僕は君が好きだよ。
その言葉には、何一つ偽りなんてない。
しがない日々だった。
世界の色は、モノトーンに近いくらいパステル。
極端に水で薄めた絵の具で塗られた絵のように、真っ白な紙と同じ具合。
僕の体を包む世界。
どうして?
僕はここに居るんだろう。
どうして?
僕の目の前に現れた君が、世界を濃い色にした。
笑った顔、笑った声。
僕に向けられたその全てを、理解するのに苦労した。
君が僕に与えるものに、温かいという温度を感じていたから。
戸惑いも、消し去るくらい。
君に触れてしまったから。
確信したんだ。
温かさが、自分に向けられていることに。
後戻りなんてできるのかな。
いや、もう不可能なんだ。
君の姿が見えないと不安なんだ。
また色が薄くなってしまいそうで。
温かさを感じなくなってしまいそうで。
全部、自分のためか?
いや違う。
僕は君のことを、ただ。
僕に、この言葉を囁く資格があるのか。
この言葉を、君のためだけに、形にしたい。
君のそばにずっと居たい。
僕は君が好きだよ。
その言葉には、何一つ偽りなんてない。
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