「……暇だなぁ〜」

今日は待ちに待った休日…なんだけど、宿題は既にやり終えたし特にする事も無いんだよなぁ〜
どうしたものか…あっ、そういえば雷蔵が久々に新刊が入るっていっていた様な…
よしっ!思い立ったが吉日っていうし、図書室に行こう!!と図書室に行くまでの道のりを、どんな新刊本が出たのかワクワクしながら歩いていれば直ぐに目的の場所に着いた。
そして図書室の扉を開けると、ちょうど目の前で雷蔵が蔵書整理をしている所だった。

「らいぞ〜新刊見して〜!」

「あっ、いらっしゃい勘右衛門」

雷蔵はにこっと笑い、ちょっと待っててねというと新刊本を取りに行ってくれた。
俺はというと、どこで読もうかなぁ〜等と部屋を見渡し、ちょうど日当たりが良さそうな窓際の席が空いていたので、そこに座って雷蔵を待つことにした。

「お待たせ〜」

「おっ、いっぱいある〜」

珍しく予算が取れたんだ、とそういって雷蔵は机の上にドサッと持って来た本を置いた。
うわ〜どれから読もうかな〜、と俺が物色し始めたのに雷蔵がクスッと笑った。

「僕もまだ全部読んでないんだけど、これなんか結構面白かったよ」

「じゃあ、それから読もうっと」

そういって俺はその本を受け取り黙々と読み始めた。
雷蔵は本を読み始めた俺を見て、それじゃ僕は仕事に戻るから、と一言いって仕事に戻って行った。
俺は雷蔵の後ろ姿に、いってらっしゃ〜いと声を掛けた後は、周りの音が聴こえないくらい黙々と本を読み進めていたが、座っていた窓際の席がポカポカと余りにも日当たりが気持ち良くて、いつの間にやらうとうとと眠ってしまった。


***


やっと蔵書整理が終わり勘右衛門の所に来て見れば、すやすやと気持ちよそうに眠っていた。
その幸せそうな寝顔に自ずと笑みが零れ、知らず知らずの内に勘右衛門のサラサラと滑る髪の毛の感触を起こさない様に注意しながら撫で、勘右衛門の幼い顔をした寝顔を暫く楽しんでいれば勘右衛門が小さく、んっと声を発した後にゆっくりと目を覚ました。

「あれ、俺寝てた?」

「うん、凄く気持ちよそうにね」

勘右衛門は、んんっと背を伸ばし目の前にある本を手に取り、兵助にも読ませてやりたいから貸し出し出来ないかな?と尋ねて来たので、分かったと二つ返事で承諾し貸し出しカードに名前を書いて貰い貸し出し処理を終わらせた。
それからは勘右衛門と二人で、あの本は面白かった、あの本はいまいちだった、と他愛無い話しをして時間を過ごした。
そうやって二人で過ごしていると心の奥底にしまい込んだ勘右衛門を好きだという感情がまた表に出て来てしまった。
本人に直接聞いた訳では無いけど、勘右衛門には好きな人がいるって知っているからこんな事いうべきじゃないって分かっているのに、僕の口は勝手に動いていた。

「勘右衛門って好きな人いるんだよね?」

「えっ?!な、なんで知って!?」

自分で聞いた癖に、心の中でやっぱりそうなんだと思うとズキリと心臓が抉られた様に痛んだ。

「その人には告白したの?」

「ま…まだ…」

その言葉にホッとした僕がいて、それじゃあ、まだ僕にも勝機はあるかな?と勘右衛門を見据えて話す僕に、勘右衛門は意味が解らないという様に首を傾げた。
そんな勘右衛門の仕草に、クスリと笑みが零れ、僕、勘右衛門が好きなんだ、と伝えれば勘右衛門は顔を赤くしてあわあわと慌て出した。
それにまた笑みが零れる。
本当に僕は卑怯だと思う、でもやっぱりこの気持ちを抑える事なんて出来そうになかったし、どうしても好きだと伝えたかったから、ごめんね勘右衛門、君を困らせる様な事をいって、でも何もせずに簡単に諦めるなんて事したくなかったから…




諦めるとか考えられない


(返事はいつでも良いから)
(あっ…ら、雷蔵!)
(なに?)
(あの、えっと、な何でもない…)
(そう)
((ど、どうしよう!俺、凄いドキドキしてる!!))



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