです」

「…………彼女は強い戦士です。それを公言してます。私はその実力を信用してるのでこうした役を任せているんです。」

私怨もあるがそれは嘘ではない。実力の無いものに囮など任せるはずがないからだ。
だがアズールさんが欲しい答えじゃなかったのか、彼は噛み付いてくる。

「なら僕を囮に使えばいい。ルフレさんは僕の実力を信用してくれてますよね?」

「ええ。もちろん……ですがアズールさんには別の指揮が……」

「そこをセレナと変えて欲しいんです。僕もセレナも同じジョブです。扱う武器も同じであれば大丈夫ですよね?」

「ですが……」

「ルフレさん。」

ここで否、と答えをいえばたぶん、アズールさんに嫌われてしまう。それほどまでに真っ直ぐで、そしてどこか悲しげな視線に私は頷くしかなかった。


「わかり……、ました。また改めて指揮を出します。……他でもないアズールさんの頼みですから…」

「っありがとうございます!!」

先程の視線と打って変わった嬉しそうな表情を滲ませて彼は立ち上がる。話は以上です!!と即ささと退散してしまいそうなアズールさんの腕を慌てて掴んで止めると「ちょっと約束があるので……」と可愛い照れ顔で私の掴んだ手を窘めた。


「それは、私といるより、も……大切な?」

「すみません……約束なんで……」

「そう、ですか、ええ。大丈夫です。またお話しましょうね。」

私はどんな時でも大好きな貴方の話を聞きますので、
言いたいことを無理矢理押し込めて微笑むとアズールさんも笑って手を振りながら立ち去っていく。



「あっ、僕も好きですよ。


"仲間"としてルフレさんのこと」


途中、1度振り返りそう言った彼はどこまで察しが悪いのだろうか

「前と違うなぁ、何でだろ。」

大丈夫、大丈夫。私とずっと居てくれるってアズールさんは言ってくれましたから。


とりあえず軍事書に新しく内容を書き込んでおいた。

▲▲▲▲▲▲
▲▲▲▲▲▲
▲▲△△▲▲
▲▲▲▲▲▲
▲▲▲▲▲▲

▲=敵兵
△=囮役

囮役の方にはアズール、ルフレと記入しておく。
アズールさんなにやら恋を勘違いなさっているみたいなので無理矢理にでも私のものにするにはこうするしかないですよね。吊り橋効果ってやつです。
セレナさんはウードさんとでも支援組んでおきましょう。とてもお似合い(笑)ですよ(笑)

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