「今度の休み鍋をしよう!!」

それは、いつもながらの三郎による突然の発言から始まった。
みな一様に、三郎のいきなりの発言にポカーンとしていたが、八左ヱ門が鍋かぁ〜いいんじゃないか?俺、鍋好きだし!と答えたのに勘右衛門も俺も鍋好き〜となんやかんやで今度の休みにみんなで鍋をする事になった。

「それじゃ、各自その日は鍋に入れたい材料を持って来るように!」

以上、解散!との三郎のかけ声でその日は各自の部屋に帰って鍋に入れたい材料を何にしようか考える事にした。



〜 in い組 〜


「兵助はやっぱり豆腐?」

「うん、勘ちゃんはうどん?」

「うん!やっぱり鍋っていったらうどんでしょ!!」



〜 in ろ組帰り道 〜


「八左ヱ門は何を持ってくるの?」

「そうだなぁ〜あんま金ねぇし金が掛かんないやつかな〜?」

「ちゃんと食えるやつを持ってこいよ」
「そういう言い出しっぺの三郎は何持ってくんだよ?」

「ふふふふふふ」

「「……………」」


それから各自、鍋パーティーの日を楽しみにし授業や委員会に励んだ。
そして鍋パーティー当日。
食堂のおばちゃんの許可を貰い鍋の準備をして、お湯が煮立った所で各自が持ち寄った材料を鍋の中に入れた。本来ならこの後みんなでわいわいがやがやと楽しく鍋を突つくのだが、全ての材料を入れ終わった鍋を見て、みな一様に固まってしまった。目の前にある鍋は、みんなで楽しく鍋を食べよう!な状態ではなく、グツグツとこの世の物ではないような、何とも言い難いグロテスクな仕上がりになっていた。

「いやいやいや…ちょっと待て、まず兵助なに入れた?」

「あ?豆腐だけど?」

一.久々知兵助 朧豆腐

「おまっ!豆腐は豆腐でも朧豆腐を入れるな!!お前の朧豆腐のせいでドロドロじゃないか!」
「いや‥だって豆腐ダシみたいな感じで美味いだろうと思って」

「そうだとしても、喜ぶのはお前だけだ!次に勘右衛門と雷蔵はいいとして」

「問題有りだろ!?勘右衛門は、まぁ形状はどうであれうどんはうどんだから良いとして雷蔵はないだろ?おはぎって明らか甘味だろ!?」

「甘くなって良いかと思って…」

二.尾浜勘右衛門 棊子麺
三.不破雷蔵 おはぎ

「そうだ!甘くなっていいんだ!雷蔵は可愛いから何をしても許されるんだ!!それより一番の問題はお前だ八左ヱ門!!貴様のせいでグロテスクさに拍車が掛かってるんだよ!見てみろ蜂の子が鍋の中でぷかぷかと気持ち悪い!!私が苦労して水軍の皆様方に頼んで仕入れた蟹が台無しじゃないか!どうしてくれる!!」

四.鉢屋三郎 越前蟹
五.竹谷八左ヱ門 蜂の子

俺も鍋に昆虫はちょっと、と勘右衛門がさらに加勢した事で兵助も任務中でもないのに昆虫はないな、と答え雷蔵は僕はどっちでも良いけど、あっでもやっぱり…、とみな八左ヱ門の材料について不満を述べた。それに対して八左ヱ門は、取るのに苦労したんだぞ!やら、昆虫は栄養満点なんだぞ!と反論するが多勢に無勢で八左ヱ門の意見は悉く許可された。

「で、この鍋どうするんだ?」

「お残しするとおばちゃんに怒られそうだし…食べる?」

「本気か勘右衛門!?」

驚く三郎に、勘右衛門は苦笑いを浮かべながらもうん、と答えた。それから一瞬の沈黙の後に覚悟を決めた五人は恐る恐る鍋から自分の碗によそぎ、任務中の時よりも緊張した面持ちでいくぞ、と矢羽を飛ばし一生に胃の中に掻き込んだ。


「あっ…意外と美味しいかも」

「「「「(雷蔵恐るべし…)」」」」




夢が詰まった鍋パーティー



(勘ちゃん大丈夫?保健室行く?)
(………うん‥)
(鉢屋はどうした?)
(昨日の夜から部屋で
寝込んでま〜す)
(珍しい事もあるもんだな〜)






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