その日は何もする事が無く部屋でだらだらとしている時だった。
いつもなら雷蔵に構って貰う所だが生憎と委員会に行っていて不在だ。
暇過ぎる…八左ヱ門辺りをからかいに行こうかと思っていた所に鴨が現れた。
まさに鴨が葱を背負って来るとはこの事だ。

「あっ、いたいた!」

「なにか用事か?」

とだらけながら勘右衛門に聞くと、忍たまの友を取り出して勉強教えて?といって来た。
流石はい組、勉強熱心な事でと内心思いながら、別に教えるのは構わないが、それなら同じく勉強大好きな兵助とやらないのか?と聞けば、兵助は委員会が忙しいからと返事が返って来た。
どうせ私はいつでも暇人ですよ、と皮肉を込めて言えば勘右衛門は、まぁまぁと笑いながら近付いて来て、だから教えて?と可愛らしくおねだりして来たので、まぁ好きな相手に可愛くおねだりされれば、満更でもないので教えてやる事にした。

「そこ間違ってる」

「えっ?うそッ!?」

勘右衛門は頭が良い様に見えて変な所でポカをやらかす事が多い。
まぁ、そんな所が可愛いんだがと惚れた弱みで何をしても可愛く見える勘右衛門を見て一人目の前でうんうん唸る勘右衛門に笑みが零れた。
しかし教える立場というのは暇な物だ。
教えられている側は、ああでもないこうでもないと目の前の教科書と格闘しているが、教える側の私は今頗る暇だ。
まぁ、この時間は嫌いではないんだがその所為でいろいろな事を考えてしまう訳で、どんな事を考えているかというとそりぁ〜目の前に好きな相手が居れば、口元に目が行き接吻したい、とか勘右衛門の霰もない姿を想像して一人慌てふためいたりとかいろいろだよ、いろいろ。
しかし一度善からぬ事を考えてしまうと頭から離れず、どうしても勘右衛門の唇に目が行ってしまう。
勘右衛門は私の視線になど気付かずひたすら問題を解く事に集中している。
そんな勘右衛門に悪戯心と下心を抱いた私は、気付かれない様にそっと近寄り後ろから勘右衛門をぎゅっと抱き締め、耳元で接吻しないか?と甘く囁いた。

「なっなななッ?!」

「これも勉強の一つだ」

なにが勉強の一つだよッ!と勘右衛門は赤い顔をし耳元を押さえ必死に、しないからな!!と訴えてくるので、接吻も列記とした色の授業だ、と屁理屈をこねて勘右衛門が反論する前にその唇を自分の口で蓋をした。

「んっ!!?」

「油断大敵だぞ?」

ちゅっと音をさせて勘右衛門の唇から離れた。
すると、目の前には顔を真っ赤にして口をパクパクさせている勘右衛門が居る。
その様はまるで餌を求める鯉か金魚の様だと思い、これが恋仲の二人なら甘い雰囲気になってあれよあれよと先に進めるんだが、生憎と私と勘右衛門は恋仲ではないので甘い雰囲気どころか勘右衛門の右手が振り上げられ私の頬目掛けて一直線に振り下ろされた。



そんなことよりキスをしよう?


(ただいま〜)
(お帰り、雷蔵)
(ぷッ…どうしたのそれ?)
(愛の一撃をくらった)
(愛の一撃ねぇ〜ほんと三郎も懲りないよねぇ〜)




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -